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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784160070233
感想・レビュー・書評
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週刊文春に、将棋だけを扱ったオンラインサイトがあり、その中の記事を編集したMOOK。副題に「棋士が語る 藤井聡太と羽生世代」とあるが、MOOK全体を貫くストーリー的なものがあるわけではなく、また、藤井聡太とも羽生世代とも関係のない記事も多い。だからと言って、面白くないわけではない。一つ一つの記事の中には、面白いものも多い。Numberが、Web版を作っているが、ちょうどそれの将棋バージョンといった趣きのもの。
もう一つの特徴は、棋譜が掲載されていないこと、というよりも、実際の将棋の指し手に関する記述がほとんどないことである。インタビュー記事も多いのであるが、指し手に関する質問は、ほとんどない。従い、記事の中身の多くは、棋士の人間的な側面にフォーカスしている。私の知らない若い棋士に関する記事も多いのであるが、それでも、全ての記事を読んでみる気にさせるくらいの面白さはある。将棋の将棋的側面のない本でも、面白く読ませる事が出来るのだな、と感心した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文春オンライン「観る将棋、読む将棋」の記事に加え、新たな書き下ろしの読み物などをまとめたムック本。自ら負けを認めることで終局する将棋。厳しい世界で戦う棋士の話はなぜこんなにも心惹かれ、魅了されるのか。
「すべての棋士にドラマがある」 -
時代が変わり、ここまでソフトによる影響が大きくなってしまったことに驚きを感じました。
人間味のある将棋も良いと思いますので、今後の更なる進化を楽しみにしたいです。 -
将棋のファンというよりは棋士のファンである私にとって、ずばりストライクの企画。惜しむらくは藤井聡太君関連に偏っていることだけど、これはまあ仕方がないか。
一番良かったのは、「藤井猛と行方尚志 二人は親友」というルポ。ほぼ同年代の二人の軌跡、現在の姿が生き生きととらえられていて、添えられた写真もとてもいい。どちらも好きな棋士だけど、これを読んでもっと好きになった。年齢と共に棋力の衰えは容赦なくやって来る。そこにどう身を処していくか。棋戦に全力は尽くすが、タイトルや優勝が唯一の目標ではなくなったという藤井九段が、「戦いの螺旋から降りられない」行方九段について、「なめちゃんは一度タイトルをとらないと…。でも現実は厳しくなりましたよね」と語っているのが胸にしみた。「なめちゃん(失礼ながらウチでもそう呼んでる)」は今期順位戦で降級が決まっている。
「東大将棋部と藤井聡太」では、三人の将棋部主将が登場する。うち二人は奨励会経験者で、それぞれにドラマがある。将棋にうちこんだ人の話って、プロアマ問わずどうしてこんなに心惹かれるものがあるのか、あらためて不思議に思う。インタビューでは、最近その歴史に幕を閉じた八王子将棋クラブ席主、現役最年長桐山九段、高野秀行六段のものが印象に残った。
漫画が三本載っていて、これも良かった。「観る将」の複雑なファン心理を描いた四コマ。とよぴー(これまたウチでもそう呼んでる豊島竜王)の初戴冠時、大喜びしつつも、「ああっ!!でもなんだか世代交代が本格化したみたいでさみしい!!」「羽生先生、また取り返しに来てくれ!!」と叫んでる気持ち、よーくわかります。 -
【版元】
・紙版
〈https://www.bunshun.co.jp/business/extra/backnumber.html?itemid=347&dispmid=592〉
・電子版
〈https://books.bunshun.jp/ud/book/num/1600702300000000000M〉
【略目次】
一章 藤井聡太と若き才能
時系列で並べる「天才」を評したことば
棋士18人が証言する「藤井聡太、進化の過程」(岡部敬史)
47歳王位と17歳挑戦者のドラマ
「教授」勝又清和七段の《王位戦と藤井聡太》回想録
佐々木大地五段 将棋は「生きる希望」だった
西山朋佳女流三冠 三段リーグの藤井聡太戦
斎藤慎太郎八段 名人挑戦への道「4強に五分以上で」
広瀬章人八段 対局で感じた藤井聡太二冠の進化と成長
野原未蘭女流1級 秘伝の将棋「英春流」
“伝説”の封じ手「同飛車成」を木村一基はどう見ていたのか
東大将棋部と藤井聡太(宮田聖子)
「振り飛車って冬の時代なの?」 都成竜馬六段×黒沢怜生五段
高野秀行六段 藤井戦に向けて猛勉強
県でひとりだけ!? 棋士・女流棋士座談会
黒田尭之五段×長谷部浩平四段×武富礼衣女流初段
二章 羽生世代と見果てぬ夢
密着1年 迫真ルポ
藤井猛と行方尚史、二人は戦友(野澤亘伸)
羽生善治少年を育てた温かいまなざし――
さよなら、八王子将棋クラブ(小島渉)
深浦康市九段 諦めない「粘りの棋士」
桐山清澄九段 73歳現役最高齢棋士「幕を閉じた順位戦」
豊川孝弘七段 こうしてできたオヤジギャグ
山崎隆之八段 初のA級へ「齢40にして強くなる」
COLUMNS
棋譜コメに見る「進撃の藤井聡太」
棋士を「研究者」「芸術家」「勝負師」の3タイプに分類してみると(遠山雄亮六段)
私にとっての同世代の話をしよう(上田初美女流四段)
神々の感想戦に聞き耳を立てる
棋士と会社員、「二足の草鞋」生活を始めてみたら……(星野良生五段)
COMICS
推ししか勝たん! ~観る将の生態~(松本渚)
観る将の日々(さくらはな。)
その後の「うつ病九段」(河井克夫)
文藝春秋の作品





