死者の奢り

  • 文藝春秋 (1958年1月1日発売)
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本 ・本 (312ページ) / ISBN・EAN: 9784163015002

感想・レビュー・書評

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  • 死者の奢り/偽証の時/飼育/鳩/奇妙な仕事/人間の羊/他人の足

    以前に文庫で読んだことがある。今回は図書館に古い単行本しか置いていなかった。旧字体が多く戸惑ったが、慣れるとすらすら読める。

    「死者の奢り」を数ページ読んだ時点で感動してしまった。以前読んだ時はなんとも思わなかったはずだ。今読むべき時だったということだろう。
    文章が完璧で、最初のうちは一文一文何度も味わいながら読むのでなかなか進まなかった。

    どの作品も小難しくて読めないものではなく、ストーリー性があり面白い。
    しかし、終始粘っこく重苦しい空気が漂う作品群である。
    「壁」を強く感じる。人と人との壁。内部と外部社会との壁。作中の「壁」が私を息苦しくさせる。
    作者が若かったためか、登場人物は皆若く、若さゆえの危うさのようなものを感じる。

    人間の内に秘められたどろどろした感情を描くのが巧みな作家が大好きなので、この短編集は私にぴったりだった。近々大江健三郎の他の作品も読もうと思っている。

  • あまり彼の作品読んでないから毎回「意外と読みやすいな」と思う。『飼育』が大学在学中のデビュー作なのか。流石だなあ。

  •  
    ── 大江 健三郎《死者の奢り 1957‥‥ 19580201 文藝春秋》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4163015000
     
     
    (20231128)

  • “疲れ”っていう表現が印象的に何べんも出てきて、持続しない感情や無気力さの元を上手く言い表してるな…って思います。「飼育」で、少年が子供ではなくなったとわかる場面では、どきり…とするような衝撃を身体の芯に感じた気がして、思わず息を呑んでしまいました。時代は違うけれど人間て同じなんだなって、思う…。

  •  ほとんどの作品は新潮文庫版『死者の奢り・飼育』と『見る前に跳べ』で既読だったけど、いずれにも収録されていない『偽証の時』が読みたくて文芸春秋の絶版ハードカバー版を購入。『僞證の時』って感じで全編旧字体だから多少読みづらかったけどそれは仕方ない58年初版の本。
     お目当ての『偽証の時』は左翼学生がスパイ疑惑の偽学生を監禁し、また逃げられた後のあれこれや心の葛藤を女子学生の視点で描いた作品で、欺瞞を享受できない純真さが光る作品。面白かった。
     他の作品も改めて読み直したがやはり凄い。中でも『鳩』と『他人の足』が好き。大江健三郎この時23歳か、大天才だなやはり。
     

  • 死体を洗うバイトの出てくる本。
    話よりも、そのバイトの話がインパクト強すぎて有名。

  • この本を読んだ自分を褒めたい。笑。

  • 死は『物』になるということ。人間は物から物になること?

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著者プロフィール

大江健三郎(おおえけんざぶろう)
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。

「2019年 『大江健三郎全小説 第13巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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