デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方 (ハヤカワ新書juice)

制作 : Tim Brown  千葉 敏生 
  • 早川書房
3.72
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本棚登録 : 1365
レビュー : 99
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784153200128

作品紹介・あらすじ

人々が気づいていないニーズを探り出し、飛躍的な発想で生活を豊かにする-それが「デザイン思考」だ。これを研究・開発部門だけでなく全社的に浸透させれば、組織は持続的にイノベーションを生み出すことができる。その推進役として名を馳せているのが、これまでアップルのマウスなど画期的なプロダクトを手掛けてきたデザイン・ファームIDEO。いまやイノベーションの代名詞となっている同社のCEOみずから、現代におけるデザインとイノベーションの必要性を熱く語り、組織を蘇らせる方法を明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 社会学学生・卒業生は必読かもしれない本。社会学って結局現実社会でなんの役に立つの?の具体的な解答例がいっぱい載ってます

    インタビューや参与観察なんかの社会調査例としても読めるけど、それだけじゃない。
    そこから、暗黙知や隠れたルール、みんながまだ気づいてないニーズを探っていくって、社会学のなかでも特に有用性が疑わしい(と学生の時思っていた)理論系の学者が大好きなアプローチではありませんか!

    しかも、読み取ったルールやニーズをしっかり検証して、実用的なアイディアにしていく。アイディアが実際に人々や企業、社会にいかされていく。このあたりが、なんというかかなり感動です。

    社会学ではそれぞれの関心の赴くままに、観察したり考察したり、理論っぽいものをこねたりしますよね。対象は、自殺や犯罪なんかの、いかにも社会に役立ちそうなものもあるけど、ファッション、アニメ、ファン文化などのサブカル系なんかも研究対象で、そっちをやりたい人もけっこういる。でも、こっちがわっていまいち有用性がアレで、趣味の学問、何でもありの社会学、とか言われちゃうわけです。実際そうなとこもあるけれど…

    じゃあ、それを研究するのになんの価値もないのか?実際どれだけ役に立つかもしれない理論をこねるのは無駄なのか?というありがちな疑問に、そうじゃないよ、というメッセージを(勝手に)受信したのがこの本です。

    日常を観察するとか、切り口を変えて見るとか、視点をシフトするとか、裏側を考えるとか、あえて対立軸を作ってみるとか。おしゃべりしたり自分も混ざってみたり理論こねたり関連性を導こうとあれこれ試したり。過去と今の変人たちの思考を追っかけてみたり。その辺のいろいろが、実は実社会でけっこう役に立つらしいですよ。

    もちろんこの辺はきっかけでしかなくて、そのあとにもいろいろデザイン思考の技術とかあるのですが。

    とにかく、学生の時に読んでおけばよかった!(出てなかったけど)と思った本でした。

  • 面白かった!
    デザイン思考。絶対に必要だな。

    イノベーションは見る事から始る。
    普通を見る
    時間はクリエィティブな制約
    人生はプロトタイプと考えよう

    など。

  • デザイン思考とはどのようなことの上に成り立ち,何を考え,おこなうのかが書かれていました.
    今日のことではなく,ちょっと先や将来に向けた仕事をする際に,どのようなことを発想し,行動すると良いのか,とても参考になる良い本だと感じます.

  • 『成功はすべてコンセプトから始まる』木谷哲夫 著 ダイヤモンド社 参考文献

  • 要再読
    【要約】


    【ノート】

  • 図書館

  • ハウツー本ではなく、
    もとになる原理や手法を理解するのに役立つ「枠組み」を説く。

    <blockquote>デザイン思考は探求のプロセスだ。(p26)</blockquote>

    また、デザイン思考の力を発揮させる、
    豊かな文化としての「物語」を紹介する。

    著者は、
    イノベーションを「重なり合う空間全体からなるシステム」だという。

    [more]


    その空間とは、
     1.着想(インスピレーション) ソリューションを探り出すきっかけになる問題や機会
     2.発案(アイディエーション) アイデアを創造、構築、検証するプロセス
     3.実現(インプレメンテーション) アイデアをプロジェクト・ルームから市場へと導く行程
    反復的・非直線的にプロジェクトはこれらの間を行き来する。

