折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036)

著者 :
制作 : ケン リュウ  牧野 千穂  中原 尚哉  大谷 真弓  鳴庭 真人  古沢 嘉通 
  • 早川書房
4.09
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本棚登録 : 347
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784153350366

作品紹介・あらすじ

三層に分かれた折りたたみ式の北京を描いた■景芳による表題作、中国に史上初のヒューゴー賞をもたらした劉慈欣『三体』の抜粋「円」など7作家の13作品を、『紙の動物園』著者のケン・リュウが選び収録。いま一番SFが熱い国・中国の粋を集めたアンソロジー。(■は赤へんにおおざと)

感想・レビュー・書評

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  • 現代中国SFのよりぬきアンソロジー。本全体から受けた印象は、とにかく人が多く、資源の配分が偏っていて、もらえない人が辛く、将来が見えないということ。急速に発展中の国の人たちが書いたのに、重苦しい読み心地の作品が多かったは意外だった。でも、ここで自分の受けた印象を眺めると、現代中国の問題意識が強く反映されているということになるようだ。前書きで編者が「中国特有のテーマの作品群と思ってほしくない」というようなことを書いていたと思うが、やはり、国の個性は出ているのではないかな。

    ということでSFに浮遊感と驚きを求めたい者としては「ぜんぶおもしろかった!」とは言い難いが、テクノロジーが難題を解決するさまが爽快な夏笳の「童童の夏」と、中国の物量作戦ここに極まれりという感のある劉慈欣の「円」がよかった。「円」は『三体』の一章を抜き出して改変したものだそうなので、『三体』もぜひ読んでみたい。

  • 貴志祐介の「新世界より」アニメ版の絵が頭に浮かんでくる『沈黙都市』。もう少しスラップスティック色を強めれば筒井康隆の初期作品に比肩するような『折りたたみ北京』。中国古典文学の大仰さを現代に持ち込んだような『円』。そして小粒だけれど強い印象を残す『コールガール』など、宇宙ものは無いけれどバラエティに富んだSF作品を集めた一冊。これは面白い!

  • 百鬼夜行街、円、神様の介護係が面白い。特に人間3人を使って基本的な演算回路を作り、300万人集めて人力コンピュータを作るという「円」が素晴らしい。昔の日本のsfって、こういうセンスオブワンダーがあったんだよなー、と思いました。

  • 郝景芳「見えない惑星」
    「あなたが見てきて魅力的だった惑星の話を聞かせて」という会話ではじまる、この短編がよかった。

    南半球と北半球とで大きく標高が違い、惑星一周を赤道にそって急傾斜の崖が走りそこに市街地が形成された惑星ピマチェー。
    時間系が異なりお互いを知らないのけれど影響しあっている、二つの種族が住む惑星アミヤチ。
    惑星のどの形態にも知的で風変わりなエピソードが込められていて、そこに住む生き物たちの関係性は幻想的。
    幾つもの惑星間放浪をしたものには行き着いてみえてしまう、惑星の孤独なすがたがあり、2人の会話が効果的に挟まれてた。
    次の表現が好きだった。
    「建物のあいだの空間を埋める隠喩のように、解読不能の言語が断片的に残されていた。..
    「僕が話した惑星は宇宙のあちこちに散らばっているけど、ときどき一ヶ所に集まる。..
    いまは君も僕も語り手であり、また聞き手なんだ。」

    ほかの短編も読んでみたい。

  • 中国というバイアスをとっぱらって、素直にSFを楽しもうと思ったのだけれど、やはりなかなかそうもいかない。どうしたって人間が書いているのだから、現実の社会や環境、価値観が影響しないわけはないのだし、それでいいのだと思う。日本のSFもこのくらい盛り上がって欲しいものだが、それには日本の「三体」が必要だ。個人的には技術の進歩が人間の要請にそって希望がきらめいている「童童の夏」が可愛くて好きだった。

  • 知らなかった、赤い国じゃなく、熱い国だったんだ!

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    『紙の動物園』のケン・リュウが集めた中国SFの粋
    三層に分かれた折りたたみ式の北京を描いた■景芳による表題作、中国に史上初のヒューゴー賞をもたらした劉慈欣『三体』の抜粋「円」など7作家の13作品を、『紙の動物園』著者のケン・リュウが選び収録。いま一番SFが熱い国・中国の粋を集めたアンソロジー。(■は赤へんにおおざと)
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    http://www.hayakawa-online.co.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000013808&search=%B8%BD%C2%E5%C3%E6%B9%F1SF%A5%A2%A5%F3%A5%BD%A5%ED%A5%B8%A1%BC&sort=

  • 「沈黙都市」 オーウエルの1984を下敷きに。あれから現代までの流れの中で、その世界を恐れる精神がすり減っているのを感じた。年齢的なものもあるが。言葉を抑圧されようがされまいが全体の方向性が変わらないなら、寂静の世界は魅惑的ですらある。
    「円」三体の1エピソードを広げて短編とした作品。人間コンピュータ、見たい。何しろ見たい。原理はよくわからなかったけれども。
    「おりたたみ北京」なるほどこうきたか、人工増加に対する有効手段かも。希望がない世界に思えてしまうけど、暗さがなく、結局人生こういうものです、と最後晴れ晴れする気すら。

  • 中国現代SFのアンソロジーである。序文や収録されているエッセイで、中国SFはどう中国なのか質問されるという話が出てくるが、今回紹介されているSFはバラエティに富んでいて、一口で中国SFを定義できない。
    面白いのは、このアンソロジーが英語経由で日本語に訳されているということ。英語圏において中国現代SFが広く紹介されていることにも気づかされる。
    表題作の『折りたたみ北京』を読んでファーマーの『ディワールド』とあさのあつこの『No.6』を思い出した。一週間を平等に分けるディワールドと違って、功利主義の行く末としての折りたたみ北京の怖ろしさ。これは国の差というよりは、時代の差なんだろうと思った。

  • ケン・リュウ編『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロ』読了。中国出張に際し積んでたのを思い出し機中で読み出すや、その面白さ多様さに引き込まれる。冒頭の『鼠年』や表題作『折りたたみ北京』も良作だけど、荊軻が始皇帝暗殺の代わりに三百万の兵で円周率を計算する歴史改変ハードSF『円』が白眉。

  • 現代中国のSFアンソロジー。どの作品も皆面白い。夏茄の作品をもっと読んでみたい。

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著者プロフィール

1984年、中国・天津生まれ。2006年に清華大学物理学科を卒業後、同大天体物理センターを経て同大経営学部で経済学の博士号を取得。高校在学中の2002年に30歳以下を対象とした「新概念作文大賽」で一等賞を受賞し頭角を現す。2006年からSF作品の執筆を始める。2007年、「祖母家的夏天(おばあちゃんの家の夏)」が銀河賞の読者ノミネート賞を受賞。社会科学に関心を抱きはじめ、博士課程は清華大学経済管理学院に学び、2013年に国際貿易研究で博士号を取得した。長篇小説『流浪蒼穹(蒼穹の流浪)』(2016年)、短篇集『去遠方(遠くへ行くんだ)』、本書『孤獨深處(孤独の底で)』(2016年)のほか、紀行エッセイ『時光裡的欧洲(時間の中のヨーロッパ)』(2012年)が単行本として刊行されている。
2014年に発表した本書収録作「北京 折りたたみの都市」は中国系アメリカ人作家のケン・リュウによって2015年に英訳され、2016年、ヒューゴー賞(中篇小説部門)を受賞した。

「2019年 『郝景芳短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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