勇魚 上

  • 文藝春秋
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163095400

作品紹介・あらすじ

紀州・太地は鯨取りの村である。将来の筆頭刃刺と目されながら較に片腕を奪われた失意の青年・甚助に、ある日ひとりの武士が声をかけた-。構想8年、若者の夢と野望を軸に西洋との出会いに揺れる幕末日本を描く傑作!世界8ヶ国同時刊行!

感想・レビュー・書評

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    2015/04/27
    2015/05/05/09読み始め
    2015/05/17読了

  • 彼は環境保護云々の人だから、
    こういうものには決して触れるどころか
    嫌悪するだろうと思っていました。

    でも、そうではないことがわかりましたね。
    このテーマは「鯨捕り」ですから。

    一人の心に傷を負ったさる幕府の要人と
    その要人とふとしたことで、つながることとなる
    腕の立つ鯨捕りの青年。

    青年は命の要である己が腕を
    鮫との戦いで失います。
    しかし、彼は片腕でも鯨捕りの夢を
    あきらめることはなかったのです。

    時は黒船が現れる江戸末期。
    文明開化が叫ばれる時代下…

    さまざまな苦難と
    戦いを経て逞しくなっていく
    甚助がまたかっこいいのです。

    そして最後にはある偶然も出てきます。
    これからどうなるのかしら。

  • 最初は、単なる昔の鯨漁の物語かと思っていた。あぁ、牛や豚などの肉を食べる習慣のなかった昔の日本人にとって、「肉」とは鯨だったんだなと思い、巨大な鯨に銛で勇猛果敢に挑む刃刺達、捕獲した鯨に対して感謝の気持ちを忘れず、その体は一部たりとも無駄にしない彼らはまさに大自然と調和した生活をおくっていたんだな、と。「鯨一匹捕れば七浦潤う」。捕鯨に関わる昔の日本人の勇ましく、美しい世界が描かれており感銘を受けた。その後、話は一転し、鯨漁での不慮の事故により隻腕となった刃刺「甚助」が「ジム・スカイ」へと変わっていく波乱に満ちた物語となり、冒険家C.W.ニコルの本領発揮のワクワクとした展開に、目が離せなくなってしまった。幕末の開国せまられる日本を背景に、史実とうまく絡ませているのがスゴイ。本作は20年以上前の本なので今はもう書店にはないだろうが、ご興味がわいた方は是非図書館へ。

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著者プロフィール

C. W. ニコル:1940年、英国南ウェールズ生まれ。95年、日本に帰化。英国女王より名誉大英勲章を受章。ナチュラリストとして長野の黒姫山を護り、ウェールズ地方の森林保護運動と連携して「(財)C. W. ニコル・アファンの森財団」を設立。著書に『15歳の寺子屋 森をつくる』など多数。

「2018年 『BIOCITY ビオシティ 75号 東日本大震災、復興の光と影』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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