ネット怪談の民俗学 (ハヤカワ新書)

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  • 早川書房 (2024年10月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784153400337

作品紹介・あらすじ

ネット怪談はどのように発生し、伝播するのか。きさらぎ駅、くねくね、リミナルスペース……ネット民たちを震え上がらせた怪異の数々を「共同構築」「異界」「オステンション(やってみた)」など民俗学の概念から精緻に分析、「恐怖」の最新形を明らかにする

感想・レビュー・書評

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  • エンタメ系として、ネット掲示板というのはリアルタイムで臨場感もあり、著者のいう参加型で共同制作のような一体感もあって、極めて良質なホラーアトラクションだ。

    残念ながら、私は炎上シーンに遭遇したことはあるが、こうした伝説級の怪談シーンには出くわした事がない。ただ、後から「まとめサイト」なんかで読み直してもその高揚感は伝わってくる。特に「きさらぎ駅」はホラー小説を超えるような話だとすら思う。他にも、「コトリバコ」「ヒサルキ」「くねくね」…。

    著者も、ネット怪談は匿名性・即時性・改変可能性を条件に、共同制作的に成立していく過程として捉える。作者不在である事がむしろリアルであり、きさらぎ駅では作者=被験者でネット参加者と会話するという構図が、より恐怖感を煽った。

    異界に迷い込む感覚、現実と虚構の判別不能性が、現代人の不安構造と密接に結びつく。私がネットで会話している相手は、どこの誰なのか。真夜中に繋がるネットの住民たち。こんな時間に起きているのは自分だけではないという、一緒に恐怖する仲間意識。本書はその心理的背景を民俗学的にも照射する。

    一方で、怪談の怖さを情緒的に味わうだけではなく、分析的で学術的でもある。ネット文化を軽薄と切り捨てない姿勢が好感。冒頭に書いたが、その臨場感や一体感を考えれば、ネットホラーは小説を超えるコンテンツになり得るからだ。

    今のネットは分からないが、2000年代前半のネットは、今よりローテクでアングラ感もあり、人間らしさに溢れる途上国のような風体だった。夜更けに人が集まり、得体の知れないものに一緒に震える感覚は「生きている実感」だった。

  • しまった!恐かった!(いや、そりゃそやろ!)

    というわけで「民俗学」です
    「民俗学」と言えば怪談ですよ
    そして本書はネット上で生まれた怪異の数々”ネット怪談”を「民俗(民間伝承)」の一種としてとらえ、その生態系を描いています
    との触れ込みなんで、まぁ考察メインでそんな恐くないと思って読み始めたんだけど…

    そりゃあ紹介するわな
    実際のネット怪談を紹介しながら、話進めるわな
    そりゃそう
    そしてどうしたって検索しちゃうよね
    スマホあるもの
    手を伸ばせばそこにスマホがあるもの

    本書でも紹介された有名なネット怪談を挙げるので、興味ある強者は各々検索するがよい

    「八尺様」「くねくね」「きさらぎ駅」「時空おっさん」「コトリバコ」「犬鳴村」「杉沢村」

    短いやつをひとつ

    二〇二三年四月、あるクリエイターがChatGPTに「15文字のひらがなでなにか怖いこといって」と尋ねたところ、「わたしはにんげん ここからだして」と返ってきた

    どう?ゾワゾワした?

