本当の戦争の話をしよう

  • 文藝春秋 (1990年10月25日発売)
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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784163121208

作品紹介・あらすじ

木陰から一歩踏み出したとたん、まるでセメント袋のように倒れた兵士、日ざかりの小道で呆然と「私が殺した男」を見つめる兵士、祭の午後、故郷の町をあてどなく車を走らせる兵士…。凶々しい現実に立ち向かうとき、われらもまた彼らと同じ、一人の兵士ではないのか?悲しく、激しい、22の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 〝本当の戦争の話というものは信じてもらえっこない。娘のキャスリ-ンが私に尋ねた「お父さんは人を殺したことがあるの?」... ヴェトナムは実にいろんな不思議な話で満ちていた。あるものはちょっと信じがたい話、あるものは全くの眉唾もの、ずっと後に残る話は、気違い沙汰と日常茶飯事を隔てる、或いは狂気と正常世界を隔てる境界線にある類いの話なのだ〟・・・人を殺すということ、失った戦友の記憶、帰還後の若者たちの胸に刻まれた「戦争悪」を比喩した、ティム・オブライエン作、村上春樹サン翻訳による、鮮烈な22篇の短編集。

  • 33179

  • 読み終わる前に返却

  •  本当の戦争の話というのは全然教訓的でないとティム・オブライエンは断言する。そこには一般的法則というものがない。
     
     たとえば戦争は地獄だという。教訓的な声明としてみればこの言うまでもない自明の理は完全にいうまでもなく自明に真実である、でもそれが抽象でありそれが一般論であるがゆえ、私としては心の底からそいつを信じることができない。腹にしみてことないのだ。
     それははらわたの直感にずしりと来るものなのだ。本当の戦争の話というものは、偽りなく語られれば、腹を納得させることができるのだ。(p125)

     戦争は、人を傷つけ、狂わせる装置である。比喩的な意味でも、そして実際的な意味でも。そういったある種の生々しさが伝わってくる。確かにオブライエンのこれらの話はぼくの腹を納得させた

  •  本棚を整理していると、ページの変色した本を見つけた。同じ日、江國香織さんのエッセイを読んでいると、その本の題名が出てきた。そうしてわたしはこの本を読むことにした。

  • 村上春樹の翻訳本で、ベストと思う。

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著者プロフィール

(Tim O'Brien)1946年ミネソタ州生まれ。マカレスター大学政治学部卒業後、1969年から1年間ベトナムで従軍。除隊後ハーヴァード大学大学院博士課程で政治学を学び、1973年に自らの体験をもとにしたノンフィクション『僕が戦場で死んだら』(中野圭二訳、白水社)を出版。『カチアートを追跡して』(生井英考訳、国書刊行会)で1979年に全米図書賞を受賞した。他の著書に、『ニュークリア・エイジ』(1985年)、『本当の戦争の話をしよう』(1990年)、『世界のすべての七月』(2002年、以上村上春樹訳、文春文庫)、『失踪』(1994年、坂口緑訳、学習研究社)などがある。

「2023年 『戦争に行った父から、愛する息子たちへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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