- Amazon.co.jp ・本 (77ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163114507
作品紹介・あらすじ
父さんと過ごした最初で最後のクリスマス。『あるクリスマス』の前年、トルーマン・カーポティは父を失っている。触れあうことの少ない父子だった。カポーティ自身、すでに酒とクスリに蝕まれていた。この作品の翌々年、彼はこの世を去る。最後にみる夢、だったのかもしれない。
感想・レビュー・書評
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ウキウキ気分で読んだけど予想以上に重かった。
きっとこの子は一生このクリスマスの日を引き摺るんだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
再読
クリスマス時期になると読み返す。
今年はクリスマス当日に。
毎年、twitterでサンタ業務を終えた親達による
子供達のクリスマスの様子を読むのを楽しみにしていて
自分の子供の頃、サンタクロースを信じてたクリスマスを思い出して
幸福だったり少し切なかったりするのだけど
読みながら、それに似た気持ち、
大人子供は地続きなのだけど、いつか与える側に回る、
そして上手くそちら側へ行けなかった大人達へも思いを馳せるクリスマスの朝ね。 -
「クリスマスの思い出」と同じ装丁。
挿絵の銅版画が美しい。話は切ないです。 -
アラバマとニューオーリンズ。
サンタクロースは本当にいるのか。
自分の信じていたことの真実を、あまりにも早く知ってしまうことの寂しさ、侘しさよ。 -
カポーティの作品を読んでいると、ああやっぱり好きだなあ、いいなあとしみじみ思う。翻訳された作品というのはどうしても作者との間に薄くて透明な壁のようなものを感じてしまうのだけれど、この人の作品にはそういう壁の存在を感じなくて、カポーティの繊細な感受性が直に心に届く感覚がある。
アラバマの親戚に対する暴言やパーティーでの振る舞いに傷つきながらも、都会的な暮らしをしている父の存在を誇りに思う気持ちもあったんじゃないだろうか。
自分が送った葉書が貸金庫にしまわれていたことを知ったとき、カポーティは嬉しかっただろうなと思う。自分が求めていたものが何なのか、それが手に入ってやっとわかるような。 -
父からのクリスマスプレゼント(18歳)。
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カポーティはやはりすごい作家なのか。少年の視点が初々しく、残酷で、儚くて、かつて自分にあったものを微かに思い出させてくれるようだった。装丁や銅版画の雰囲気も作品とあっていた。
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カポーティは”冷血”しか読んだことなくて、それは訳のせいもあってか、いまひとつパッとしない印象だった。本作は、訳が村上春樹ってこともあって、期待大で入手したもの。あと、時期的にも読むなら今でしょ!ってことで。半分は絵が占めるから、ボリューム的には短編。あとがきを見ると、後日談的な物語が本作に先だってものされていたとのことで、それを読んだことがあるかどうかでも、感想は変わったかも。少なくとも、本作単独では、どうということのないクリスマス談だった。クリスマスという特殊な環境下においても、なおいまひとつ上手くいかなかった父と子の物語。
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何て絶望的な「愛してる」なのだろう。
カポーティの自伝的作品。
子を放棄したも同然の父と過ごした、一度だけのクリスマス。
何度も繰り返し読んでいる作品で、読む度に泣きたくなるのだけど、私の体は泣くことを拒否する。
泣いてすっきりしてしまいたくない、この作品を読んだ気持ちをずっと喉に詰まらせて苦しいままでいたい。
そう思うほど、何もかもが愛おしい作品。
大好き。