怪談 男と女の物語はいつも怖い

  • 文藝春秋 (1994年1月1日発売)
2.80
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感想 : 3
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  • 本 ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163150604

感想・レビュー・書評

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  • 男にとって女は魔物。求めるものは隠し、秘密は知りたがり、追いかければ逃げていく。恋がふとした拍子に恐怖に転じた十の物語


    んーなんか…ってかんじだった。とにかく、女も男も嫉妬してるし、不倫してるし、パパ活女子はいるしってかんじ。
    特に、最初の話は完全に娘も母親も頭お花畑だし、なぜか父親が悪いことになってるのが分からなかった。結婚してる姉も一緒になって、父親を説得してるけど、「いや、お前の旦那が今と同じ状況になっても結婚を後押しできんのかよ」ってなったわ。


    若い子はいいとか言って不倫相手が家まで押しかけちゃう話とかも男がアホすぎたし。不倫相手の女のことも妻のことも舐めてかかってる。いつか妻に復讐されればいいのにって思った。


    小説ってその時代のことが分かる。バブルの頃とかこういうかんじだったんだーってなったりするから好きなんだけど、今回は今と時代が違いすぎて(価値観とかお金のこととか)、なんだかなーってなった。ネットで溢れてる不倫した配偶者に、スカッと復讐系が今の支流なのかね。まぁ、「男と女の物語はいつも怖い」が副題になってるからそういうことか。


    本当は⭐︎は2.5ぐらいの気分だった。


    2023.1.28 読了

  • 怪談と言っても幽霊は出てきません。
    そして副題が「男と女の物語はいつも怖い」ですが、そういう男女関係の恐い話ばかりという訳でもありません。

    例えば、「靴を買う」という話は普通のOLがかなり背伸びをして高級バック買い、その時の昂揚感が忘れられず買い物依存症になっていくという系統の恐い話となっています。

    中には恐くない話もあります。
    最初の「つわぶきの花」という話は、妻子ある男性と結婚すると言う娘に腹を立てる男性が主人公で、タイトルのつわぶきの花の風情がきいた、何となく切なくしみじみくる話です。

    いかにもタイトルっぽい話と言えば、「朝」という話。
    自宅で目覚めた主人公の男性は側に不倫相手の女性がいる事に驚く。
    今、妻はちょっとした用事で外に出ているが、ほんの数分で帰ってくる。
    その間に不倫相手を説得し、なだめすかして外に出さなくてはならない。
    土下座までして何とか女を追い出し、外で待ち合わせの約束をした男だったが-。

    という話でタイムリミットが迫っているというのにヒヤヒヤする。
    どっちかというと女性の立場で見ると滑稽にも思える話ですが、男性がこれを想像しながら読んだら恐いだろうな~と思います。
    この話、序盤で「あれ?これどっかで見た事ある・・・」と思いました。
    多分、タモリの「世にも奇妙な物語」のようなショートドラマを映像で見たような気がします。
    映像で見ると男の慌てぶりが何とも情けなく、でも主人公と一緒にイライラしたりヒヤヒヤきました。

    「前田君の嫁さん」は、嫁ぎ先の田舎や農家になじめない前田君の嫁さんとふとした事で関わるようになった農家の男性の話。

    「ウェイティング・バー」は、誰かを待ちながらバーで男女がひたすら会話をしているカギカッコだけの話。
    会話の中から二人がどういった人物でどんな関係性なのか見えてくる。
    そして待ち人はその会話のオチとなっている。

    「怪談」は、魅力的な女性と結婚しようとしている男性が主人公。
    上司に仲人の依頼をしたその日、彼のもとに一通の手紙が舞い込む。
    その手紙は、彼がこれから結婚しようとしている女性はとんでもない悪女で、結婚したら不幸になるから婚約を解消しなさい、という忠告めいたものだった。

    そんな感じの話が他4話収録された全10話の短編集。
    怪談というにはパンチが薄いし、男と女の-という話ばかりでもなく、恐い話だけでもなく-と、タイトルは曖昧な印象。
    ただ、それぞれ趣が違う話になっているので、次はどういう話なんだろう~とそれなりに楽しんで読めました。

  • イメージ参照(http://blogs.dion.ne.jp/kentuku902/archives/6290309.html)
    (収録作品)つわぶきの花/前田君の嫁さん/ウェイティング・バー/怪談/朝/わたくしの好きな写真/いらつく理由/靴を買う/残務処理/土曜日の献立 

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著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん!』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。

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