アメリカン・タブロイド (下)

  • 文藝春秋 (1998年2月1日発売)
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本 ・本 (424ページ) / ISBN・EAN: 9784163174709

感想・レビュー・書評

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  • この人の本はつまんないけど評判良いからときどき読んで、やっぱよく分からんばい、ってなる。なんでだろう、イタリア人の名前が覚えにくいからかもしれんけど、やっぱアメリカの歴史とか、歴史上の人物を全然知らんてのが大きいんだろうなぁ。マフィアのボス言われてもなぁ。ケネディもぶっちゃけよう知らんし。
    というわけで有名人をまるで知らん前提で読むに、ウォードさんが良いよね!最初はのび太くんみたいなイメージで脳内変換されてたのに、最後はめっさハードボイルドだから。いやでもこういう展開はいじめられっ子がのし上がるいつもの日本のマンガの展開じゃんか。やっぱアメ公も好きなんやねぇ。分かる、分かるよ。

  • JFKの大統領就任前から、ピッグス湾事件、マフィアやFBIとの確執を経てダラスで暗殺されるまでの五年間を、実在の人物を交えながら描いてある。

    エルロイは『ブラック・ダリア』以来、十数年ぶりだったので不安も多少あったが、「アメリカ文学界の狂犬」とも呼ばれる、必要最小限まで説明を省く電文体のスタイルには何の抵抗もなく、さくさく読み進められた。

    “アメリカが清らかだったことはかつて一度もない”との前書き通り、アメリカ本来の姿であろう暗黒部分を徹底的に曝け出してくる。新しいアメリカの象徴であるJFK、絶大な人気に支えられた作り物のカリスマ。しかしマフィアやFBIから憎まれてるのは弟のロバートで、それがいつしかジョンの暗殺にすり替わっていく破滅のプロセスに妙に納得してしまった。

    己の利権と立場を維持しながら、更なる欲望を貪るのにケネディ兄弟は必要ない。憎悪のスタートは単純だったのだが、キューバ情勢の荒波に呑まれた反ケネディ派は、いつしかJFKを都合よく取り込もうと醜い引っ張り合いを始める。ここに巻き込まれた三人の男が、権力と挫折の狭間でもがき苦しみ、なるべくして変貌を遂げていく様が非常に読み応えがあった。

    視点の切替え、乱立する陰謀、混乱する人物相関図、組織間の駆け引きなど、内容のへヴィーさは相当なので、初心者にはあまりオススメできない。小説なのだが、警告書のようにも思える。ナルシスト国家アメリカの、最もナルシストな犯罪者による歪んだイス取りゲーム。

  • ジェイムズ・エルロイ著。アメリカンタブロイドの下巻。
    上巻に続いてCIAとマフィアの共同作戦であるピッグス湾侵攻作戦からケネディー大統領暗殺までが描かれている。
    物語はピッグス湾侵攻作戦の失敗から一転、ボビー・ケネディー司法長官が進めるマフィアの締め付けによってケネディー大統領暗殺事件へと展開していく。
    今回も3人の主人公による視点からケネディー暗殺事件の背景を浮き上がらせる手法がとられている。
    3人の思惑、野心が錯綜しながら、各勢力の波に翻弄されていく様が描かれている。
    今作の印象として暗黒のL.A.シリーズにあったような膨大で緻密、精密なプロットが終盤に向かって収束しいく手法は弱まり、アメリカの栄光の歴史の裏側を低俗に、暴力的に表現している。正に「アメリカンのタブロイド」という冠が良く似合う作品。
    狂犬の名に相応しい暴力的な表現はそのままに暗黒のL.A.シリーズにあったミステリー要素を薄味にしながら、小説作品として全体像で凄みを見せる作家エルロイへとシフトしたのではないかと感じた。
    次作のアメリカンデストリップではマーティン・ルーサー・キング暗殺、ボビー・ケネディー司法長官とフーバーFBI長官の対立などが、ケネディー暗殺事件以後の5年間が描かれるというので小躍りして楽しみにしている。

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