    • ひまわりめろんさん
      ウルちゃん

      ギャップですよ
      ギャップ怯ですよ
      ウルちゃん

      ギャップですよ
      ギャップ怯ですよ
      2025/05/23
    • みんみんさん
      電車に乗ってたら知らない駅に着いたヤツ
      あれは怖かった笑
      まぁ怖いものないけど♪︎~(・ε・。)
      電車に乗ってたら知らない駅に着いたヤツ
      あれは怖かった笑
      まぁ怖いものないけど♪︎~(・ε・。)
      2025/05/23
    • ひまわりめろんさん
      「きさらぎ駅」やな
      「きさらぎ駅」やな
      2025/05/23
  • ネタ(創作)であれ実話であれ、人々によって伝聞・拡散される中で共同構築されていく「怪談」の中でも、1990年代末から現在(2025年)にいたる、ネットの中でネット民によって紡がれていた怪談を民俗学的なアプローチで取り上げた、気軽に読めつつも興味本位的な読み物というより、初出の場所や時期などかなり正確に調べられた資料的な価値が高いきちんとした学術書の趣き。ネット環境が可能にした怪談の「実況」や、文字ではなく「画像」の拡散によって何がどう行われてきたか、また、社会のコンプライアンスの変化などから閉鎖的な村落の因習などのでっちあげなどがやりにくくなった代わりに、非現実的な場として「異世界」という感覚が台頭してきたり、デジタルと違ってデータの改変がやりにくいアナログ媒体(ビデオテープ)などを怪異の記録媒体としてそれを発掘したという設定のファウンドフッテージホラーやモキュメンタリーが作られたり、もはや怪なのかどうかもよくわからないリミナルスペースという概念や、生成AIがどういうわけか一定の割合で謎の女性の顔を作り出してしまうなど、この期間にどういった怪談やホラーのジャンルが生まれ育まれてきたのか全体の流れがわかる。反面で「きさらぎ駅」「くねくね」「犬鳴村」「コトリバコ」などなど有名な個々の怪談の内容にはあまり詳しく触れていないので、奇譚集を読むような楽しみ方には向いていない。そこはネットのまとめサイトや動画での補完をすればいいのだが、ページの制約もあるだろうがもう少し内容にも深入りして欲しかった(たとえばアメリカの都市伝説をまとめた名著『消えるヒッチハイカー』などは採取されたフォークロアがたくさん載っており、それ自体が読み物として面白いのだ)。前述したが怪談にかぎらずネットの伝聞は、実生活でのそれにくらべ、その初出からどういう経路で拡散していったのかその履歴をかなり正確に追うことができる。なんとなく思ったのだが、著者にとってネット怪談に惹かれる一番の理由は、ネット怪談の内容そのものの在り様よりも、正確に調査が可能という学術的な興味のほうにあるのかも知れない。

  • かつて「洒落怖」を読み漁った人間として、ずっと読みたかった一冊。懐かしすぎる怪談のオンパレードに、よくぞまとめてくださった!と拍手を送りたいです。

    筆者自身が1983年生まれで2ちゃんのオカルト板と共に育ってきただけあり、当時の空気感を味わった方ならではの豊かな解説に安心感を覚えました。「専ブラ」や「クソスレ」が当たり前に文中に出てくる新書、私は初めて読みました。
    私自身は映像としての「怖い話」がどうにもダメで、そのくせ学級文庫に置いてあった「学校の怪談」シリーズなどは怖い怖いと言いながらよく読んでいた記憶があります(これも文中に登場して嬉しかった!)。
    携帯電話を持つようになってからは、本書でいうところの「再媒介化」された怖い話まとめに夢中に。ネット掲示板特有の「たぶんネタだけど本当かもしれない」絶妙な境界線上に作られたお話を楽しんだものでした。

    本書によると、2000年代によく投稿されたいわゆる「因習系怪談」は、インターネット環境の普及により舞台とされる地方のユーザーも増えたことや、似た系統の話が乱立したことで勢いをなくしていったとか。
    近年は主に画像や動画で形作られる「異世界系」が人気のようで、こちらで取り上げられるバックルームやリミナルスペースは全く知らなかったので勉強になりました。でも私はやっぱりネットホラーの方に惹かれるなぁ。

    しかし、かつて隆盛を誇ったオカルト板で育った若きクリエイター達により、ホラーブームは息を吹き返しているとのこと。背筋さんとか梨さんとかですよね。
    私は幽霊系の怖い話は本当に苦手なのですが、それでもほんのり背筋が怖くなる話を求めてしまうのは、自分が安全地帯にいることを確認したいからなのかもしれません。……なので、見聞きした人にも災いが及ぶ系の話をうっかり踏むとヒエッとなってしまうのですが(⁠^⁠^⁠;
    くねくね、八尺様、コトリバコ……このあたりの単語にピンと来た方には、ぜひおすすめの一冊です!
    (でも200ページの画像には心臓止まりかけました)

  • うーん、なんだろう。えらく読みづらく内容が全くアタマ中に入ってこなかった。

    冒頭で個々のネット怪談は知らなくても、説明をしっかりするので大丈夫との事なので読み始めたが。

    正直ここで取り上げらているネット怪談で認識していたのは「きさらぎ駅」くらいだし、ネット怪談の生成に大きな役割を果たした2chも利用した事はほぼ無い。こんな私だから理解が及ばなかったのかも知れない。

