- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784153350236
作品紹介・あらすじ
近未来アメリカ、地球温暖化による慢性的な水不足が続くなか、コロラド川の水利権をめぐって西部諸州の対立が激化していた……。『ねじまき少女』の著者が水資源の未来を迫真の筆致で描く話題作
感想・レビュー・書評
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とてもリアルかつ、エンターテイメント性の高い作品だった。すぐにでも映画化できそう。水の枯渇に苦しみ、水利権を巡って州同士の争いが絶えないアメリカ。そこで暗躍するウォーターナイフ。バチガルピ氏は様々なレポートなどの事実を元にこの物語を書き上げている。蛇口から滴る一滴の水も大切にしたくなる作品。
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SF文学としては自分は久しぶりに読めた。テーマは近未来になっているが、現実でも起こりそうな話だった。ちょっと暗かったので評価は3.
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水不足がもたらす血で血を洗うバトルが結構えぐいです。弱肉強食で理屈の通じない世界がリアル、人間の作った社会のほうがむしろフィクションなんじゃないかとはっとさせられました。伏線の置き方も素直でミスリードを誘うものはなく、文体も読みやすいです。とにかくこの話はフィクションながらも単なるフィクションと言いきれないものがあり、影響されやすいためか読後から水を見る目が変ってしまいました。
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悲惨な世界崩壊ものだけど、つい引き込まれるいつものバチガルピ節
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2015.12 日本は暴れる川の治水が大変だけど、アメリカは渇水か。どちらも恐ろしい。
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近未来、水不足のアメリカ南西部を舞台に、追い詰められていく人々の生活や水利権争いをリアルにシビアに描くSF作品。水資源公社の代表の命令で水利権に関わる怪しい動きを調査する工作員アンヘル。水利権売買を行おうとしていた知人の死を調査する女性ジャーナリストのルーシー。ただただ生き抜き現状を脱することに必死の難民の少女マリア。立場の全く違うこの三人の物語がやがて一つに繋がってくる。
物語の基本構成はアンヘルとルーシーを軸にするハードボイルド色強めのサスペンスなのですが、難民であるマリアの日常の物語にもっとも感情移入した。マリアの物語があることで、この土地の人々の悲惨な状況が伝わってきて、なんとも言えない焦燥感を感じてくる。
主人公たち以外の登場人物も含めて、皆がそれぞれの立場と考え方や哲学のもとに生きていて、それが絡み合って複雑に世界が動いているという感じがよく描かれている。
それぞれの物語で終始緊張感が継続し、テンポもよく、ラストぎりぎりまでどうなるのかと惹きつけられた。全体を通したいくつかの謎とその解決も小気味良い。このラストも好き。
面白かったです。 -
アメリカの作家パオロ・バチガルピ、2015年発表の小説。アメリカ南西部の諸州が旱魃で危機的な状況に陥った近未来を舞台にしたSF作品。警世の書としてのリアリティはあるのですが、中身はハードボイルド調の極めて通俗的なエンターテインメント。面白いけれど、一寸物足りない、という感じです。
水不足が深刻化し多くの難民が発生、河川の水利権を廻って各州の秘密組織が暗躍、州軍間の緊張も高まり内戦の一歩手前という状況にある近未来のアメリカ南西部が舞台。廃都と化しつつあるアリゾナ州の州都フェニックスでの不穏な動きの調査に赴いたラスベガスの秘密工作員、崩壊して行くフェニックスを執念で取材し続ける女性ジャーナリスト、地元ギャングの横暴に苦しむテキサスからの難民の少女、これら3者がコロラド川の水利権を廻る争いに巻き込まれて行く物語り。登場人物も皆それなりに魅力的だし、面白い作品です。 -
「ねじまき少女」が面白かったので、素早く購入。
さっさと読み終わってしまった。
変わらず、「起こり得る未来」というSFを読みなれていない自分には慣れない感覚。
それでも、納得してしまう。できてしまうのは、作者の力のだと強く感じさせられる。
石油、水、と来ると次はなんだろう?
人がいる、でも苦しい未来が待ち受けている世界。
これを、リアリティある作品として生み出せることがすごい。 -
水利権をテーマにしたSFサスペンス。
のんびり読んでいたら随分と時間がかかってしまった……。
『ねじまき少女』や『第六ポンプ』とはまた違った雰囲気の長編だった。ラストシーンはけっこうな衝撃。