おじいさんの思い出

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (75ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163102009

作品紹介・あらすじ

村上春樹がおくるカポーティの最もピュアな物語。

感想・レビュー・書評

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  • ”僕”が学校に入る年齢になる頃、もっといい仕事と暮らしを求めて父さんと母さんは山の向こう側の町に移ることを決めた。それはおじいさんとおばあさんとの別れを意味していた。
    ハイスクールに上がった”僕”のもとに届いたのは、おじいさんが亡くなったことを知らせる手紙だった。
    そして、”僕”はおじいさんの言う秘密の意味を理解する。他人とうまくやり、愛し愛されて人生を楽しむことが彼の言う秘密だったのだ、と。

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    今まで暮らしていた場所を出ていく時の、あの何とも言い難い寂しさ。後ろ髪を引かれる思い、という言葉はあのセンチメンタルな感情を形容しているんだろうか。
    今までに三回引っ越しを経験した。この先も人生が続くならあと数回は生活する場所を変えることになると思う。そのたびにあの寂しさに襲われることは間違いない。これまでもそうだったように。

    生活が変わるときの不安と期待が混ざり合った複雑な気分を思い出しながら読んだ。名残惜しいような気持ちになって意味もなく柱を触ってみたり、家具を運び出して広くなった部屋が他人のような顔をしていたりして、センチメンタル過剰になってしまうんだよな。
    ただ、新しい生活に慣れると以前の暮らしぶりを思い出すことすらなくなってしまう。
    色んな記憶を捨てながら生きることが正しいのかはわからないけど、これからもそうやっていくしかないんだろうな。

  • 少年のように祖父母とずっと暮らしたいというピュアな期待や望みを持っていても、それらをあきらめなくてはいけない時が必ずだ誰にでもやってきて、その時の言葉で表すことがとても難しい感情が、この作品には表されている気がする。

  • 真砂コミュ借りた本

    姥捨て山物語

  • 秘密は抱えて生きてくもの

  • トルーマン・カポーティ初期の40年間忘れられていた作品。おじいさんと僕と家族の素朴な物語なのだけど、不思議と心を鷲掴みにされてしまう。悲しくて美しい物語。

  • 古本で100円で購入!

  • 「ウェスト・ヴァージニア州アレゲーニー山脈のふもとの家を離れた日、それは人生における最も哀しい日のひとつだった――」

    ボビーが学校に上がる年齢になり、ボビーと彼の両親はこれまで一緒に暮らしてきた祖父母を残して町に引っ越すことになる。

    出発前におじいさんはボビーに、ひとつの“秘密”を持っていることを打ち明ける。
    「わしのことを覚えていてくれ。そしてわしの秘密のことも。いつかここに帰ってきて、その秘密を二人で分け合おう」

    しかし、絶対に忘れないと誓った幼いボビーは、新しい生活の日々のなかでおじいさんのことを忘れてしまう。
    思い出したのは何年もあと、ハイスクールに上がったころ。
    さて、おじいさんの秘密とはなんだったろう?

    忘れられた約束。薄れていった決意。明かされなかったけれど、時の流れが教えてくれた秘密の意味。
    トルーマンが少年時代に一緒に暮らした年の離れた従兄弟をおじいさんのモデルとして書かれ、原稿は叔母にプレゼントされたあと40年間忘れられて未発表となっていたという、彼の創作活動のもっとも初期の短編作品。

  • 13/03/24 アメリカ中西部(?)の農村での話。

  • 農場に3世代で暮らしていた家族が、子どもに教育を受けさせるため、祖父母2人を農場に残して別れて暮らすという短編。
    祖父母の死に目に会えていないことを特に触れていませんが、欧米の人はあまり気にしないんですかね。
    切ない気分になる作品でした。

  • 友人の勧めで。

    思い出と秘密と、人生の一部である家族。

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