フーコーの振り子 上

  • 文藝春秋
3.19
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本棚登録 : 146
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (516ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163137803

作品紹介・あらすじ

ミラノの出版社に持ちこまれた原稿は、またしてもテンプル騎士団にまつわるものだった。3人の編集者の思いは、中世へ、錬金全の時代へと、運命的に引き寄せられてゆく。-やがて、編集者のひとりが失踪する。最後の手がかりは、パリの国立工芸院付近からの公衆電話。あの"フーコーの振り子"のある博物館だ。「追われている。察されるかもしれない。そうだ、テンプル騎士団だ」そして、電話は切れた…。

感想・レビュー・書評

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  • ウンベルトエーコの単行本の作品は古本では殆ど
    出てこないくらい希少価値があると
    自分勝手に思っていて、
    この上下本を揃えるのに20年くらいかかりました。

    文庫本なら直ぐに手に入るのですが、
    詰まらないこだわりから、ハードカバーを
    探し続けていました。


    これからゆっくり、エーコの世界を堪能しようと思います。

  • エーコらしい、遠回しで、ねちっこくて、くどくどした小説。

    面白いかどうかという前に、最初から最後まで気になったことを言っておこう。
    とにかく日本語訳がどうにもしっくりこなかった。気持ち悪いくらいに合っていないと私は思う。あまりにも古くさい言い回しの日本語が多い。

    例えば、「ユダヤの顔も二度三度、と言ってるかと思ったら、すぐにアバタもエクボ」(下・282p)
    こう言われると意味がわかりにくくなる。もっと他の適切な文章があると思う。

    他にも「恐れ入谷の鬼子母神、さあ、殺したけりゃ殺すがいい」(下・538p)
    って、ヨーロッパでイタリア人が主人公という小説に相応しい台詞とは思えない。

    こういうのが多過ぎて何となく残念だった。



    さて、本題。感想。

    これぞ想像力!と言わんばかりの内容で、本当にスゴイ。
    でも、スゴイけれどつまらなかった。上下巻にしなくてもいい。言いたいことはもっと短くても成り立つ。
    まぁ、その無駄と思える部分がエーコらしさ(良さ)ってことなんだけど。

    それで、読み終える頃にはくだらない、つまらない、と思っていたのに、深く胸の内に何かがひっかかって残る。
    だからエーコはスゴイのだ。
    9/10がつまらないように思っても1/10で逆転させられてしまう。

    ひっかかる何かというのは、哲学的で論理的なものかもしれないし、物理や科学かもしれない、一生をかけて研究をするようなことの断片。その欠片。

    キラリと見えた部分を掘っていけば、磨いていけば、その全貌が見える。掘ることはそれは出家や修行かもしれないし、磨くことは研究かもしれない。

    とにかく、今ここで私が簡単に言葉にできるはずのない事柄の欠片を感じるのである。

    歴史とは如何なるものか、真実とは、秘密とは。
    発見、発明、証明、すべての知について。
    社会、世界。 人生、生命。


    この小説の概要に相応しいと思う(私が勝手にそう思うのだが)箇所を引用しておく。

    このことは、東日本大震災後にそれに関することで様々に意見をしている人々の多くに当て嵌まるところがあるように私は思う。

    正義のように見える責任の擦り付けばかりの現代の日本は、まさにこの小説のようだと思う。

    何も信じないから何でも信じてしまう、知らないということを知らない人間にはならないようにしたい。

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     毎日の生活にしたって然り。大恐慌やブラックマンデーの群衆心理がその典型。一人一人が誤った判断で行動するから起こるので、それぞれの誤った行動が一つにまとまって全体をパニック状態に陥れるのだ。
    それから意志薄弱な人間が怪しむ。いったい誰がこの陰謀を企んだのか、誰が得をするのか? そして最後に、陰謀を企んだ奴を見つけなかったら承知しないぞ、と脅す。
    それをお前は自分の責任だとでも言うのか。
    それとも責任を感じているから、お前が陰謀をでっちあげるのか。それも一つじゃなくていくつも。
    しかし、その陰謀を叩き潰すために、今度は自分の陰謀を企てなければならなくなる。
    それにお前が自分の理解のなさを正当化するために、他人の陰謀を知恵を絞って考えれば考えるだけ、その陰謀の俘虜(とりこ)になり、結局は連中と同じ土俵で相撲をとることになってしまう。
    それだったら、あのイエズス会やベーコン派やパウロ派や新テンプル派のあいだで、誰もが皆『計画』の責任を相手に擦りつけたのとどこが違うのだ。(下・506pより)

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  • わからない言葉が多すぎて、ちょっと辛い。著者が博識なのはわかるがなかなか本筋に入って行かない感じ。下巻に期待。

  • イタリア、ベローナなどを舞台とした作品です。

  • 図書館で読みました
    とても感動的な本で
    心に残りました
    面白いですよ

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著者プロフィール

1932年イタリア・アレッサンドリアに生れる。小説家・記号論者。
トリノ大学で中世美学を専攻、1956年に本書の基となる『聖トマスにおける美学問題』を刊行。1962年に発表した前衛芸術論『開かれた作品』で一躍欧米の注目を集める。1980年、中世の修道院を舞台にした小説第一作『薔薇の名前』により世界的大ベストセラー作家となる。以降も多数の小説や評論を発表。2016年2月没。

「2022年 『中世の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ウンベルト・エーコの作品

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