- 早川書房 (2024年2月21日発売)
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感想 : 19件
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Amazon.co.jp ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784153400207
作品紹介・あらすじ
明治10年に創立した上野・国立科学博物館。どんな組織であり、研究員は日夜何をしているのか? 日本中が注目したクラウドファンディングの舞台裏とは? 新書大賞2023第2位『人類の起源』著者にして現・科博館長が明快に説き語る、「文化としての科学」論!
感想・レビュー・書評
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科博内部の研究者から初めて館長職に就任した著者が語る、
博物館とは。科学系博物館とは。そして、国立科学博物館の
足跡と未来の展望について。
・はじめに
PART1 文化としての科学
PART2 博物館の役割
PART3 科博の実践――「リアル」の価値を問い直す
・あとがき
コラム、写真出典一覧有り。
科博の歩み、実情と未来への展望を伝える内容です。
技術開発と科学の進歩は、ホモサピエンスの進化と
ゲノム研究。古代ゲノムの解析での人類の進歩の研究へ。
それは、自然科学と人文科学の関係性。
自然科学も文化の一部として社会に定着させる重要性がある。
国立科学博物館の歴史は、理工系と自然史。
5つの研究部に専門家な約60人の研究者たち。
本館以外の施設と収蔵庫。約5,000万点の収蔵品数。
自然教育園の事。実験植物園には、ショクダイオオコンニャク、
ニュートンのリンゴとメンデルのブドウの木がある。
文化財と自然史財について。標本の価値。
博物館と法律。独立行政法人という位置。
そしてコロナ禍の苦心惨憺とクラウドファンディング。
以前、「標本バカ」川田伸一郎/著を読んでいたので、
光熱費の高騰は標本保存に影響を与えるだろうと心配して
いましたが、標本・資料が“地球の宝”としてのスローガンと
成り、クラファンを行ったことには、胸が熱くなりました。
また、その地域ならではの研究と標本がある、
全国の博物館との協働も、未来への布石になると思います。
この本がSFの大御所の早川書房から出たことも、嬉しい。
「科学を文化に」は未来への希望とも感じました。 -
『科博と科学』標本が語る壮大な歴史ロマン
藤田謙一さんの『科博と科学』を読みました。以前に同じ著者の『人類の起源』を読んで、その内容に大いに感銘を受けたこともあり、今回も期待して手に取りましたが、その期待を裏切らない一冊でした。
本書を通じて特に印象に残ったのは、「なぜ生き物の標本を集めることが重要なのか」というテーマです。ただの収集ではなく、それが科学の発展や人類の未来にとって大きな意味を持つことが、本書を読むことでよく理解できました。標本は単なる過去の記録ではなく、未来の研究や発見の礎になるのだという視点は、改めて気づかされるものでした。
また、本書には単なる科学的知見にとどまらない、壮大な歴史ロマンが詰まっています。標本を通じて、地球の長い歴史の中で生物がどのように進化し、人類がどのように歩んできたのかを知ることができるのです。そしてそれは、これから人類がどのような道を歩むべきかを考える手がかりにもなる、まさに「過去が未来を照らす」ような読書体験でした。
『人類の起源』が面白かった方には、本書も間違いなくおすすめできる一冊です。科学の視点から歴史を紐解く楽しさを味わいたい方にぜひ読んでほしいと思いました。 -
早いうちに読んだほうがいい。
すぐに忘れ去られそうな社会的背景、あっという間に古びれそうな研究や技術的知見がもとになっている。それは間違いが含まれているという意味ではなくて、今のうちに読まないと、これらが過去とみなされる立ち位置から読み解かれ、政策への批判、警鐘とうい価値に単一化されかねず、筆者の想いを取りこぼすことになりかねない。
以上が取り急ぎのコメント。レビューはこのあと時間を見て追記します。 -
ハヤカワ書房が!新書シリーズを出している!と遅ればせながら気づき、まずはこの作品から読み始め。
「科学を文化に」のスローガンの意味は、読み通すと理解でき、科博及び科学に取り組む方々すべてを応援したい気持ちになる。
長いスパンで物事を捉えることの大切さを感じた。 -
書店で見かけて気になってはいたんだけど、直接のきっかけはどこかの書評から。科博、行きたいな~。一度だけ立ち寄った時も、短時間しか滞在できず、不全感しか残ってないからな~。本書を読んで、そういえばクラファンの話題で見かけたときにも、凄くいきたい気分が盛り上がったんだったと思い出した。それにしても、国立なのに国からの救済措置はろくに得られず、更には内部留保も許されんって、えらい厳しい条件だな。一般企業だと考えられんことだけど、こういうところにも、利潤企業最優先、公の部分については、自分たちが太ることしか考えん、っていう国の本質が垣間見えて嫌だな。本筋とは逸れるけど、そんなことが印象に残っちゃう。
