無鹿

  • 文藝春秋 (1997年1月1日発売)
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本 ・本 (168ページ) / ISBN・EAN: 9784163169507

感想・レビュー・書評

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  • 四つの短編で構成されているが
    どれも興味深い作品
    宮崎県の無鹿
    官軍と西郷隆盛との決戦場
    この地名はラテン語の音楽のこと
    ムシカ
    大友宗麟がキリスト教徒になった時
    自分が余生を送る理想の地を定め
    そこをムジカと呼んだ
    そして島津に敗れその土地を追われる

    取材日記も山城に興味があり
    何も無い所を訪ねて思いを巡らす
    歴史がいきいきと動き出す
    風の中に古人の溜息や叫びが聞こえる

    他の作品も引き込まれるように
    読んだ

  • 遠藤氏の死後に刊行された短篇集です。
    「無鹿」「取材日記」「あの世で」「ご飯を食べる会」の4編収録。
    4編全てのレビューを記しては野暮というものなので本のタイトルにもなっている「無鹿」から。
    一冊の詩集を携え定年間近の主人公は出張で宮崎を訪れる。地元の人を通じて更に無鹿の地へと導かれ……。
    無鹿は知る人ぞ知る大友宗麟が名付け、また西郷隆盛と縁のある歴史深い土地です。
    主人公が持つ詩集と地元の歴史通が語る地元愛に満ちた言葉が幾重にも重なり内容は進んでいきます。
    無鹿、とはムシカ(musica)ラテン語でミュージック音楽の意味。
    大友宗麟が賛美歌を響かせようと夢見た無鹿。
    そして西郷隆盛が夢散らせた無鹿。
    展開にはもうひとつ主人公が抱える苦悩というものが横たわりますがその「現実感」に対し、歴史が残した「夢の跡」ともいえる無鹿の寂しい風景にどこか眩しいものを感じ、切なさはあれども主人公の人生に希望が見いだせるような不思議な物語でした。

  • 無鹿=musica、音楽。大友宗麟が少年たちのヴィオラで聴いた「汚れひとつなく澄みきった」音楽は何だったのかな?美しくて儚い素晴らしい短編。

  • 遠藤周作の短編集「無鹿」

    この本のタイトルにもなってる「無鹿」という作品は、宮崎の県北にある延岡市無鹿町が舞台になってるんです!!
    会話の中に宮崎弁がでてくるのですが、ちょっと違う!って思う部分もあるけれど、口語を文語として表現すると、こんな感じになっちゃうのかな?宮崎に興味のある方は是非読んでみて下さい(^▽^)

  • 無鹿を訪れて

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著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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