    中でも、
    アメリカの空港セキュリティの事例は象徴的だ。

    9.11以降に強化せざるをえなくなったセキュリティ要件を満たすためには、
    「物体の検出」では足りず、「悪意の検出」へと移行する必要があった。
    そのため、包括的で斬新な「デザイン」戦略が求められ、
    個人に最終結果をコントロールする一定の権限を与える、
    という成功のための適応・進化を促すことになった。

    「どうすればセキュリティ・チェックを再構成できるか?」=物理的なデザイン・ソリューション

    「どうすればX線装置の両側に立つ人々の間に共感を育むことができるか?」=幅広く応用できる人間中心の戦略の提供

    この転換のプロセスには、
    分析(アナリシス)の後、綜合(シンセシス)へ
    洞察、観察、共感
    といった要素を含んでいる。

    [more]

    【読書メモ】
    ・ ビジネスの世界に飛び込んだとき、デザインを行う時間よりも、「デザインとは何か」をクライアントに説明する時間の方がはるかに長かった。 p13
    ・ 「天才」や「ビジョナリー」という高邁な言葉の裏側には、デザイン思考の原理に対する基本的な献身があることに気付いた。 p14
    ・ あなたがホテルの経営者なら、デザイン思考は「もてなし」の性質そのものを見直すきっかけになるだろう。 p17
    ・ 相反するさまざまな制約を喜んで(時に熱烈に)受けいれることこそ、デザイン思考の基本といえる。多くの場合、重要な制約を見分け、その評価の枠組みを制定するのが、デザイン・プロセスの最初の段階だ。制約は、成功するアイデアの三つの条件と照らし合わせると理解しやすい。それは、「技術的実現性/フィーザビリティ」(現在またはそう遠くない将来、技術的に実現できるかどうか)、「経済的実現性/ヴァイアビリティ」(持続可能なビジネス・モデルの一部になるかどうか)」、「有用性/デザイアラビリティ」(人びとにとって合理的で役立つかどうか)の三つだ。/有能なデザイナーならこれら三つの制約をすべて解決しようとするだろうが、「デザイン思考家」はこの三つのバランスを取ろうとする。 p28
    ・ 時に、デザイン思考は手を出しづらいほど抽象的に見えるが、その本質は思考の「具体化」である。
    ・ 「デザイン思考家」の仕事とは、人びとが自分でさえ気付いていない内なるニーズを明らかにする手助けを行うことだ。 p56
    ・ ライナス・ポーリングはそれを見事に言いあらわしている。「よいアイデアを手に入れる最良の方法は、多くのアイデアを手に入れることだ」。そして、彼は二度のノーベル賞を受賞した。 p89
    ・ 「分析/アナリシス」と「綜合/シンセシス」 もちろんデザイナーも、・・・・・・分析ツールを用いて複雑な問題を分解し、より詳しく理解しようとする。しかし、創造的プロセスでは「綜合」、つまり部分をつなぎ合わせて意義のあるパターンを見つけ出す必要がある。 p91
    ・ デザイン思考は、新製品を世に送り出す上で役立つが、最終製品が物語そのものである場合もある。つまり、進化生物学者のリチャード・ドーキンスのいう「ミーム」(自己複製して行動、認識、考え方を変化させるアイデア)を送り出すのが目的の場合だ。トップダウン型の権力が疑問視され、中央集権ではもはや十分とはいえない、現代の混沌としたビジネス環境では、革新を巻き起こすアイデアは自己伝搬する必要がある。 p180
    ・ デザイン思考家はたいてい不足気味だ。しかし、あらゆる組織の中に存在している。大事なのは、そういった人びとを見つけ、育て、もっとも得意な作業をさせることだ。 p294


    【目次】
    はじめに ―――デザイン思考のパワー
    パート1 デザイン思考とは何か?
     1.デザイン思考を知る ―――デザイン思考はスタイルの問題ではない
     2.ニーズを需要に変える  ―――人間を最優先に
     3.メンタル・マトリクス ―――「この人たちにはプロセスというものがまるでない!」
     4.作って考える ―――プロトタイプ製作のパワー
     5.初心にかえる ―――経験のデザイン
     6.メッセージを広げる ―――物語の重要性
    パート2 これからどこへ向かうのか
     7.デザイン思考が企業に出会うとき ―――釣りを教える
     8.新しい社会契約 ―――ひとつの世界に生きる
     9.デザイン・アクティヴィズム ―――グローバルな可能性を秘めたソリューションを導き出す
    10.いま、未来をデザインする

