帰郷

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163145808

作品紹介・あらすじ

ひとときの喜びと残る哀しみ。そして人生はつづく-。短篇の醍醐味。

感想・レビュー・書評

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  • 34533

  • 6月30日

  • 感動した言葉
    「しかし太田誠は、簡単な質問には簡単に答えたが、彼らがもっと深く知りたいと思っているようなことー彼自身がモナコ・グランプリでやりとげたようなことについては、けっして話さなかった。話すことによって、サーキットで経験したり見たりしたできごとが色褪せてゆき、やがて心の中から失われてしまうのが怖ろしかったのだ。彼はしゃべるということは心の中のものを失うことだと思っていた」
    「だが彼はそのことを女を手にいれたただのありふれた話として三人に話してしまった。そのためにあの楽しかった気分までが、すがすがしい性質を失い、ただの平凡なものになってしまったような気がしたのだ。こうして彼は人に話すことによって、話す前に怖れていたとおりに、貴重な経験の数々をすこしづつ失っていった。彼はそういう自分に嫌悪を感じた」

    「しかし太田誠が自分自身を心の底から嫌悪したのは、つくり話をして嘘をついたときだった」

    嘘話は自分を惨めにさせるだけですね。

  • 歳が近いせいか、安心して読めた。
    この作家、切れ味鋭い才能は残念ながら持ち合わせていないが、なんかぼくの書く(小説なんか書いたことないが)ものと似ているような気がする。

    男女の心理を描いた短編集。

    短篇のせいか、取材で仕入れた知識を微にいり細に入りひけらかさず、サラリと描いてるのがいい。

    例えば、F1レースとか、野球とか、フライフィッシングとか、かなり詳しい取材したという形跡が読み取れるが、時間制限(字数制限?)のため、踏み込めないでいるのが、却っていい。

    よく分厚い小説を書く作家って、取材の成果を詰め込みすぎて、物語の本筋がぼやける人多いじゃないですか。

    普段どんな小説を書く作家か知らないが、短篇で成功したね。

    各物語をプツッと終わらせるやり方もぼく好み。

    難点は、その歳で女に興味持ちすぎ・・・って、ところかな?

  • 安濃図書館。

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