    民俗学にも興味はあるし、怪談話も好きな分野なので期待してただけにこの分かりにくさは残念でしたし、自分の頭がバカなのかと思った笑

    本書の構成が、メジャーな怪談話になるとテーマの違う各章で分析されていて、繰り返し繰り返し論じらているのが、その分かりにくさの一つなのかも知れないと感じた。

  • いわゆる「ネット怪談」、記録しておかないと消えてしまうものだなあということを再認識した。そういう巷の一つひとつの話を拾い、記録し、後世に残すことも、ひとつの学問(それが民俗学かはわからないけど)なのだなあと感じた。
    村の古老に話を聞くように、インターネット老人会に話を聞く必要があるというのには笑いつつも、そうか!と膝を打った。私は当時その話を聞いてたけれど、何かの事情でいまはそのログがないということはあるだろうし。それこそが老人から受け取る伝承になってるんだ、いまは。

  • ネット怪談がどのように生まれ、広まっていくかを、民族学的視点から書いているのだが、それはともかく──
    初めて聞くネット怪談を一つ一つ読むだけでも充分面白い。

    「きさらぎ駅」「犬鳴村」は映画のタイトルになっているから知っていたけど、それ以外は全然知らなかった(個人的には、「おつかれさま」は、誰かに言いたくなるほど心に残った)。

    昨今話題の「ある近畿地方について」や、「TRICK」「光が死んだ夏」なんかも、ネット怪談の系統、とりわけ因習系怪談の側面があると感じた(「8番出口」に関しては、異世界系)。

    心霊スポットから怪村、
    そして異世界系、今後はAIなど、
    ネット怪談の行く末がこれからどうなっていくか、少し興味をもった。

  • ネット上で語られる怖い話 = ネット怪談について、2000年代初頭から2chオカルト板を閲覧、10年代はTwitter(X)、20年代はTikTok〜と、ある種の「フィールドワーク」としてオカルト界隈を観測してきた筆者が民俗学的な見地から考える。
    本書で扱われるネット怪談は「きさらぎ駅」「くねくね」「コトリバコ」「ヒサルキ」等。「クリーピーパスタ」と呼ばれる国外のものまで扱う。中身についての詳細は語られないため、予めまとめサイトやwikiを別で参照した方がいいかもしれない。

  • どうやって作られたかの説明が必要なのはわかるのだけど、その部分の成り立ちの説明が多く、怪談の成立についてというよりも一部インターネットの歴史について読んだという印象。
    怪談の中身についてももう少し踏み込んで、なぜ人気が出たのかなどの考察も読みたかったのだけど、それは民俗学ではなくなるの…?かな…??
    まあ、あまり詳細に語られても、私は怖くて読めないかもだけども。
    因習系から異世界系への流行の転換については面白かったが、ここも何が原因にあるのかもう少し語ってほしかったな…。
    今作を入門編にして、続刊で深めてくれたら嬉しい。
    怪談が内包する差別について触れていたのは良かった。

  • ノリで借りたけど面白かった。因習系から異世界系、なるほど。2000年代に暇にあかせてサーフィンしまくっていた際に結構ネット怪談読んでたんだなと懐かしく思い出しました。出てくる話の半分くらいはうっすら覚えてる、きさらぎ駅、ことり箱、くねくね、巨頭オ、リゾートバイト、、、、懐かしかった。

  • ドストライク世代なので、懐かしい感情が1番大きかった。
    類書が乏しいジャンルと時間軸なので、貴重なまとめだと思います。
    都市伝説解体センターのカバーがとても良い。

  • 最近の出版業界で最も勢いがあるとされているジャンルはホラーである。また、それは出版業界に限らずインターネット、SNSでも大きく注目を集めている。その代表例としては雨穴さんや背筋さんが該当するだろう。彼ら以外にも、いわゆるモキュメンタリーホラーというジャンルが注目されている。モキュメンタリーとはドキュメンタリーのようなリアリティを持つフィクションである。そして本書はそういった現代のホラーのルーツや2024年までの変遷について民俗学の観点から迫ったものである。

    先ほど民俗学の観点という言葉を用いたが、残念ながら私に民俗学の知識なんてほとんどなく、柳田國男という名前を知っている程度だが、本書は民俗学の専門用語はあまり用いられず、仮に使われたとしてもその意味について解説がなされている。また、ネット怪談の知識がない人にも、話の中で大きく取り上げられているものや怪談のタイトルが分かるような仕組みになっておりとても読みやすかった。

