東京セブンローズ

  • 文藝春秋 (1999年3月15日発売)
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本 ・本 (784ページ) / ISBN・EAN: 9784163183800

感想・レビュー・書評

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  • さすが井上ひさし先生である。たっぷり堪能させていただきました。戦中戦後の庶民感覚がよく分かる。貴重な記録としても価値がある。そして当時の大人のオトコたちが、どれだけだらしなかったかが突きつけられる。やっぱり女性は強いや。
    GHQが占領政策の一つとして日本語のローマ字化を持ち出していたのは有名な話だけど、そうならなくて良かったと、心底思う。と同時に、国民から言葉を奪う暴力は決して許されるものではない。日本もやっちまってるからね。アジアの国々で年取った方が日本語を話すのを聞くと、なぜか申し訳ない気持ちになるんだな。

  • 2012・11・02読み始めましたが、おどろくほどの長編小説。
    いったいいつ読み終わるのやら。

    2012・11・12ベッドサイド入眠剤代わりの大作、おやすみ前に日記2,3日ぶんを読む習慣だが、お楽しみは8月6日、8月9日、8月15日の記述である。
    ところが日記者は突然刑務所へ、終戦当時にはシャバのことは知らないという。なんということ。

    終戦、進駐軍がやって来た、一気に読み進んで読了。

    戦中子供派、大人たちの変わり身の速さにウンザリ組は多いよね。

    大江健三郎、堀田善衞、吉本隆明、野坂昭如、などなど、そりゃあやっぱ根性ねじれるよね。

    もっとも皮肉たっぷりのお兄さんが最後にやって来て、いったね、モロ露骨に。

  • 第二次世界大戦時中のある一家の物語。著者は20年分の新聞を読んだりして徹底的に調べているので、小説ですが当時の様子が細かく描写されていてすごく勉強になりました。

  • 第7回アワヒニビブリオバトルテーマ「日本」で紹介した本です。
    2015.12.8



  • 文藝春秋 井上ひさし 「 東京セブンローズ 」

    一人称日記形式の小説。前半は戦中戦後の根津を舞台とした世相描写。後半は日本語のローマ字化を阻止した東京セブンローズの物語から「日本語とは何か」を論じている


    770ページは長く、東京セブンローズは なかなか出てこないが、とても面白い。戦中戦後に起きた様々な事件や問題、複雑に揺れ動く庶民の心理、国語の持つ文化性を 軽妙な語り口で わかりやすく説明している


    著者の数々のメッセージの中でも 最も印象に残ったのは「国家とは その時の支配層にすぎず、国民とは別物であり 国家が滅んでも 国民は滅びない」というもの

































  • 後半は占領軍の日本語政策に対しての反対計画としてのスパイ小説並みであった。
     戦中から戦後の占領政策として歴史的事実を織り交ぜながらの小説であるので、学生が読んでも参考になるであろう。さらに、日本語のローマ字化についての議論もうまくまとめられているので、小説を読みながらも勉強になる。
     惜しむらくは、780ページという超長編ということであり、文庫本でも学生が購入して読むにはちゅうちょするかもしれない.
     米原万里の紹介本である。

  • トイレに行く間も惜しいほど面白くて堪らない作品だった。前半は戦火の非常時を生き抜く庶民のユーモアに感嘆し、後半は打って変わって冒険活劇の如く、占領軍によって廃止の危機に陥った漢字と日本語を救うため奔走する怒涛の展開。全編を通して小気味良い洒落の応酬が心地良い。

    状況は違えど、政治がおかしなことになっている現代にこそいよいよ存在意義を増す作品であろう。終戦の劇的な思想転換と日和見主義の民衆の描写が鮮やかだ。そんな激動の時代を逞しく生き抜きアメリカに打って出るセブンローズたちの気概に胸打たれた。

    国という概念に思い入れはなくとも日本語には多分に愛情があるもので、言語という存在がいかに密接に個人と民族と歴史と文化を縫い合わせる絶対不可分な存在であるかと改めて思い知らされる。そして自国の言葉だけでなく全ての言語に敬意を払いたくなる一冊である。年末にして今年一番の名著だった。

  • 第7回アワヒニビブリオバトル「日本」で紹介された本です。
    2015.12.08

  • 780ページ近い、しかも旧字旧仮名で書かれた小説。別冊文藝春秋に15年も連載していたらしい。戦中戦後の市民生活について、よく調べて書いているが、小説としてはどうかな。

    調べた情報を盛り込みたいがために、セリフにそれを突っ込むいわゆる「説明セリフ」が多用されているし、なぜ一介の日記を書くことが趣味の団扇職人がそんなこと(詳しくはお読み下さい)に関わるのか、もよくわからないし、最後の方はかなり無茶苦茶だと思う。

  • 2016年の秋くらいに読み終わっていたことを思い出した。戦争中の物の足りないこと、不自由なことは、半年〜1年くらいの間のことだったのかな。

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著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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