- 本 ・本 (720ページ)
- / ISBN・EAN: 9784153350427
作品紹介・あらすじ
画期的な脳外科的手術により、恋人同士が気持ちをダイレクトに伝え合うことが可能になった社会。ボーイフレンドとの愛を深めるため処置を受けたブリディは、とんでもない相手と接続してしまう!? コミュニケーションの未来をテーマにした超常恋愛サスペンス大作
感想・レビュー・書評
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SF作家コニー・ウィリスの近未来SFラブコメ。
テレパシー能力やコミュニケーションの問題を扱いつつ、笑わせながら怒涛の展開へ。
ブリディは、携帯電話メーカーに勤めるキャリアウーマン。
仕事の手配に忙しいうえに、しょっちゅう電話をかけてきたり、会社にまで押しかけてくる家族たちに大いに悩まされながらも、いきいきと活動していました。
じつは、会社一ハンサムなトレントという理想の恋人ができたばかり。
トレントのたっての希望で、EEDという最新の脳外科的手術を受けることにします。
特定の相手と感覚的に結びつき、言っていることが本気かどうか感情を感じ取れるようになるというもの。
言葉が伝わってくるわけではないけれど、ある意味ではテレパシーといえる、画期的なものなのです。
ところが、なぜかトレントではなく、変わり者の同僚、CB・シュウォーツと心がつながってしまいます。
開発担当のCBは才能はあるのですが、地下の仕事部屋にほとんど住んでいるオタク。
口うるさい親族や噂好きの同僚に隠して事を行ったブリディは、困り果てます。
姪のメイヴはまだ9歳だが、意外な理解者となり、手を貸してくれることに。家族の問題にも新たな焦点が浮かび上がります。
孤立しそうな危機に、ブリディは今まで気づかなかったことに目を開かれることになるのです。
最初は目まぐるしすぎて、こっちも読むのが大変でしたが。
ブリディのテレパシー能力が開花した時に起こったこととは。
ドラマ性が高まり、テンポよく楽しませながらも深みのある物語で、ウィリスの真骨頂に。
これだから、いいのよね~!
もっとSF的ムードのある作品、重厚で感動的な作品もありますので、これは軽い方ですが。
仲間を得ての活躍ぶりと解決に快哉を叫びたくなるよう、読後感はいいですよ。
満足な読み応えでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『ブラックアウト』『オール・クリア』『最後のウィネベーゴ』を立て続けに読んで打ちのめされて以来、女王と仰いでいるコニー・ウィリスの最新長編。昨年末の発売直後に手に入れつつも積んでしまっていたところを、半年以上経ってようやく着手でき、読了しました。
かなりのボリュームながら、読み始めたら一気呵成なのは前作同様で、お得意のスクリューボールコメディが冒頭からフルスロットルで炸裂。バッドタイミングすぎるトラブルが次々と降りかかり、家族や同僚からの干渉にも行動を妨げられまくる主人公の、まったくもって生きた心地がしない状況にやきもきさせられつつも、軽快なテンポと魅力的な脇役の配置でくすぐりながらぐいぐい読ませていってくれる筆運びはさすがです。
それから、わりとウィリス作品に定番な”生意気な子ども”キャラが、ご多分にもれず今回も登場してかき回してくれるのですが、今作はこれまででその活躍ぶりにいちばん興奮を覚えたかも。
作品を通してのテーマが「コミュニケーション」であることは、主人公の勤めている携帯電話メーカーや、巷で流行しているEEDなる処置の話題からおのずと見えてくるんですが、その時点で作者の術中にはまっているとも言えます。中盤からラストに向けて、タイトルの『クロストーク』が意味するもの(SFモチーフとしてのみならず)のほんとうの姿が主人公の眼前に立ち現れてくるときの、その描写がもたらしてくれる多幸感たるや。ぜひ多くの方に見届けてもらいたいなと思います。 -
他人と直接感情を通じ合うための脳手術が流行っている世界。恋人とつながるはずだったヒロインは…。
ストーリーは王道で展開が読めてしまうが、設定の緻密さと恋愛過程の心の交流描写の丁寧さ、ピンチを切り抜ける駆け引きがよかった。序盤の大人数にごちゃごちゃ絡まれる展開が苦手な人はいるかも。
ややロマンスが強めだった。安心して予定調和型SFサスペンスロマンスを読みたい人へおすすめ。
会話文が多いから読みやすい。しかし、本文は二段組みで背表紙の分厚さは3cmほど。
1945年生まれの作者が「携帯電話メーカー会社に勤めスマホに追い回される主人公」をここまで違和感なく描いているのはすごいと思う。
全く説教感はないけれど、スマホやSNSなどつながり過多の社会で本当に必要なコミュニケーションとは、と考えさせられた。 -
SFはちょっとだけ苦手なので身構えていたら、思いっきりラブコメで小難しさは皆無。
おもしろかったけど、とにかくイライラする場面が多すぎて期待したほどには楽しめなかった。
無駄に長いし、どうかしている親族の言動(特に姉)は全く笑えないし。
病院で最初のトラブルが起きてからは、主人公にもイライラさせられ、最後まであまり好きになれず。
設定はよかったのに残念。
現代ニューヨークで人知れず存在する非科学的な現象、そしてそこで巻き起こるドタバタラブコメディ、という点では、シャンナ・スウェンドソン「ニューヨークの魔法使い」の方が設定やキャラクターの活かし方が上手いと思った。
でもCBは素敵。オーウェンより好き。
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コニー・ウィリスのラブコメSFはほんとになんてチャーミングなんだろう。幸せな気分になる。
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コニー・ウィリスは「航路」が大好きです。久しぶりの長編、やっぱり面白かった!ごちゃごちゃと話し言葉の情報が多いのも、自分がテレパシーを使えて次々に人の言葉が聞こえてきているよう。話の筋はほぼ最初に見えますが、それでもとってもワクワクしました!ちなみに、、、
ハヤカワポケットは、のちに文庫になるのではなかったでしょうか? -
スマートフォンの進化×昔ながらのテレパシー+王道のラブコメという、盛りだくさんのSF。
そりゃ700pも超えますわ!
一場面一場面が丁寧に描かれていて良かった。
吹き出して、ハラハラして、キュンとして。
面白かった。
ただ、主人公がね…最後まで好きになれなかったのね…。
そこは好みの問題なんだけど。
あと、似たようなやり取りが繰り返し出て来るのでちょっと辛い。
それはおそらく、テレパシストのしんどさを読者にも味合わせるためなんだろうと思うんだけど、「犬は勘定に入れません」があれだけ面白かったんだから、絶対これも面白いはず!と何度か自分を励まして読みました。ありがとうヴィクトリア朝花瓶。
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舞台はちょっと未来。恋人の気持ちがわかるようになる脳外科手術を受けた主人公は、エリートの恋人ではなく会社の地下の研究所にいるオタクな同僚とテレパシーでつながってしまう!… ていうSFラブコメなんだけど、話に勢いがついてからの怒涛の流れが圧巻。
冒頭、無意味で冗長なやりとりが空回りする感じがして「あー、ちょっと筆が滑りすぎ。面倒くさいな」と思ったけど、その、いちいちやりとりが長くてうっとおしい感じも、分厚い上に二段組という大長編を読みきる頃にはクセになってくる。
コニー・ウィリスの作品