    本書では、オステンション(やってみた)という、肝試しなど噂の現場に実際に訪れてみる行為に対し、その逆をいく逆行的オステンションがインターネット上で行われていると述べられている。逆行的オステンションとは、特定の画像や写真に対して、人がその写真についての物語を後付けするものである。本書の中では、スレンダーマンが例として用いられていた。そして、衝撃的なことにこの逆行的オステンションが進むことで、文字がデータとして残るインターネットという媒体でありながら、本来のネット発の創作という文言が失われるという事が行われているというのだ。そして文言が失われた事でスレンダーマンのように事件も起こってしまったというのも衝撃だった。

    この本では終盤に2020年代のホラーの流行についても述べられている。TikTokやYouTubeの縦型スライド動画の流行により、逆行的オステンションが行われなくなり、物語を持たない写真のみのホラーが発展している。そういった写真には不穏さや不気味さがや懐かしさなどの答えのない異質なものを味わうホラーが生まれている。それは、普段TikTokなどを使わない私としては衝撃的な事実であった。

    本全体を通して、民俗学という特定の地域の風習を取り扱う学問なのにアメリカなどの他国の怪談が出てくるのはかなりグローバルなものを感じた。本書で語られているが、ネット怪談について語られている論文などは多くないという。ネット怪談においては、民俗学という観点だけでなく、グローバルな視点でも取り扱う必要があるのではないかと個人的に思った。

    きさらぎ駅やくねくね、マンデラ効果や検索してはいけない言葉、バックルームなどの定番を取り扱う一方で、日本のインターネットを語る上で欠かすことのできない淫夢についても少ないながら記述がある点が個人的に好印象だ。
    また、民俗学的観点からの考察だけでなく、ネットホラー史を辿れることがこの本の素晴らしい点の一つである。ネット怪談が好きな人は買って損はないと思う。また、ネット文化が大好きな身としては、こういった本が出てくれてとても嬉しいので、今後こういった本が増えて欲しい。

  • ブログや2ちゃんねる発のホラーを民俗学視点で考察。ネット怪談は類書があまりなく本書が1つの指針となる事は間違いありません。新書ですが巻末に出典が詳しく記述されている点も嬉しい。2ちゃんねるホラーや都市伝説に興味がある方はぜひとも読んで欲しい好著です。
    民俗学の研究者である筆者は「コトリバコ」を卒論の題材にするくらいネット怪談に強い関心があり、周縁のホラーもかなり読み込んでいる事が分かります。私も一時期洒落怖の代表作はほぼ読み、2ちゃんの怖い話も大体を網羅していたつもりですが、その端緒は知らなかったため非常に楽しく読めました。

  • 学生時代2ちゃんねるのオカ板に出入りしてて長じて研究者になったらしい著者があまりに観測者として信頼が置け、大変面白かったです。黎明期から最新の流行までみっちり説明されていて、民俗学然だからなのか界隈の識者だからなのか非常に落ち着いた視点の語りが面白かった。

  • ★4.2

  • ネット怪談はもちろんネット怪談に限らずあらゆるホラーが好きなため自分の好きな怪談や映画、ミームに関する記述が沢山出てきてとても楽しかった。
    主張の面でもっと面白い記述があればもっと楽しめたと思う。

  • この手の話は、自分も好きで知っているつもりだったが、結構知らない話もあって、それが新鮮

  • えええのえ!
    八尺様とか巨頭ォとかホラゲーだと思ってたら元になった話があったのか!
    ただのえっちなねーちゃんと毛深い男梅かと思ってたわ!失敬失敬!

    ばけたん(WARASHI)やっっっば!
    「周囲に霊がいると発光し、さらに光の色によって危険度がわかる」www
    やべぇ!くそほしい!!

    深夜時間帯、テレビが放送休止した後に表示されるものっつったらブリキンホテルの宣伝じゃないん?

  • 多少、小難しいが、「ネットの怖い話」の知識がつく。

    あと、突然、「ジェフ・ザ・キラー」の画像が載ってる箇所があるので(P200)、ページめくる時は注意!(笑

  • インターネットで発現し、広がりを見せている特有の怪談・ホラーをまとめた本。参考文献のページが充実しており、このテーマを深掘りしたいと思った時の足掛かりになりそうな一冊。

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著者プロフィール

1983年、日本生まれ。大東文化大学文学部助教。専攻は妖怪の比較研究。著書に『妖怪の誕生』(青弓社)、『〈怪奇的で不思議なもの〉の人類学』(青土社)、『ネット怪談の民俗学』(早川書房)など。

「2025年 『怪異怪談探索ハンドブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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