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日本の科博は独特
読了45分 -
国立科学博物館の館長を務める筆者が、博物館の役割や歴史、事業を維持していくための研究者や職員の日々の取り組みなどを分かりやすく紹介してくれている。
本書の一番大きなメッセージであると感じたは、「科学を文化に」ということである。この言葉は、筆者が館長として掲げた国立科学博物館のミッションでもある。
イギリスの物理学者のC.P.スノーがその著作『二つの文化と科学革命』に書いた、「一流の文化人でも熱力学の第二法則を説明できる人はほとんどいない」という問題提起は、我々が科学に多大な恩恵を受けていながら、科学の中身をあまりに知らないということを鋭く指摘している。
そして、科学のことを実際にはよく分かっていないからこそ、時に科学技術に対する極端な恐怖や過剰な拒否反応を示すことにも繋がっている。このような実態を変えていくために、科学をより分かりやすく、深く伝えていくことこそが、この博物館の役割である。
本書では、科学博物館で行われている様々な展示や研究を紹介しながら、どのようにしてそのミッションを達成しようとしているのかを説明している。
人類学の研究は人の由来や進化の過程を解き明かす学問であるが、同時に最近はDNAの解析でそれを行う分子人類学の領域が発達している。この領域を研究することは、現在の医療や創薬の分野で行われている研究をより身近に感じることにも繋がる。また、人間や類人猿の進化の過程を知ることは、人間の多様性や共通性、人類の将来を考えるきっかけにもなる。このような形で科学を通じて社会や文化について考えることも、国立科学博物館の展示を見る大きな意義であると感じた。
また、この博物館は自然史の分野と科学技術史の分野を共に展示しているが、これは世界的には珍しい形態であるということは、本書を読んで初めて知った。米国でも英国でも、自然史博物館と科学技術博物館はそれぞれ独立した組織であり、研究の内容もアプローチも異なっている。
しかし、筆者はこの2つの分野を共に含めていることは、人新世とも言われ人間の活動が自然環境に大きな影響を与えている現代にとっては、むしろ意義があるのではないかと考えている。
法律上の文化財と自然史標本として価値のあるものが異なっているなど、資料の収集と管理、さらには展示の方針に至るまで、様々な壁や考えなければならないことはあるが、そのような中でも、自然科学を起点に社会や文化のことにも広くつながっていくような研究、資料収集と展示を行う存在として、存続していってもらいたい組織であると感じた。
博物館で行われる常設展、企画展、特別展の違いなど、バックヤードでの物語も大変面白く、国立科学博物館の取組みと意義が大変分かりやすく理解できる本だった。 -
科博の内側を知れておもしろい反面、なぜか読み進めづらくて度々寝落ちしました
でもマルス置いてあるから大好き -
生きている地球を収める場所、国立科学博物館。その存在は過去から未来への知恵の架け橋となる。
だが運営は容易ではない。収益を生む施設ではなく予算確保に苦慮する日々が続く。篠田謙一館長のもとクラウドファンディングが行われ目標を大きく上回る支援を集めた。
それはこの施設の意義を多くの人が理解し存続を願った証だ。学びの場としての役割、未来への投資としての価値。
この博物館が紡ぐ物語は国民全体の願いに支えられている。博物館、美術館の役割は大きい。
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歴史とか未来とかを考える時、どのくらいのスパンで考えるかで結果や考察が変わってくるというのが、あらためて分かった。科博行ってみたい
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「科学を文化に」科博(国立科学博物館)の館長が語る科学とは、博物館とは、科博とは。そしてあのクラファンのこと。
ものすごく面白く興味深い内容。これは博物館や科学に興味のない人にこそ知ってほしい内容。興味を持つことが、地球の宝を守る。 -
何冊かオーディブルを聞いてきたけれど、この本ほどオーディブルらしいものはなかったように思う。
ナレーターはデジタルボイスで、内容が科博と科学についてというものだったため、私が子どもの頃に思い描いていたSFのような手触りをしていた。
とはいえ、手触りこそSFではあるものの、内容はれっきとした現実、あまり手放しで楽観視出来ない状況というか、いささか情けない気持ちになってしまう現状があったりする。しかし、著者はひたすらに前向きで言葉選びも丁寧だ。文理を超えての、人文学に教育の軸を……という考えにも同感だ。
残念なことに、こうした話を読んだり聞いたりするのは、興味を持つ人が多数を占めるわけだけれど……広く聞いて欲しい内容だと思う。
若干の難点は、著者の専門に紙面(オーディブルの場合は、どういうべきなのかしらん)を多く取っていて、我田引水な印象があるところだろうか?
科博といえば、クラファンの成功が想起されるが、この件についての詳細もあって、ジャーナルとしても興味深かった。
著者プロフィール
篠田謙一の作品
