鍋の中

著者 :
  • 文藝春秋
3.61
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本棚登録 : 120
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163099606

作品紹介・あらすじ

その夏、少女は初めて、大人の秘密にふれた。生きることのはかなさと、哀しみを知った。芥川賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 昭和62年の芥川賞受賞作を含む4つの中短編。
    芥川賞なのに読みやすい。難解じゃない。おもしろい。芥川賞らしくしみじみと深い。味がある。文学的。今になって初読みというのがもったいないくらい、読んでよかった作品。

    田舎に住んでいる80歳のおばあさんのところで、夏休みの間を過ごすことになった4人の孫たち。平易な文章で淡々と語られる田舎の夏の日は、なんだか懐かしくて郷愁を誘う。

    おばあさんの話から自分の生い立ちに関わる闇を垣間見た少女の「ひと夏の成長物語」と簡単にくくりたくないような標題作をはじめ、「水中の声」は怖くて、「熱愛」はその描写に唸り、「盟友」はただただ面白くて、それでいてかなり深い。つまり、どれをとってもハズレがない。

    この感じ、クセになりそう。もちろん、作者の他の作品も読んでみます。

    • workmaさん
      「芥川賞なのに読みやすい。難解じゃない。おもしろい。」というコメントを読んで、「芥川賞」作品が苦手だったけど(過去、何作品か読んだけど、良さ...
      「芥川賞なのに読みやすい。難解じゃない。おもしろい。」というコメントを読んで、「芥川賞」作品が苦手だったけど(過去、何作品か読んだけど、良さが理解できないことが多かった………)、村田喜代子さんの本を読んでみたいと思いました。「芥川賞苦手症?」が直せるかも!?

      ありがとうございます♪
      2021/12/19
    • gabrielpetajirioさん
      コメントありがとうございます。私も芥川賞作品は読んではみるものの当たり外れが多くて敬遠気味でしたが、これは面白かったです。是非読んでみてくだ...
      コメントありがとうございます。私も芥川賞作品は読んではみるものの当たり外れが多くて敬遠気味でしたが、これは面白かったです。是非読んでみてください。
      2021/12/19
  •  
    ── 村田 喜代子《鍋の中 1987‥‥ 19870801 文藝春秋》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4163099603
     
     
    (20231128)

  • 芥川賞作品ということで読んだが、面白いという感じの小説ではない。
    でもつい最後まで読んでしまった。面白いという感じではないが、面白くないというわけでもない。芥川賞作品ということで、そうなのかよくわからないが、最後まで読んでしまった。どこか実体験に基づいた小説なのだろうと思う。芥川賞全集14に収録されていた。少し心惹かれるような、感動はあったと思う。

  • 3.66/89
    内容(「BOOK」データベースより)
    『その夏、少女は初めて、大人の秘密にふれた。生きることのはかなさと、哀しみを知った。芥川賞受賞。』

    『鍋の中』
    著者:村田 喜代子(むらた きよこ)
    出版社 ‏: ‎文藝春秋
    ハードカバー ‏: ‎235ページ
    受賞:1987年上半期 第97回芥川賞受賞


    外国語訳
    French『Le Chaudron』
    Romanian『Ceaunul』

  • 『鍋の中』は、黒澤明の『八月の狂想曲』の元ネタになった作品。映画はかなり昔にみたのですが、映画も再びみたくなりました。

  • 現代と昔話の世界をつなぐお婆さん。味噌汁の描写、過去のエピソードと子供たちの微妙な関係を繋げる展開は素晴らしい。同録の水中の声、熱愛、同盟、すべて良かった。鍋の中はいつか再読したい。

  • 1987上半期 芥川賞

  • 鍋の中はかなり面白かった。
    お婆さんが、思わず可愛く思えてしまった。
    水中の声・熱愛・盟友はいまひとつ読み取れない部分があったかも。

  •  ハワイへ渡りパイナップル農園をひらいたらしいおばあさんの息子から、突然手紙が届き、おばあさんの子どもたちがハワイへ行く。その夏休みの間、彼らの子どもたち、つまりおばあさんの孫たちがおばあさんの家に集まり、織りなす物語。

     八十歳のおばあさんから、孫のたみちゃん(私)へ告げられる、予想外の真実。実はわたしは今の親の実の娘ではなかった?!
     ショックを受ける私ですが……

     素直な文章ですらすら読めます。
     昔のひとは兄弟が多くて、たしかに十人以上いれば、ひとりくらい忘れたって仕方ないかなという気がしてきます……

    * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
     
    にゃんくの本『果てしなく暗い闇と黄金にかがやく満月の物語』より
    (あらすじ)

     七歳になるリーベリの元に、或る日、継母のケイとその娘ミミがやって来ます。継母に虐められ、リーベリは学校にも通えず、幼い頃から働かされ、友達すらいなくなります。
     リーベリの心の拠り所は、亡くなったママ・ジュリアが遺してくれた魔法の教科書だけ。リーベリは毎日魔法の勉強をし、早く大人になり自由な生活を送れる日が来ることを夢見る毎日です。
     成長したリーベリの唯一の仲間はぬいぐるみやカラスだけです。
     或る日、そんなリーベリは、海岸にひとり男が倒れているのを見つけますが……。


    ↓ここから本を試し読みできます

    http://p.booklog.jp/users/nyanku

  • 何十年も過去の記憶は、おばあさんの脳の中でどんな形におさまっているのか。靄か霧がたちこめているのか。そう、縁者の人物像も虚実の境もみわけがつかなくなっている。著者は脳を鍋に例え、その中の記憶という具は年をとるほどに煮崩れてしまうという、人間の悲しい定めを語っているのだろう。

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著者プロフィール

1945(昭和20)年、福岡県北九州市八幡生まれ。1987年「鍋の中」で芥川賞を受賞。1990年『白い山』で女流文学賞、1992年『真夜中の自転車』で平林たい子文学賞、1997年『蟹女』で紫式部文学賞、1998年「望潮」で川端康成文学賞、1999年『龍秘御天歌』で芸術選奨文部大臣賞、2010年『故郷のわが家』で野間文芸賞、2014年『ゆうじょこう』で読売文学賞、2019年『飛族』で谷崎潤一郎賞、2021年『姉の島』で泉鏡花文学賞をそれぞれ受賞。ほかに『蕨野行』『光線』『八幡炎炎記』『屋根屋』『火環』『エリザベスの友達』『偏愛ムラタ美術館 発掘篇』など著書多数。

「2022年 『耳の叔母』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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