大地の子 (下)

  • 文藝春秋 (1991年4月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (504ページ) / ISBN・EAN: 9784163122908

感想・レビュー・書評

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  • 妹を中心に切れていた糸が一気につながっていく。一心の家族模様が中国、日本同時に描かれ、どちらの気持ちもわかり、切なくなる。
    と同時に、出自ゆえの苦労の絶えなさに、憤りを感じたり
    ハラハラさせられたりする。
    あとがきにあるように、天安門事件後20年以上たつが、ますます、思想引き締めを図る中国。庶民の暮らしはどうなっているのか思いを馳せてしまう。

  • 実際の戦後の事実に基づいたすばらしい小説。中国側の調査がすばらしく 中国残留孤児の心理が見事に描かれている。戦争で悪化した中国との関係、今もデリケートな関係でこの本からも距離感を考えさせられる。

  • 最後、青丹が告発し、夫が左遷された時は、気持ちよかった。

  • 閉鎖的中国

  • 全体としては面白かった。

    この本を読みながら、わからないことを勉強して、チョットだけ中国の歴史と国民性が理解できたような気がする。

    物語としては面白いですが、どちらかと言うと中国の勉強が強かった感じですね。

    昨今のチャイナリスクも鑑みて、こういう本を読んでみるのもいいのではないでしょうか。

    結構オススメ。

  • 重い本だ!満州開拓へ行った人々と言うより行かされた人々、北海道の屯田兵・南米移民など国家・時代に翻弄された人生。私の小学生時代、ラジオでは毎日「引き揚げ者」の名前を読み上げる番組があった!中国残留孤児の報道、最近聞かれないがどうなったのだろう?残留孤児として調査対象になれた人は恵まれた人達だったと知り心痛んだ。国家は個人のためにあるのではないのだ!?!

  • 現代中国へと繋がるこの小説も最終刊。
    自分の無知さに驚き、また歴史認識の欠如に恥ずかしくもある。
    日本の歴史観と中国の歴史観、侵略した者とされた者、戦勝国と戦敗国の違いなのか…
    未来を担うアジアの牽引役としての自覚があるのであれば、補償や賠償に対して、講和をタテに避けるのでなく、本当の戦争被害者達(日本人も中国人も含め)への誠意在る対応を毅然と行って欲しい。
    どこかでキチンと仕切り直さなければ、歴史は繰り返されるかもしれない。
    小説最後の父子での旅行。中国の原風景の細やかな描写が最後のクライマックスへと結ぶ。
    読んで良かったと思える作品であった。

  • 下巻は、主人公と実の親との立場、そして、中国という国へのODAでの鉄の高炉の建設、そして、主人公の左遷など、色々と書かれているが、やはり印象的なのは、途上国との交渉の仕方だと思われる。
    メンツを重んじる国。それを思うとなるほどなあと思う。
    仕事の参考にもなった。
    思想統制というのは、恐ろしいことだとも痛感した。

  • これだけの大作ともなると感想も簡単にまとまらない。文革を中心として中国残酷物語に人種差別が加わる。さらに後半は経済ものになって高炉を作るのに政治闘争の道具にされてひどい目にあう話、中国のわがままぶりに翻弄される話。そして再会と盛りだくさん。シドニィ・シェルダンばりの読みやすさと綿密な取材にアイデアの良さと何処をとってもこれぞ小説といった出来映え。やや難があるとすると小説作法でしょうがないのだろうけど善悪がはっきりしすぎている。高炉つくりの時の中国はせこいの一言でやや差別的扱いになっている。実際そうだからといえばそれまでだけど。しかし、それとてもちくって陥れた男のやったことが露見して左遷、主人公は復職したりなんてのはパターンでも面白いからしょうがない。

  • 小学生だったか中学生だったか子供の頃、中国残留孤児のことはニュースでやってた。肉親探しの方も来てたのをテレビでよく見てた記憶はある。
    どこどこで親ではぐれて...とか。
    でも中国残留孤児のことについてはほとんど知らなかった。親が中国人は偉いねえ。敵国の子を育てたんだからねえなんて言ってて、そう思ってたけど。確かにわが子同様に育てられた方もいるんだろうけど、違う人もいたんだろうねえ。本当に戦争反対。

  • 「ワイルドスワン」、「上海の長い夜」とともに、中国の文化大革命時代を知る本である。
    そして、前者2冊と違い、日本人戦災孤児の緊迫感は生々しい。

    • pandaclubさん
      ちょっとレビューが固いな
      ちょっとレビューが固いな
      2010/05/28
  • 2009/2/28開始
    2009/3/3読了

  • 中国残留孤児の苦闘の半生

    えーっと、3冊に分けて感想書くのがだるいんで下巻にまとめてしまいますが…
    活字にもなれてきて、ここいらでちょっと重たくてひたすら長いのを読んでみようか、と思ってたまたま家にあったから読み始めたこの本。
    ちまちま読み進めていき、読み終わるまでに要した時間はおおよそ1ヶ月。かなりがんばったと思う。
    読後は、最終章での、主人公、陸一心のある重大な決断とそれに絡む人物たちの心情の想像と、こんな大作を読み上げたという達成感とで思わず泣いてしまった。

    とにかく内容がとことんリアリティを追求しているため、目を伏せたくなってしまう部分も多々あります。
    しかしこの事実を受け止めることで、初めてわかる何かがあると思います。
    知ることによって、初めて「真の日中友好」へのスタートラインに立てるのではないでしょうか?

    この本から学んだことは本当にたくさんあった。考えさせられたこともたくさんあった。
    この本に出合えてよかったです。ほんとうにありがとうございました。

  • 悲しさと優しさが共存しているような話の展開は、涙なしには読み進めることができません。日中戦争、文化大革命、日中国交正常化といった歴史の流れに翻弄される人々…、まさに「壮大な叙事詩」という形容がぴったりです。NHKのドラマも良かった〜。養父・陸徳志の名前の通りの慈悲深さに、僕はかなり感銘を受けたものです。

  • 日本の父と中国の父との間に挟まれ、悩む一心。最後は自分の宿命を受け入れ、大地の子として、大陸に残ることを決意する。
    最後は、よい結末で少しほっとした。
    やっぱりこの著者の作品は重いものがあるけれど、読んでよかった。

  • 満州で生き別れた父子が三十七年目に再会したとき、父は企業を背負い、子は党と国家を背負っていた! 子が選ぶのは父か、中国か

  • この作品については、言うことなし。すごすぎます。大好き。

  • 妹・父との再会、しかし…。今まで読んだ山崎豊子の小説の中で、いちばん良かったです。戦争について、沖縄に行ったときとはまた違った角度から考えさせられました。

  • 戦争は悲しみしか生まない・・・。
    すいすいと読めたが読んでて悲しかった・・・とっても。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまさき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

山崎豊子の作品

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