アロウズ・オブ・タイム (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

  • 早川書房 (2017年2月23日発売)
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本 ・本 (520ページ) / ISBN・EAN: 9784153350311

作品紹介・あらすじ

技術を発展させた〈孤絶〉内では、ようやく故郷の惑星を滅亡から救う目星がついた。だが、誰も見たことのない母星に、危険を冒して戻る必要はないのではと意見する者も増えている。その中で、未来からの通信を受け取る装置の建設計画が開始されるのだが……。

感想・レビュー・書評

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  • 結局難しすぎて…
    でも読んだ。
    理解できてないのに面白い。
    グレッグイーガンの不思議。

  • 2段組み500ページが3冊、物理説明も難しくハードルの高い作品ではありますが、SF好き、新しいものやちょっと不思議なことが好きな人にはおすすめ。

  • グレッグ・イーガンの直交三部作ラスト。
    相変わらず難しいんだけど、前二作に比べるとまだ理解できるかな。
    ストーリーやキャラも前よりは深みがあるような。

    ただ、母性への帰還はこの三部作においてかなり大きなイベントだと思うのだけど、最後にさらっと描かれるだけで、いいんでしょうか。勿体ないような気が。
    頭のいい人が考えることはわからない。

    未来からのメッセージという謎のシステムがメインだけれど、多分これはストーリー的必要性よりも、理論が書きたかったんだろうなー。

    物理法則が異なる世界を思いつきストーリーに落とすという仕事はすごいとは思うのだけど、私は小説が好きな文系人間なので、どうしても物語的に物足りなさを感じてしまう。
    でもイーガンもおそらく小説的面白さよりこの世界を描きたかったのだと思うので、理論も含めて楽しめる人が評価してくれればそれでいいのだと思う。
    その試みは面白いと思うし、とても好感を持つ。

  • グレッグ・イーガンの〈直交〉三部作完結編『アロウズ・オブ・タイム』おわった!! さすがすごイーガンだぜ。陰謀渦巻く不安定な感じだったけど、最後の最後でぶいぶいかっ飛ばしててうふふってなった。あの最後の陰謀を阻止するところは読んでるとき微妙にわかってなかったよ…。

    直交惑星、つまり時間の矢が反転した惑星への調査隊派遣の奇跡はほんとおもしろかった。イーガン、どうもそういう発想を何かの記事のコメントとしてやったことがあるらしい。
    宇宙の幾何学についても最後に判明して、ファインマンダイアグラム的なサムシングの議論もきれいに決着がつく。

    科学史であり奮闘記であり、再会の物語であり、とてもナイスなイーガンでした。最初の使者がヤルダの母の友達(ヤルダの母にいろいろ教えてくれた人)なのアツかったねえ。

    時間や物理学について知ってもう一回読むためにも、まずは昨日買った時間やエントロピーについてのブルーバックス読むかー。そして作中の物理学はここ https://gregegan.net/ORTHOGONAL/ORTHOGONAL.htmlに作者によるクッソ詳しい解説があるので、読みたい。

  • 科学としての話はいつもの通りエキサイティングな内容で、もちろん大満足でした。著者の、生命と科学的思考力、数学的美しさへの愛情・畏敬が感じられる作品でした。
    ですが本作では小集団が発展した帰結として発生する政治的な話が多く、その点がむしろ根気がいる部分でしたね。。

    私達の世界から考えうる別の定理を出発点に話が展開し、ここまで話を膨らませて小説としても完結させるという、恐ろしいほどの才能の著者。
    感謝に堪えないですし、今後も楽しみにしています。

  • 相変わらず何が起きてるのかほとんど理解できないけど、それでも自分の置かれている状況で、最善を尽くして生きようとする登場人物(?)たちに引き込まれる。世代を経るごとに自分たちの生物的な問題まで解決していくなんて、人類よりはるかに発達した生き物だな。やっぱりブンブンうなるところに萌える。

  • 「直交」三部作完結篇。もっとひねった終わり方かと思っていたが、意外と素直に大団円を迎えた感じだ。今回は、私にはチンプンカンプンのサイエンス部分が少なく、三部作随一の読みやすさだった。これまで辛抱して読んできて良かったー。

    ま、理屈がわからないのは前作と同じなんだけど、今度は「未来からのメッセージ」というワクワクする要素が中心なので、難解さが気にならなかった。もし現実にそういうことが可能な技術が開発されたとしたら、一体どうなるんだろう。ここの「孤絶」社会は、きわめて規模が小さく、外界とほぼ隔絶した特殊な状況にあるわけだが、その中で繰り広げられる議論や策動、各人の葛藤が身に迫って考えさせられる。

    やはりイーガンには人間性に対するゆるぎない信頼があるのだなあと、これはあらためて強い印象を受けた。特に理性・知性というもの、そこに基盤を置いた科学=真理の探究の営みこそが、ヒトを人間にするのだというメッセージを感じる。

  • 物理法則も生物学的にも異なる世界の科学者たちの冒険譚。図解入りで世界観を説明したりと難しげだけれど、旧概念の束縛とか政治で苦労しちゃったりするのはフツーかな。
    最後の最後にえらくさっぱりとハッピーエンド的にもっていかれて拍子抜けした。

    破滅が予見された時に方舟的なもので一部が助かる、異星人や遠い未来の超科学で回避できてしまうというよくある展開ではないのはすごいのかな。

  • 三部作の完結編。
    こういうラストになるとは予想していなかったので、少々驚いた(ハッピーエンドだろう、という意味では正解だったが)。
    巻末の解説にある『時間とは何か?』という問いが、三部作を象徴していると思う。

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著者プロフィール

1961年、オーストラリア西海岸パース生まれ。SF作家。西オーストラリア大学で数学理学士号を取得。「祈りの海」でヒューゴー賞受賞。著書に、『宇宙消失』『順列都市』『万物理論』『ディアスポラ』他。「現役最高のSF作家」と評価されている。

「2016年 『TAP』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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