- 本 ・本 (225ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163010601
感想・レビュー・書評
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読後槍よりも笠ヶ岳に登ってみたいと思った。妻を殺めたあたりが完全に創作と知ってから読んだので微妙に楽しめない部分もあった。今まで読んだ新田次郎作品で一番退屈な内容だったかも。
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今とは比較にならないくらい、山に登るということが常ならぬ世界に踏み込むことを意味していた江戸時代のはなし。山という存在は強く宗教的な意味合いを帯びていた。
「一心不乱に生きた者のみが浄土に達することができる」という播隆上人にとって、山に登るという行為やそこに衆生をいざなうことがそのまま宗教的な行為だった。
いかにも高潔な僧の立派な伝記のようでいて、核心部分はとても人間味に溢れていた。伝記ではなく多分に創作が含まれているのは小説だから当然として、「なぜ人は山に登るのか」という、いつの世にも古くて新しい問いへの回答としてとてもリアルだった。
自分にとって山登りはとても内省的なもので、「どんなに辛くても歩みを止めない限りいつか必ずピークに達することができ、そして帰ってこれる」という思いに支えられた営みだ。それが宗教的な境地なのかはわからないけど、無心な感じが心地よかったりする。
こう書くとなんだかちっとも楽しそうじゃないけど、また山のことがちょっと好きになった。 -
10/03/24読了 何か衝撃のラストっぽいけど、それは積み重ねた話が活きる展開にしてるからか。
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[hyahya MEMO]岩松改め播隆の生涯が、自身の意思以上に他者(環境)に翻弄された印象が残った。(2008年3月20日読了)
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