ペルシャの幻術師 (1)

  • 文藝春秋 (2021年12月15日発売)
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本 ・マンガ (176ページ) / ISBN・EAN: 9784160901131

作品紹介・あらすじ

海音寺潮五郎が「幻覚の美しさに惚れこんだ」と絶賛した名作に、文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品選出の漫画家・蔵西が挑む。

◆ストーリー
十三世紀、世界を席巻したモンゴル軍の猛攻は、ペルシャにまで至った。モンゴル軍団を率いる大鷹汗(シンホルハガン)ボルトルは、ペルシャ高原の町メナムに攻めいる。ボルトルはメナムで美姫・ナンを見初め、自らへの愛を求める。そこに、ボルトルの命を狙う幻術師・アッサムが現れ、ナンを幻惑する――。


西紀一二五三年の夏、ペルシャ高原のひがし、プシュト山脈をのぞむ高原の町メナムは、ここ二カ月、一滴の雨にもめぐまれなかった。――

 新月のまだ懸らぬ六月二十八日の夜、いまから一月前のことである。アラ山脈を越えて突風のようにやってきた蒙古兵が、メナムの町を一夜のうちに鮮血の霧で包んだ。
 町の土侯とその兵は戦わずして遁げ、市民は、血に飢えた東方の蛮族の手で思うさま殺戮された。シナ北西部はおろか、遠く東ヨーロッパまで征服した成吉思汗(ジンギスカン)四世蒙哥(マング)が、その弟旭烈兀(フラーグ)に二十万の兵を授けて、史上有名なペルシャ攻略の緒にようやくつきはじめたのである。
 そうした殺伐な背景のなかに、この数日来、メナムの町は奇妙な賑いをみせていた。 
 沙漠をゆく隊商(キャラバン)が、水を買いにきて市を立てる。――
                     司馬遼太郎「ペルシャの幻術師」より

感想・レビュー・書評

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  •  司馬遼太郎さんがこうした作品を書いていたのは驚きでした。
     
     私の好みのどストライク! 女性が主役ということも、ペルシャが舞台というのにびっくりしました。

     ですが、とても面白かった。続きがたのしみですねぇ。

  • 司馬遼太郎のデビュー作「ペルシャの幻術師」を蔵西が週刊文春でマンガ化 - コミックナタリー
    https://natalie.mu/comic/news/426478

    『ペルシャの幻術師 1』司馬遼太郎 蔵西 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784160901131

  • 絵は大雑把に評すればきれい。でも漫画に向いていないような…イラストとしてはところどころ違和感があるものの美しい。漫画としては…いや私漫画を評せるだけの知識もないんだけど、それでも思ったのは、魅せるコマはあるが、ただ物語を語るうえで何か違う、ということ。
    あと、コマに書き入れられている文字。名称がわからないんだけど、擬音語や擬態語、要は効果音かな? として書き入れられた文字が雑で、気になってしかたなかった。文字の「読み」だけではなく、漫画なのだから文字の「形」も工夫できたんじゃないなとか思うのだけど。

    脳内の光景やストーリーをまんま文字として書き出せば小説になるわけではない。それと同様に、小説の場面場面を忠実に画像化したところでそれは漫画にはならない。
    そんなことを考えながら読んでいた。

  • 極彩飾の表紙。豊かな金髪をなびかせてる
    女性。身体が透けるような薄い極上の布を身につけ、大きな宝石と繊細でゴージャスな耳飾り、首飾り、足飾り。

    メナムと都市をぐるりと囲む山々の地図
    青い服の砂漠の民
    ペルシャの高い文化と蒙古の武力で押す蛮族

    乾いた空気、羊肉の匂い、風呂に入らない体臭、建物に飛び散ってる血の匂い。

    建物、食器、絨毯、武器、などのデザインの素晴らしさ。

    見れば見るほど、細部を見るほど、驚きます




  • モンゴル帝国はモンケの治世、西方遠征を命じられたフラグの息子ボルトルが虐殺の渦に叩き込んだペルシア東部メナムの街は、ボルトルが美しきナンを見初めたことで全滅の難を逃れ。しかし、殺戮、武術、酒、肉、怒号のみの蒙古兵を受け入れられぬまま、妃になれという願いにも肯じないナン。そんなときに知ったボルトルを殺そうと目論む幻術師の存在を知り。ボルトルの宴に現れた幻術師とボルトルの対決は後日を期すことになったが果たして、と。割と短めのお話だったように記憶するが、続刊というのは意外。また、東チベットを舞台の魅力的なマンガを描いてくれた蔵西さんと世界観がマッチしているようにかんじた。

  • 【司馬遼太郎、幻のデビュー作をマンガ化】海音寺潮五郎が「幻覚の美しさに惚れこんだ」と絶賛した名作に、文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品選出の漫画家・蔵西が挑む。

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著者プロフィール

漫画家、絵地図作家。チベットの少年僧の漫画『月と金のシャングリラ』(イースト・プレス 2020)が第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員会推薦作品に選出。司馬遼太郎のデビュー作を漫画化した『ペルシャの幻術師』(文藝春秋 2022)が評判を呼ぶ。雑誌等の挿画、挿絵などでも活躍中。

「2023年 『チベット女性詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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