うつくしい子ども

  • 文藝春秋 (1999年5月7日発売)
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本 ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784163184500

感想・レビュー・書評

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  • まだ13歳の弟が小学3年生の女子を殺害してしまった。
    その兄の目線と、新聞記者の目線で話は進められていく。
    兄もまだ中学生。家族は非難の目にあう。

    兄は、通いなれた中学に登校し、いじめにあいながらも、
    なぜ、弟はこんな事件を起こしたのか、
    弟の事を理解しようと事件を振り返りだす。
    そこから見えてきたもの・・・
    事件の真実。

    弟はうつくしい子どもだった。
    だけど真に心がうつくしいのは兄の方だったと思う。

  • 殺人を犯した弟
    兄はなぜ弟がそんなことをしたのか調べ始める…
    真実は見つかるのだろうか。
    読みやすくて面白かった。

  • ぼくの弟が妹と同じ年の女の子を殺して少年Aになった。 かわいくて子役モデルをする妹を溺愛する母。「なぜ弟があんなことをやったのか、その理由を探そう」ジャガは弟のまわりを探る。加熱するジャガへのいじめ。少年の強い意志と優しさがぐっとくる切ない話だった。しかし、家族の食卓で自分の娘のことを「ミズハ姫」と呼ぶ母親はどうなのと思った。うつくしくない子どもとして育てられたジャガがここまでグレずにまっすぐ育ったのが不思議なくらいだった。

  • 最初は何か似た事件があったたなあと思い読み進めていくと、だんだん面白くなった。最後は納得いかないが、及第点以上だ。

  • 誰だって二重人格をもってる。
    それが中学生なんていう
    多感な時期にはなおさら、
    もう一人の自分が
    すごく大きな存在なんだと思う。

    そのもう一人の自分が
    孤独で狂気で暴力的だったら?

    どうやって、そういう自分と
    折り合いをつけていくのだろう。

    主人公の友だちの
    長沢くんもはるきも
    それぞれ秘密がある。

    もう一つの自分が、
    狂気的な部分だった
    弟と松浦くん。たまたまね。
    でも、みんな持ってるんだよね、
    人には見せていない自分。


    そんなことを
    考えさせられる一冊。

  • 1999年、15歳の時に買った本。
    自分がまだ'あちら側'にいる時に読んだからか、内容にシンクロして読めた。
    あの時にあちら側にいて、語弊があるかもしれないが、あの事件を距離をとって見られなかったなら、読んで損はない。
    ただしこちら側の目線でなく、あちら側に還って、大人というものは遠くにいて、裏山はすぐにでも行ける気持ちで読んでほしい。
    自分の中の分類では、児童書に近い。
    処分するにあたりこちら側で読み返した感想は、主人公があの境地たりえたのは、「ぼくはそんなふうにいわれたことはない。」からだと感じた。
    この物語の白眉は、この一文。

  • 石田衣良さんの作品の中では迫力にかける内容。

  • 9歳の女の子を殺したのは中学1年生13歳の弟。
    少年法に守られる弟とメディアに晒されるその家族。
    中学2年生の少年は罪を犯した弟の気持ちを理解するために、事件を調べ始める。
    加害者家族と新聞記者の2つの視点による物語。

    事件のモデルは明らかに酒鬼薔薇聖斗による「神戸連続児童殺傷事件」。
    あの事件の少年Aも少年法に守られたはずだったが、今でもネット検索をすれば彼の本名と顔写真がでてくる。

    小説の主人公は中学2年生の三村幹生、通称「ジャガ」。彼の弟が9歳の女の子を残忍かつ変態的に殺害し、逮捕される。激化するマスコミからの批判や見えない暴力を受けながらも、ジャガは分かり合える友人たちと事件の真相にたどりつく。

    少年法とその報道、加害者家族の人権、性に対するコンプレックス、マインドコントロールなど問題提起が多い作品。

    高校生のときに読んで以来、6年ぶりくらいに読み直した。やはりショッキングな内容。ドラマ『それでも、生きてゆく』もこういった加害者家族の苦悩を描いていたなと思い出した。

    殺されたほうの家族は辛い、殺してしまったほうの家族も辛い。
    酒鬼薔薇聖斗の弟の気持ちは誰も知らない。

  • 最初はつまらないが徐々におもしろくなる




  • 弟が殺人を犯してしまって…という話
    主人公は長男で中学2年生のジャガ(幹生)
    次男で中1の和枝、小3の妹瑞葉の3人兄弟
    殺人事件を引き起こしたのは和枝
    事件の後の家族の話が主にジャガの目を通して描かれている


    なんだか殺人事件という身近なことを取り上げているのに現実味のない感じ
    石田衣良の文章は好きだけれどこの話にはリアリティが感じられなかった
    残念


    殺人を犯してしまった弟の気持ち(というか原因)を探ろうとする兄の姿には心を打たれるものがあった
    殺人犯やその家族に対して世間はこんなにも残酷なのかと世の中に憤りを感じた
    インターネットはとても便利だけど使い方によっては槍よりも鋭利な武器となる


    話の長さやテンポはちょうどよくさくさく読めた

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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