隣接界 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

制作 : 引地 渉  古沢 嘉通  幹 遙子 
  • 早川書房
3.83
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本棚登録 : 85
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (590ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784153350359

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  •  カメラマンのティボー・タラントはトルコで野戦病院で業務に従事する看護師の妻を反政府ゲリラの攻撃で失い、海外救援局によって英国に連れもどされる。しかもその英国はわれわれの知る英国ではない、グレート・ブリテン・イスラム共和国なのだ。ロンドンを通るが、救援局は何かを隠している。それは正三角形にすべてが消失している敵の攻撃のあとであり、彼の妻もその兵器にやられたのだ。そしてその兵器は隣接にかかわっているらしい。タラントは現実なのか何なのかわからないカフカ的世界に引き込まれていく。
     そしてそのタラントの物語に別の物語が挿入される。第一次大戦中、敵を欺いて飛行機を見えなくする作戦に駆り出された手品師は道中の列車の中でH・G・ウェルズと知り合う。隣接を発見した晩年のリートフェルト博士に取材に行く記者、同道するカメラマンは若き日のタラントだ。第二次大戦中、いわくありげなポーランド出身の女性パイロットに恋した整備兵の話。いやそれはその女性パイロットの来歴の物語でもある。そして夢幻諸島のブラチュウスで一旗揚げようとする奇術師の巻き込まれる事故、それにかかわる女性の視点からの別の現実。プリーストの多くのモティーフが放り込まれているのだが、こうした物語が隣接なのだ。
     全体を覆う戦争の影、そして航空機への愛。いや、「限りなき夏」のプリーストが帰ってくるのだ。

  • プリーストならではの夢幻のたゆたい感。どこに運ばれるかわからないけど、ずーっと浮かんでいたかった。ネタバレしてはいけないやつなので、何も書かないけど、今のところ今年1番じゃなかろうか。早川書房さんは立派だなあ、こんな本を次々と!
    特定できない誰かが恋しく、その不在を痛く感じるのは、隣接界の私の記憶なのかも。

  • 未読の他の作品も読んどかなきゃ!中断していたのを読了。色んな世界が混じってくるのを追いかけるのは難儀だけれど、やめられない面白さがある。
    他の作品読んでなくても楽しめると思うけど、知っていた方がより楽しめると思った。歴史も。
    『奇跡の石塚』ってのが読みたい!

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