折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036)

著者 :
制作 : ケン リュウ  牧野 千穂  中原 尚哉  大谷 真弓  鳴庭 真人  古沢 嘉通 
  • 早川書房
4.09
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レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784153350366

感想・レビュー・書評

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  • 貴志祐介の「新世界より」アニメ版の絵が頭に浮かんでくる『沈黙都市』。もう少しスラップスティック色を強めれば筒井康隆の初期作品に比肩するような『折りたたみ北京』。中国古典文学の大仰さを現代に持ち込んだような『円』。そして小粒だけれど強い印象を残す『コールガール』など、宇宙ものは無いけれどバラエティに富んだSF作品を集めた一冊。これは面白い!

  • 中国でのSF小説には百年の歴史があるらしいが、毛政権までは共産党施政下の科学教育教材の比重が大きかったらしい。

    本書が示す現代中国SF小説の質の高さは印象的だが、通読すると中国風の雰囲気をどことなく感じられる気がする。

    現代が既にある意味SF的な状況にあることもあり、それほどのハードなSF感はなく、どちらかと言えば叙情的なものが多い。

    本書は英語で編まれたアンソロジーの翻訳なので英訳からの日本語訳なのだが、中国語から直接翻訳されていればもっと中国色が強く感じられるのではなかったかとも思える。

  • ケン・リュウ編『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロ』読了。中国出張に際し積んでたのを思い出し機中で読み出すや、その面白さ多様さに引き込まれる。冒頭の『鼠年』や表題作『折りたたみ北京』も良作だけど、荊軻が始皇帝暗殺の代わりに三百万の兵で円周率を計算する歴史改変ハードSF『円』が白眉。

  • 現代中国SFアンソロジーという副題にたがわぬ、面白いSFが詰まっていた。ケンリュウの英訳をさらに日本語に訳してあるので、言葉使いは原典からどのくらい違うのかわからないが、発想やストーリーは十分堪能できる。
    劉慈欣(リュウツーシン)の三体はぜひ読んでみたい(オバマも読んでる)

    鼠年/陳楸帆:まだ鼠の毛一本見つけていない
    麗江の魚/陳楸帆:再訪した。今回は病人として
    沙嘴の花/陳楸帆:深圳湾の夏は10か月続く
    百鬼夜行街/夏笳:百鬼夜行街は藍色の帯のように細く長い通りです。
    童童の夏/夏笳:おじいちゃんがうちに引っ越してくるわよ
    龍馬夜行/夏笳:りゅうまは月夜に目覚めた。
    沈黙都市/馬伯庸:時は2046年。中国政府への風刺?
    見えない惑星/郝景芳:魅力的だった惑星の話をきかせて
    折りたたみ北京/郝景芳:ごみ処理施設での勤務が終わったあと老刀は・・・
    コールガール/糖匪:小一のほっそりした裸体だけが、細い朝陽に照らされている。
    蛍火の墓/程婧波:雪止鳥が空にあらわれ、世界の混乱は深まりました。
    円/劉慈欣:秦の首都咸陽紀元前二二七年
    神様の介護係/劉慈欣:神のせいで秋生一家はまたしても大騒ぎだった。

  • 中国SF短編集。

  • ギブスン調、オーウェル調、カルヴィーノ調、クラーク調といった影響元が明らかなものから、中国調としか言いようのない不思議な幻想小説まで。

  •  個別の感想とは別に、全体的な印象としては、親子や血縁に関する情が表面に現れている作品が多かった気がする。
    中国の儒教的な文化が背景にあると言ってしまえばそうかも知れないが、むしろ日本や西洋のSFの側が、その国の現在の平均的な社会の有り様よりも個人主義的姿勢を作品内で強調して描きがちな傾向があるのかもしれないと思った。
    中国の神や民話や歴史のムードはとても好みだし、SF的な換骨奪胎にも向いている気がする。
    深センを舞台にした「沙嘴の花」がとても良かったので、香港や北京や上海などフィクション全般に使われがちな土地以外の現代中国を舞台にした作品も読んでみたくなった。

  • 気に入ったのはタン・フェイ『コール・ガール』、気になったのはリウ・ツーシン。

  • 漢字表記の人名や地名に読み難さを感じたけど、フツーに名品揃いのSFアンソロジーだった。中国でこれらの小説が発表出来ているというので( ゚Д゚)
    で『三体』ってのの邦訳が激しく読みたいんだけど~

  • 中国のSF短編をまとめたもの。現代中国文学を読む機会がなかったので想像以上のレベルの高さに驚いた。「沈黙都市」や「折りたたみ北京」は外からみた中国っぽさにも合っているので特に面白かった。

著者プロフィール

1984年、中国・天津生まれ。2006年に清華大学物理学科を卒業後、同大天体物理センターを経て同大経営学部で経済学の博士号を取得。高校在学中の2002年に30歳以下を対象とした「新概念作文大賽」で一等賞を受賞し頭角を現す。2006年からSF作品の執筆を始める。2007年、「祖母家的夏天(おばあちゃんの家の夏)」が銀河賞の読者ノミネート賞を受賞。社会科学に関心を抱きはじめ、博士課程は清華大学経済管理学院に学び、2013年に国際貿易研究で博士号を取得した。長篇小説『流浪蒼穹(蒼穹の流浪)』(2016年)、短篇集『去遠方(遠くへ行くんだ)』、本書『孤獨深處(孤独の底で)』(2016年)のほか、紀行エッセイ『時光裡的欧洲(時間の中のヨーロッパ)』(2012年)が単行本として刊行されている。
2014年に発表した本書収録作「北京 折りたたみの都市」は中国系アメリカ人作家のケン・リュウによって2015年に英訳され、2016年、ヒューゴー賞(中篇小説部門)を受賞した。

「2019年 『郝景芳短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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