  • 2010年4月25日 初版印刷

    サブタイトルは「イノベーションを導く新しい考え方」
    原題は「Change by Design」

    簡単に感想を書くには、あまりにも大きすぎるテーマだ。

    戦術としてのデザインから戦略としてのデザイン。
    人間主体のデザイン。
    経験のデザイン。

    人生のデザイン。

    重要な要素がたくさん詰め込まれている。これを読めば即座にデザイン思考が身につくわけではない。しかし、それが持つポテンシャルの大きさを知ることはできるだろう。

    私は、プロトタイプ思考が大好きである。自分の人生が大体「実験的」である。そしてそういう実験から時々とんでもなくおもしろいものが出てくる。そういうのを一度知ってしまうと、なかんかプロトタイプ思考から抜け出ることはできない。

    とりあえずは、読んでみて下さい、としか言えない一冊だ。

  •  デザイン思考は、人間中心であるというだけでなく、人間の本質そのものともいえる。直感で判断する能力。パターンを見分ける能力。機能性だけでなく感情的な価値をも持つアイデアを生み出す能力。単語や記号以外の媒体で自分自身を発信する能力。それを重視するのがデザイン思考だ。(p.12)

    「デザイン思考家」の仕事とは、人々が自分でさえ気付いていない内なるニーズを明らかにする手助けを行なうことだ。そのためには、どのようなアプローチが必要か?漸進的で平凡な変化ではなく、地図を塗り替える飛躍的な発想を生み出すには、どのような手段が必要なのか?→「洞察」「観察」「共感」(p.56)

     デザインには、イメージ、形、質感、色、音、匂いを通じて私たちの感情を惹き付け、生活を豊かにするパワーがある。しかし、「デザイン思考」が持ち合わせている人間中心の性質は、次なるステップを指し示している。人々への理解や共感を利用すれば、積極的なかかわりや参加の機会を生み出す経験をデザインすることができるのだ。(p.151)

     人間とそれ以外の種の違いについて、さまざまな考え方が提唱されている。二足歩行、道具の利用、言語、記号体系。物語を伝える能力も、人間の持つ特徴だ。(中略)われわれが自分の考えを広める方法を身に付けるにつれて、社会構造は遊牧集団から部族、定住の村、都市や国家、そして国家を超えた組織や運動へと拡大してきた。それからほどなくして、日本人は欧米の衣服を身に着けても仕事に耐えられるように、夏には建物を冷やし、冬には温めるようになった。そしてついには、それをクールビズという物語へと変えたのだ。(p.171)

     本書の前半で、極端な利用者に目を向けるメリットについて述べてきた。また、外側(つまり市場の末端)に目を向けることで、もっとも魅力的な発想を得られる場合が多い理由についても述べた。その目的は、末端にいる人々のためにデザインすることではなく、そういった人々の情熱、知識、あるいは極限的な状況からインスピレーションを得ることだ。(p.259)

     優秀なデザイン思考家は観察するが、偉大なデザイン思考家は「普通」を観察する。一日に一回立ち止まって、普通の状況について考えるようにしてみよう。事件現場の刑事になったつもりで、普段なら一度しか見ない(あるいは、まったく見ない)行動やモノをもう一度観察してみよう。マンホールの蓋はなぜ丸いのか?あなたの10代の子どもは、なぜそんな服装で学校に向かっているのか?行列に並ぶとき、前の人とどのくらい間隔を空けて立つか、どうやって判断しているのか?色盲になったら、どのような感覚なのか?(p.299)

  • う~ん、1回読んだだけではちょっとフワフワしている。でも非常に大事な考え方みたい。なにかよい書籍や動画があれば教えてほしいです。提示されている問題にとらわれず、その問題の本質を見極めて自由な発想で解決する。解決というよりは、その問題を踏み台に新しいものを生み出しているイメージ。そしてプロセスを順番になめるのではなく、何度もトライ&エラー繰り返すところにベンチャー的な感覚を覚える。「問題」がまるでプラスに聞こえてくるような考え方。

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