ソース焼きそばの謎 (ハヤカワ新書 006)

  • 早川書房 (2023年7月19日発売)
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感想 : 37
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  • 本 ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784153400061

作品紹介・あらすじ

なぜ醤油ではなくソースだったのか? 発祥はいつどこで? 謎を解くカギは「関税自主権」と「東武鉄道」にあった! 全国1000軒以上の焼きそばを食べ歩いてきた男が、多数の史料・取材と無限の焼きそば愛でソース焼きそばのルーツに迫る興奮の歴史ミステリー

感想・レビュー・書評

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  • 膨大な資料のリサーチやインタビューを重ね、ソース焼きそば発祥について探る、良くできたミステリーのような一冊。「焼きそばかお好み焼き食べたい!いや、それよりもソバ入りのお好み焼き食べたい!!」と思いながら一気読み。漫然と思い込んでいた「お好み焼き&焼きそば大阪発祥説」は見事に覆させられ、皆んな大好き粉もん&ソースの歴史が良くわかった。
    続きの「あんかけ焼きそばの謎」も読んでみたい。

    ・明治30年代にお好み焼きが東京下町で、大正初期にはソース焼きそばが浅草で誕生。戦前までにお好み焼きと焼きそばは全国に伝播したが、焼きそばは東京のように中華麺を安価に入手できなかったため、本格的に提供されたのは戦後になってから。
    ・明治末に関税自主権が回復し、輸入小麦粉が減少。同時期に機械製粉の導入により、近代的製粉企業が現れる。明治40年頃に小麦粉の過剰供給に陥った結果、国内産の良質な小麦粉が安価で安定的に出回るようになり、大衆向けの飲食店でも気軽に利用できるようになった。それによりお好み焼きと、焼きそばの普及に不可欠な支那そばが普及していく。
    ・戦時体制下で焼きそば屋台は姿を消すが、戦後の食糧難でも入手しやすい食材を使用する焼きそば屋台は、ヤミ市で人気を博す。
    ・戦中連合国を支援する目的でアメリカは農協生産量を大幅に増大させたが、朝鮮戦争終結後にダブつき日本に大量流入。その結果、小麦粉食が農村にも広かった。
    ・合成甘味料チクロが認可される前の時代、サッカリンは加熱によって苦味を感じるためソース後がけが主流となった。現在もソース後がけの店は昭和21〜31年創業と推測できる。
    ・終戦直後でも北海道は小麦粉やソースに頼らずに済む恵まれた状況であったため、コナモン文化が根付かず、ソース文化不毛の大地となった。

  • 何故、醤油でなくソースなのか?その発祥は何処?
    ソース焼きそばの謎を各種の史料から読み解き、探索する。
    全国各地の60を超えるソース焼きそばのカラー写真も掲載。
    ・昭和15年頃の浅草周辺の地図
    ・まえがき
    ・プロローグ 昭和11年の焼きそばマニュアル
    第1章 ソース焼きそばの源流へ
    第2章 ソース焼きそばの発祥に迫る
    第3章 戦後ヤミ市のソース焼きそば
    第4章 全国に拡散するソースの香り
    ・あとがき
    ・ソース焼きそば年表、参考文献有り。
    各節ごとに節の要約有り。

    ソース焼きそばの発祥を求めての探索は、ミステリーの如く。
    多くの史料・資料や文献、書籍を調べ、店を訪ねての取材は情熱。
    大正初期に既にあった中華料理屋。製麺機と屋台の支那そば。
    明治・大正・昭和期の小麦粉の事情の変遷。
    浅草、千束の店や屋台の焼きそばを検証。
    戦前の、屋台のお好み焼きからのソース焼きそば単独へ。
    戦後の、ヤミ市でのソース焼きそばの人気。
    醤油よりもソースが入手し易かった訳と
    ソース後がけスタイルの理由。
    ヤミ市から全国に伝播したソース焼きそばは、
    やがて各地で新たな食文化して芽吹く。
    それら各地の焼きそばのルーツと現在のご当地焼きそば。
    一口にソース焼きそばと云っても、膨大な参考文献で見る
    ように、断片的であり、辿ることの困難さが窺える謎解きでした。
    関東と、関西や他地域での事情の違いも興味深いもの。
    その紹介するカラー画像の焼きそばが実に美味しそう。
    ソース焼きそばを食べながらその歴史を味わうのも、また良し。

  • 『ソース焼きそばの謎』刊行記念イベント 塩崎省吾が稲田俊輔氏と語り合う「食を探求すること」開催!
    https://www.hayakawa-online.co.jp/new/2023-07-14-134104.html

