とり残されて

  • 文藝春秋 (1992年1月1日発売)
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感想 : 10
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本 ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784163134802

感想・レビュー・書評

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  • 2013.5.4 少し背筋が冷える話の短編集

  • もう何度読んだかわからないくらい読み返しているが、何度読んでも満足できる。モチーフは超常現象だったり怪奇現象だったりするが、それがメインというわけではなく、そういった現象を踏み台にして表現される、人の心の不思議さ、複雑さ、滑稽さを描いている作品群である。
    「とり残されて」は、子どもの足音が聞こえるところもぞっとするけど、実はそれを受け止めている保健室の先生の心のほうがずっと恐ろしい。彼女が受けてきた仕打ちは、現実でもそうだろうなと思われることなので、よけいその無念さが凝る。その凝り方が恐ろしいのだ。
    「おたすけぶち」では村の存在が畏怖の対象になっているけれども、本当に恐ろしいのはそっちだろうか、という疑問も残ったりするのだ。下界で争いつづけていた家族たちのメンタリティは恐ろしくないだろうか。
    「私の死んだ後に」と「いつも二人で」「囁く」はSFファンタジー系の作品で、楽しく読めるけれども、ラストでふっと胸を突かれる思いがある。
    「たった一人」は、ラストのねじれ感が異様で、ずっと胸に残る。あの不安感はなんだろう。追い立てられるような、居ても立ってもいられないような、そんな気持ちにさせられる。

    何度も読み返すのは物語そのものの魅力もあるが、なにより、宮部みゆきの文章を味わいたいからである。

  • ホラー系の短編集。
    世にも奇妙な物語みたいです。

  • 宮部みゆきが書く浅田ワールドだ。いいなあ。私も近いうちに,この種の小説を書いてみよう。

  • イメージ参照(http://blogs.dion.ne.jp/kentuku902/archives/6307055.html)
    (収録作品)おたすけぶち/いつも二人で/とり残されて/たった一人/私の死んだ後に/居合わせた男/囁く

  • [囁く]などホラー色のある物語ほか、[私の死んだ後に][たった一人]など、不思議な雰囲気も味わえる短編集でした。素晴らしい。

  • 短編集。
    幽霊が絡む話だけど怖くは無くて、それぞれ全然違う世界で面白かった。

  • 幽霊の話を中心とした短編集です。それほどおもしろいとは…

  • 短編集。オカルト系の不思議を交えた物語。幽霊系の「私の死んだ後に」「いつも二人で」は、その題材にしてはコミカルな感じがするのに対して、最後に種明かしが出る「おたすけぶち」は生身の人間の怖さが伝わる。社会的問題を絡めた「とり残されて」は、読者の不満を昇華する終わりで救われる。夏の夜に読み聞かせたい極上の怪談話。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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