松ヶ枝町サーガ まつがえちょう物語

  • 文藝春秋 (1993年7月20日発売)
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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784163141305

感想・レビュー・書評

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  • この本は舞台が1958年、
    10歳の少年が主人公の連作短編小説です。
    今書こうとしている小説の舞台が
    80年代なものですから、
    その参考用に以前読んだこの本を再読しています。

    基本的にはノスタルジックな雰囲気ですね。
    マンガのこち亀にたまに出てくる
    両津の少年時代の回想エピソードみたいな感じでしょうか。

    面白いなあと思うのは、この主人公は
    1948年生まれということになり
    自分とは20年以上の年齢差があるわけですが
    話の中に出てくる遊びの種類とか
    周りの風景なんかは自分の幼き頃の記憶と大差ない
    ということですね。

    ということは、その頃ってやはり今と比べると
    社会全体の変化のスピードが
    ゆったりとしていたんでしょうね。

    たとえば主人公が父親からメンコ(面子)の
    必勝法を教えてもらう場面があります。
    つまり父親と息子は当然違う世代なのに
    同じ遊びをしていた、という事ですね。

    これは遊びだけではないでしょうね。
    親の世代が持っている、
    生きる上での様々な情報というのが
    子供の世代でも充分に価値があったということですね。

    どころが現代ではどうでしょうか?
    親が子供に伝えようとしたところで
    その情報自体がすでに変化していて
    役に立たないという事も多いような気がします。

    というか、親自体も自分自身で
    情報のアップデートを常にしていかないと
    世の中の変化についていけないという気もしますね。
    なんかそう考えるとせわしないですね。

    我々はどこまで進化?変化?
    していかなくてはいけないのでしょうか?
    ちょっと考えてしまいますね。
    そんな事をこの懐かしい風景に満ちた
    小説を読んで考えてしまいました。

    というような事を思っていたわけですが
    昨日よりこちらでは大雪で積雪が
    80センチくらいになっています。
    雪かきをしないと家も出れないような感じです。

    という事で私も朝からスノーダンプと
    スコップで雪かきをしているわけですが
    町の風景を見てみると、
    頑張っているのは年寄りばかりですね。
    動きがとても効率的でなめらか。
    それに対して若い世代は頑張ってるんだろうけど
    成果はイマイチ。

    こういったところにはまだまだ
    受け継がれるべき情報みたいなものもあるなあと思いました。
    2017/01/14 09:57

  • 芦原すなおといえば、「青春デンデケデケデン」が有名だけど、わたしはこちらの方がすきです。
    昭和の30年代、松ヶ枝町におこる日常を少年ツーちゃんからの視線で描いた作品。
    昭和の古きよき時代、なんとなく懐かしく、あたたかい気持ちで読める。
    登場する飲んだくれのお父さんが、憎めなくて魅力的。

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著者プロフィール

1949年香川県観音寺生まれ。早稲田大学大学院博士課程中退。1990年、『青春デンデケデケデケ』で第27回文藝賞、翌91年、第105回直木賞を受賞する。著書に『スサノオ自伝』などがある。

「2010年 『青春デンデケデケデケ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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