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本 ・雑誌 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784160086661
感想・レビュー・書評
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代表的な作品: 脚本多数、小説『思い出トランプ』、エッセイ『父の詫び状』『無名仮名人名簿』『眠る盃』など。『父の詫び状』は傑作エッセイ。「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」で直木賞受賞。
作品のテーマ: 古き良き昭和の家族や人間模様を温かい眼差しと鋭い観察眼で描く。家族の謎や嘘、人間の哀歓、弱者への優しさ、男女間の情念など。品格のある描写も特徴。
エッセイ「字のない葉書」の内容: 学童疎開の妹への父の無事知らせ(マル印の葉書)。次第に小さくなるマル、そしてバツ。戦争中の家族の絆と時代の悲哀を描く。
エッセイ「娘の詫び状」の内容: 乳がん手術を母に告白する際の葛藤。病気を隠していたがエッセイで触れたため告白。母は動揺なく受け止め、娘の嘘を見抜いているような態度。
直木賞選評: 短篇小説としての完成度、登場人物の的確な描写、独特の才能などが評価された。
妹・向田和子から見た邦子像: 厳格な父に育てられ叱責も多かったが、家族への愛情深かった。「このうち(家族)に生まれて幸せでした」という言葉、細やかな気配り、亡くなる直前まで旅行するなど人生を全うする姿。
「遺書」の内容: 正式な署名・押印のない走り書きメモ。財産分与、愛猫の世話、妹たちへのメッセージなど。「どこで命を終るのも運です」「仲よく暮らして下さい。お母さんを大切にして、私の分も長生きすること」などが印象的。
作品が現代に持つ意味: 昭和を背景に普遍的な感情、家族のあり方、人生の機微を描く。鋭い観察眼と温かい視線は時代を超えて共感を呼ぶ。丁寧な暮らしや困難への向き合い方は現代にも示唆。近年もドラマ化されるなど魅力は色褪せない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文庫版を再読。こういうムックを文庫化してくれるの助かる。
向田邦子の小説はいい加減読まなくちゃな…とこの本を読む度に思う。だってうますぎるし…そりゃ色んな人の心に傷やら思い出を残すよ。いろんなエッセイから向田邦子への家族からの思い、家族への思いがいろいろ伝わってきて胸がいっぱいになる。こういう心の機微を色んな人が書き残しておいてくれてよかった。 -
向田邦子さんが亡くなられて三十年以上過ぎて、その作品群の概略を知るのには手頃でした。丁度BS12で寺内貫太郎一家の再放送をしている時期にであいタイムリーなムックでした。