- 本 ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784153350519
作品紹介・あらすじ
破壊された村にやってきた主人公とその管理下のロボット「雪怪」が小型機械車と出会った顛末を描く「戦車の中」ほか、AIをめぐる物語6篇と2篇のエッセイを収録。劉慈欣『三体』に続き、中国にヒューゴー賞をもたらした「折りたたみ北京」著者による短篇集
感想・レビュー・書評
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全知全能に近づいたAIは、それを生み出した人と連なるものなのか、人とは分かたれてしまった存在なのか。
人である自分としては、連なるものであってしてほしいと考えるものの、存在したリアルな人間の情報でつくられた存在ならば果たしてどう考えればよいのか…、と悩まされたのが「不死病院」でした。そのAI/生身の人間の境目の付けかたへの逡巡の描かれ方とともに、物語としての展開を一番楽しめたのがこの作品でした。
ほかでは、ショートショートに近い作品ながら、初々しいピュアな子どもと全知に近いAIのやりとりがほほえましい「乾坤と亜力」が好きです。
人が生み出しながらも「個人」では到達できない彼岸へと到達したAIは、至らない人という種族の個を、取るに足らないと取るか、理解したいと接するか、ただ何も思考しないのか。その個体差はきっと千差万別で、根源たるヒトとそんなに変わらない愚かしさすら備えた個性を持つものもいるのかもしれないな、と思ったりしました。一周回って、隣り合う存在になってくれているのかも、と。 -
前半に、著者の人工知能に関するエッセイX2、そのあとでSF短編が続くという珍しい構成になっているのだが、これが正解。こういう見識がある人が書くと、こういう物語ができるのだなぁとより深く味わえた。
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「できますよ、できますとも」
現代のアシモフ。正直、これほどのハイレベルな知見をこの値段で読んでしまっていいのかとすら思う。 -
人は何処まで変わればその人ではなくなるのか、機械は人を理解できるのか、機械は人の代わりになれるのか。
この短編集の小説の多くは「感情」が1つのキーワードになっているように思う。
キリンの首が長くなったように、コアラがユーカリを食べる事を選択したように、感情こそが人が変化の過程で得た大事な武器の1つで、感情による不合理で非効率な行動や思考こそが人が人たらしめるものだと思うから。
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2021-04-30
折りたたみ北京にあった奇想さはあまりなくて残念。エッセイを読むと、むしろこちらが本質なのかもと感じる。
あと、完全に印象だけなのだけど、楳図かずお作品に通ずる所が感じられた。ROJINとかわたしは真悟とか。