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本 ・本 (576ページ) / ISBN・EAN: 9784163177700
感想・レビュー・書評
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吉野朔実さんが紹介してた本。映画に魅せられた大学生がバイトする場末の映画館で忘れられたB級作品に出会う。謎めいた監督を探すうちに‥虚実入り混じった映画や俳優達の話、異様な映像を実際に見ているような描写、恋愛話など満腹感。
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宝島社「このミステリがすごい」1999年度海外部門第1位、1988-2008年版 ベスト・オブ・ベスト海外部門第9位。
圧倒的大作だった、読了に時間と努力を必要とした。読みずらいわけではない。圧倒的物量の映画トリビアを飲み込んでいくとそうなる。自分の世代で映画好きならなおさらそうなると思う。
マックス・キャッスルなる映画監督の軌跡を追う、彼の残したフィルムには映画技術の結晶が詰め込まれており、さらに秘めたるメッセージも垣間見えるようであり…と筋は簡単に説明できるものの、予想外の結末に向けて、映画の歴史、撮影テクニック、様々な名作の数々エピソードに、その評価と、長大なる長旅であった。
久しぶりにぐったり疲れた余韻に浸れる傑作だったと思う。 -
映画監督マックス・キャッスルの作品の魅力に取り憑かれた主人公がその魅力の謎に迫る探偵小説。
虚実を織り交ぜるスタイルや過剰なほどのディティールへのこだわりによって、架空の監督や作品なのに本当に存在していると思わせる力を持った作品。
フィクション的に誇張しつつも現実に存在する映画の負の魔力を巡って、社会問題や宗教・陰謀論まで展開するサスペンスに手に汗握る。
映画ネタは時代が古過ぎてちょっとノレないのと、世界観に厚みを持たせるためか映画ネタからセックスまでいちいち描写が細かく、その分ページ数も厚くなってるのが難点。
エンジン掛かるまでかなりページ数が掛かるけど、最終的には面白かった。 -
最初に読み始めたときは、あちゃーこれはきついの引いてしまったかも、と暗い気分に陥ってしまったものの、読み進めると思いの外、いやあくまでも第一印象に比べてだけど、けっこうエンターテイメント。一ページの文字数の多さにはへこたれること数知れず、でも終盤からはインディジョーンズばりに盛り上がる。
とまぁその盛り上がりに辿り着くのも一苦労で、やりきった感もスゴイ。この文字数ならさぞ文学調かと思いきや妙なエロ談話がいちいち盛り込まれてて、それもまた微妙にスゴイ。
というわけで、印象悪くて話したことなかったけど、付き合ってみたらけっこう面白い男だった、的なやつだった。 -
人生の50冊 小説部門 ベスト4位
映画 ✖ 小説 の大傑作。虚実皮膜とはまさにこの作品。
映画好きにも、ミステリー好きにもオススメですが、両方が好きな人は必読の一冊。後悔はさせません。
映画界の「禁断の木の実」を巡るミステリーで、オーソン・ウェルズまで登場する映画内幕モノあり、
映画史のトリビアあり、年上の女性からの性の手ほどきあり、カルト教団までが絡まる空前絶後の物語です。 -
読み始めたときには、本当に読み終わるのか不安な本でした。
が、
波に乗ると、ズイズイと吸い込まれるように惹き付けられ、
チラチラとみせられる、何か怪しげなヒントのような、
キーのようなものが気になり、
その微妙なチラリズムにやられて、またまた読み進めてしまいます(笑)
謎が謎でないような、
なんとなく、そうだろうな、と思わせられるんだけど、
答えを先延ばしにされているような…。
ここに出てきた映画は、私は全くしらないモノばかり。
唯一しっていたのが、ヒッチコックの「サイコ」
でも、出てきた映画を知っていたら、もっと楽しめたのだと思う。
この本の中でも言っているように、
映画はどんどんと展開が速くなるし、
コマ割りも多いし、
ストーリーも速いし、
残酷で、リアルで、刺激が強すぎる。
何でこんなに残酷なものを、人は見たがるのか…、
と思うことも多々あって、
なので一層、この本にズイズイと引っ張られてしまったのかもしれない。
結果を隠しながら、チラチラと読み手を挑発しているような描き方は、
なんとなく、この中に出てくる映画感と似ていると思った。
しかし、なんと夢中になれる本なのだろう!!
