- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784153400207
作品紹介・あらすじ
明治10年に創立した上野・国立科学博物館。どんな組織であり、研究員は日夜何をしているのか? 日本中が注目したクラウドファンディングの舞台裏とは? 新書大賞2023第2位『人類の起源』著者にして現・科博館長が明快に説き語る、「文化としての科学」論!
感想・レビュー・書評
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科博内部の研究者から初めて館長職に就任した著者が語る、
博物館とは。科学系博物館とは。そして、国立科学博物館の
足跡と未来の展望について。
・はじめに
PART1 文化としての科学
PART2 博物館の役割
PART3 科博の実践――「リアル」の価値を問い直す
・あとがき
コラム、写真出典一覧有り。
科博の歩み、実情と未来への展望を伝える内容です。
技術開発と科学の進歩は、ホモサピエンスの進化と
ゲノム研究。古代ゲノムの解析での人類の進歩の研究へ。
それは、自然科学と人文科学の関係性。
自然科学も文化の一部として社会に定着させる重要性がある。
国立科学博物館の歴史は、理工系と自然史。
5つの研究部に専門家な約60人の研究者たち。
本館以外の施設と収蔵庫。約5,000万点の収蔵品数。
自然教育園の事。実験植物園には、ショクダイオオコンニャク、
ニュートンのリンゴとメンデルのブドウの木がある。
文化財と自然史財について。標本の価値。
博物館と法律。独立行政法人という位置。
そしてコロナ禍の苦心惨憺とクラウドファンディング。
以前、「標本バカ」川田伸一郎/著を読んでいたので、
光熱費の高騰は標本保存に影響を与えるだろうと心配して
いましたが、標本・資料が“地球の宝”としてのスローガンと
成り、クラファンを行ったことには、胸が熱くなりました。
また、その地域ならではの研究と標本がある、
全国の博物館との協働も、未来への布石になると思います。
この本がSFの大御所の早川書房から出たことも、嬉しい。
「科学を文化に」は未来への希望とも感じました。 -
早いうちに読んだほうがいい。
すぐに忘れ去られそうな社会的背景、あっという間に古びれそうな研究や技術的知見がもとになっている。それは間違いが含まれているという意味ではなくて、今のうちに読まないと、これらが過去とみなされる立ち位置から読み解かれ、政策への批判、警鐘とうい価値に単一化されかねず、筆者の想いを取りこぼすことになりかねない。
以上が取り急ぎのコメント。レビューはこのあと時間を見て追記します。 -
ハヤカワ書房が!新書シリーズを出している!と遅ればせながら気づき、まずはこの作品から読み始め。
「科学を文化に」のスローガンの意味は、読み通すと理解でき、科博及び科学に取り組む方々すべてを応援したい気持ちになる。
長いスパンで物事を捉えることの大切さを感じた。 -
書店で見かけて気になってはいたんだけど、直接のきっかけはどこかの書評から。科博、行きたいな~。一度だけ立ち寄った時も、短時間しか滞在できず、不全感しか残ってないからな~。本書を読んで、そういえばクラファンの話題で見かけたときにも、凄くいきたい気分が盛り上がったんだったと思い出した。それにしても、国立なのに国からの救済措置はろくに得られず、更には内部留保も許されんって、えらい厳しい条件だな。一般企業だと考えられんことだけど、こういうところにも、利潤企業最優先、公の部分については、自分たちが太ることしか考えん、っていう国の本質が垣間見えて嫌だな。本筋とは逸れるけど、そんなことが印象に残っちゃう。
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日本の科博は独特
読了45分 -
歴史とか未来とかを考える時、どのくらいのスパンで考えるかで結果や考察が変わってくるというのが、あらためて分かった。科博行ってみたい
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「科学を文化に」科博(国立科学博物館)の館長が語る科学とは、博物館とは、科博とは。そしてあのクラファンのこと。
ものすごく面白く興味深い内容。これは博物館や科学に興味のない人にこそ知ってほしい内容。興味を持つことが、地球の宝を守る。 -
何冊かオーディブルを聞いてきたけれど、この本ほどオーディブルらしいものはなかったように思う。
ナレーターはデジタルボイスで、内容が科博と科学についてというものだったため、私が子どもの頃に思い描いていたSFのような手触りをしていた。
とはいえ、手触りこそSFではあるものの、内容はれっきとした現実、あまり手放しで楽観視出来ない状況というか、いささか情けない気持ちになってしまう現状があったりする。しかし、著者はひたすらに前向きで言葉選びも丁寧だ。文理を超えての、人文学に教育の軸を……という考えにも同感だ。
残念なことに、こうした話を読んだり聞いたりするのは、興味を持つ人が多数を占めるわけだけれど……広く聞いて欲しい内容だと思う。
若干の難点は、著者の専門に紙面(オーディブルの場合は、どういうべきなのかしらん)を多く取っていて、我田引水な印象があるところだろうか?
科博といえば、クラファンの成功が想起されるが、この件についての詳細もあって、ジャーナルとしても興味深かった。