ルームメイト

  • 文藝春秋 (1989年1月1日発売)
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  • 本 ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163112503

感想・レビュー・書評

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  • 3編を収録。
    「ルームメイト」大学の食物栄養学科で助手として働く29歳の語り手が、別の学科の助手をしている28歳の女性をルームメイトとして迎え、彼女が部屋を出て行くまでの出来事が語られる。語り手の夢の中の老いた雌鶏やぬるぬるとまとわりつく妙な温かさの寒天質の沼のイメージ、ルームメイトの顔のソバカス、しみについての描写が女性においての生命性といったものを感じさせて印象深い。
    「花蔭助産院」助産院で働く老境の助産婦達と出産を迎えた女盛りの妊婦達をユーモラスに描いている。
    「木渡り木の宿」山中にある村落で十六、七になった娘達が近隣の村々を巡り、泊まった先で若い男の夜這いを受けるという婿探しの風習を描いた物語。フェミニズム、ジェンダー的な視点からはどうかという風習を題材にして、村田さんはそうした中にあっての、女性の逞しさやおおらかさ、爛漫さをこそ誇らしげに讃えている。通過儀礼的な短い旅を終え、ふわふわと頼りなげな娘達は遠からず嫁となり子を産み、冒頭に語られているどっしりと逞しい、女鬼と形容される山の女である母達のようになっていくことだろう

  • ルームメイト>おもしろい!
    自分は、人と一緒に住むことは、したくないけどヾ(´▽`;)ゝウヘヘ
    花陰助産院>こんなところが今もあるといいのに。マタニティブルーとか、へるよ~な(〟-_・)?
    木渡り木の宿>むすめ講の制度が、現在もあれば、一人身が少なくなるのでは?!
    ってか、この制度、非常に気に入った(*^m^*) ムフッ

  • <b>近づき過ぎるものはもう想像の範囲を越えるのだろうか。それとも、想像するためには距離がいるのだろうか。すると想像作業というのはまるで写真の撮影に似ている。そしてわたしの目はカメラに似ている。被写体に近づき過ぎるとぼやけていく写真機ではないかと。</b>/「花蔭助産院」<br>
    (P.124)

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著者プロフィール

1945(昭和20)年、福岡県北九州市八幡生まれ。1987年「鍋の中」で芥川賞を受賞。1990年『白い山』で女流文学賞、1992年『真夜中の自転車』で平林たい子文学賞、1997年『蟹女』で紫式部文学賞、1998年「望潮」で川端康成文学賞、1999年『龍秘御天歌』で芸術選奨文部大臣賞、2010年『故郷のわが家』で野間文芸賞、2014年『ゆうじょこう』で読売文学賞、2019年『飛族』で谷崎潤一郎賞、2021年『姉の島』で泉鏡花文学賞をそれぞれ受賞。ほかに『蕨野行』『光線』『八幡炎炎記』『屋根屋』『火環』『エリザベスの友達』『偏愛ムラタ美術館 発掘篇』など著書多数。

「2022年 『耳の叔母』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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