    【お知らせ】ハヤカワ新書『ソース焼きそばの謎』本日発売! | 焼きそば名店探訪録
    https://yakitan.info/archives/book-hayakawa-20230719

    ソース焼きそばは「お好み焼き」の一種として生まれた!? 塩崎省吾『ソース焼きそばの謎』まえがき|Hayakawa Books & Magazines(β)
    https://www.hayakawabooks.com/n/na6f71cdab09f

    ソース焼きそばの謎 | 種類,単行本 | ハヤカワ・オンライン
    https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015508/

  • 今年読んだ本で言うと「ポテトチップスと日本人」も思い切り堪能しましたが、この「ソース焼きそばの謎」もなかなかに満喫できる新書でした。マニアックという言葉では言い表せられない探求力でなんとなく語られている俗説を打破していきます。例えば大阪発祥説、戦後普及説などなど…その中で今回、個人的に目から鱗的に理解できたのはお好み焼きの発祥でした。イカ天、エビ天が具材の標記とか味のバリエーションではなく、料理の形態模写であったこと。浅草染太郎のシューマイ天も食べたことありますが、なんでこれがシューマイなのだろうと不思議な気持ちになったことを思い出しました。でもそのワンダーな気持ちが、お好み焼きのDNAだったのだとは!日本人と小麦粉の関係、製粉機、製麺機の歴史、鉄板ファーストフードビジネスの来歴、ソースと人工甘味料の関係、どんどんソース焼きそばから拡がる社会と文化と政治の変化に振り回されました。もはや「焼きそば学」と言える世界だと思いました。たまたまNHK特集の再放送で1978年11月17日の番組「食卓のかげの星条旗 〜米と小麦の戦後史〜」観ましたがその内容であるアメリカの小麦輸出戦略とも重なり合います。そうとうにドメスティックなソース焼きそばですが、鉄板の上から見る世界は広い!そしてスパイシーで濃厚でした。

  • ん~
    そんなに来なかった

    なぜ中国の焼きそばじゃなくてソース焼きそばが流行ったのか!
    最初は読めてたのが最後のほうが辛くなっちゃったなぁ〜

  • はじめは浅草起源ということで楽しく読めたが後半は筆者の思い出の焼きそば屋めぐりの日記だったのだろうか…

  • ソース焼きそばのルーツを探る一冊。諸説あるらしい起源を迫っていく様が必死で、何とも言えない熱意に溢れています。著者さんの焼きそばブログも見てみようかな。
    yakitan.info

    ■ソース焼きそばは、もともとお好み焼きの一種。
    ■どうやら戦前の浅草にルーツがありそうというのが著者さんの説。歴史が興味深くて、
    日本が関税自主権を取り戻す→海外製の粉と価格勝負できるようになる。粉を清に輸出するまでになる→東武線が出来て東京まで粉を輸送するルートができる→浅草は粉の仕入れに適した場所だった。
    ■浅草近辺の老舗が気になった。田原町の染太郎、千束のデンキヤホール、清川の大釜本店

  • 現代でもある「ソースあとがけ」の焼きそばは戦中戦後統制で砂糖が手に入らない時に、ソース業者がサッカリンやズルチン代用ソースを作った。それを焼きそばに入れたのがルーツ。サッカリンは熱に弱く、火入れをすると苦くなるため、あとがけにした。尚、代用の代用でチクロが後に使われたが、こちらは大変味が良かったという。166

    鉄板でステーキを焼く「高級鉄板焼」の元祖は、
    神戸みその。1945年焼け野原のなか、造船所で手にいれた鉄板でお好み焼きを焼いたのがルーツ231

    前橋市あくざわは昭和23年以前創業202

    「エンコ」浅草公園の愛称。コウエン⇒エンコ63

  • 焼きそばは麺類なのにお好み焼きなどのコナモンに分類される。
    誰もが知ってるソース焼きそばのルーツに迫る。
    とても面白かった。
    テレビでドキュメンタリーつくっても絶対面白いだろうなと思います。

  • <目次>
    第1章  ソース焼きそばの源流へ
    第2章  ソース焼きそばの発祥へ迫る
    第3章  戦後ヤミ市のソース焼きそば
    第4章  全国に拡散するソースの香り

    <内容>
    もう学術論文やん!?というのが正直な感想。特に第1,2章は様々な文献に当たり、巻末に強烈な出典注がつく。著者をここまで追い込んだ?のは、ソース焼きそば愛だろう。ソースの香り、もちもちとした食感、食事でも酒の肴でもOK!。確かに縁日の屋台に始まり、「日田やきそば」「そばめし」「富士宮やきそば」「横手やきそば」…。B級グルメとしてあちこちで名乗りが上がっている。食べたくなること請け合いである。

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