と思ったよ。
もっと映画に詳しく、映画がスキだったら、更に楽しめた本だと思う。
しかし、映画好きな人でなくても、
色々な刺激を与えてくれる本だと思った。
一気に読まされて、あのラスト!!
宙に放り出されたような感覚で、
なんとも言えない感じでした(笑)
しかし、ストンと落ち着くラストじゃないのがいいのかもね。
なんとなく、
本の内容と表紙がマッチしていない感じがしていたけど、
最後まで読むと納得できた(笑)
そんなところも面白かったです。 -
ロサンゼルスの映画学科大学教授である「僕」はふとしたことからマックス・キャッスルという監督のことを知る。作品は三流怪奇映画ですが、映像にある得体の知れないものに魅せられる。次第に明らかになるキャッスルの正体。彼はフィルムの中にある何かを隠していたのです。やがて、彼の黒幕には、怪しい孤児たち、宗教団体が絡んでいて…。
小説には「マルタの鷹」のジョン・ヒューストン監督、「市民ケーン」のオーソン・ウェルズ監督も登場。マックス・キャッスルなる監督は実在したのか?読者は戸惑いながらも、虚実を行き交うストーリーの面白さに先を急ぐでしょう。
最初はややゆっくりな展開に感じますが、キャッスル監督の幻の作品がふとしたことから見つかるところくらいになると、止まらない。
この小説のすごいところは、読者はキャッスル監督の映画を見ることができないのに、それを見たような気分になること。映画ファンなら、次々と出てくる映画の古典の題名にも、興味を覚えるだろう。特に、ウェルズが製作、キャッスルはこの撮影に協力しながらも、完成しなかったジョセフ・コンラッド原作の「闇の奥」のエピソードは面白い。
「闇の奥」は後にフランシス・コッポラが「地獄の黙示録」の原作としても知られている。
この小説の虚実皮膜の構成は、映画そのものとシンクロする。つまり、映画というのは、現代が発明した「ペテン装置」とも言える。映像は動いているように見えますが、それを構成しているのは1秒24コマの写真の連続で、光と影で構成されている。
普通の監督は、いかにフィルムに光を焼き付けるかに腐心するわけですが、キャッスルは映画の中に隠す。この辺りの発想が面白い。
それを突き止めようとする主人公は”闇の奥”へと進んでいく。文庫版はすごく分厚い上下巻ですが、読み始めると、気にならない。ミステリーファン、映画ファンを魅了する一冊。 -
なんと壮大な与太話だろう!ジョナサンが入り込む映画の魔は映写機の歯車からマルタ十字軍に大きくジャンプする。あれよあれよのストーリーに唖然呆然!そんなのあり?もちろんミステリですから作者のお気の召すままにです。
あー、この小説大好きでしたー!
たしか『このミス』で、海外小説一位か何かになったはず。
もう夢中で読みました...
あー、この小説大好きでしたー!
たしか『このミス』で、海外小説一位か何かになったはず。
もう夢中で読みましたよ。
主人公と年上の女性との危うい関係にも、映画を巡る謎にも、惹かれました。
著者の方、邦訳本はこの作品と難しそうな専門書しか出してないんですよね。
もう一度読みたいんですが、挑戦しようと本を手に取るたび、分厚さに引いています。笑
まさに、この本読みながら「5552さんみたいに映画たくさん観てる人だったらもっと楽しめるんだろうな〜」って思ってたんですよ...
まさに、この本読みながら「5552さんみたいに映画たくさん観てる人だったらもっと楽しめるんだろうな〜」って思ってたんですよ‼︎でもあまり観てない私でも何となくわかる雰囲気だったり、役者さんを検索したりして楽しみました♪
吉野朔実さんの本でミステリーかと思いリクエストしてたんですがすっかり忘れてて、かなり分厚い本書を図書館で渡された時「無理!」と思いました。ミステリー?自伝?とよくわからないけどなんだか先が気になり毎日読み耽っているうちに読み終えてました。危うい関係とか含めて細かい描写が分厚くさせてるのでしょうが、それが真実味も与えてると思います。著者作品、他のは専門的過ぎて確かに読めないかもですね。