うつくしい子ども

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163184500

作品紹介・あらすじ

13歳の弟は猟奇殺人犯!?14歳の「ぼく」の孤独な闘いが始まった。今を生きる子どもたちの光と影をみずみずしく描く問題作。麗らかな春の朝、緑豊かなニュータウンで九歳の女の子の遺体が発見された!現場に残された謎のサインは「夜の王子」。嵐の夜、十三歳の少年の補導で事件は解決するが、関係者にとっての本当の苦しみはそのときから始まった。崩壊する家族、変質する地域社会、沈黙を守る学校。「夜の王子」の真実と犯行の理由を求めて、十四歳の兄が、ひとりきりの困難な調査を開始した。

感想・レビュー・書評

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  • まだ13歳の弟が小学3年生の女子を殺害してしまった。
    その兄の目線と、新聞記者の目線で話は進められていく。
    兄もまだ中学生。家族は非難の目にあう。

    兄は、通いなれた中学に登校し、いじめにあいながらも、
    なぜ、弟はこんな事件を起こしたのか、
    弟の事を理解しようと事件を振り返りだす。
    そこから見えてきたもの・・・
    事件の真実。

    弟はうつくしい子どもだった。
    だけど真に心がうつくしいのは兄の方だったと思う。

  • 殺人を犯した弟
    兄はなぜ弟がそんなことをしたのか調べ始める…
    真実は見つかるのだろうか。
    読みやすくて面白かった。

  • ぼくの弟が妹と同じ年の女の子を殺して少年Aになった。 かわいくて子役モデルをする妹を溺愛する母。「なぜ弟があんなことをやったのか、その理由を探そう」ジャガは弟のまわりを探る。加熱するジャガへのいじめ。少年の強い意志と優しさがぐっとくる切ない話だった。しかし、家族の食卓で自分の娘のことを「ミズハ姫」と呼ぶ母親はどうなのと思った。うつくしくない子どもとして育てられたジャガがここまでグレずにまっすぐ育ったのが不思議なくらいだった。

  • 最初は何か似た事件があったたなあと思い読み進めていくと、だんだん面白くなった。最後は納得いかないが、及第点以上だ。

  • 誰だって二重人格をもってる。
    それが中学生なんていう
    多感な時期にはなおさら、
    もう一人の自分が
    すごく大きな存在なんだと思う。

    そのもう一人の自分が
    孤独で狂気で暴力的だったら?

    どうやって、そういう自分と
    折り合いをつけていくのだろう。

    主人公の友だちの
    長沢くんもはるきも
    それぞれ秘密がある。

    もう一つの自分が、
    狂気的な部分だった
    弟と松浦くん。たまたまね。
    でも、みんな持ってるんだよね、
    人には見せていない自分。


    そんなことを
    考えさせられる一冊。

  • 1999年、15歳の時に買った本。
    自分がまだ'あちら側'にいる時に読んだからか、内容にシンクロして読めた。
    あの時にあちら側にいて、語弊があるかもしれないが、あの事件を距離をとって見られなかったなら、読んで損はない。
    ただしこちら側の目線でなく、あちら側に還って、大人というものは遠くにいて、裏山はすぐにでも行ける気持ちで読んでほしい。
    自分の中の分類では、児童書に近い。
    処分するにあたりこちら側で読み返した感想は、主人公があの境地たりえたのは、「ぼくはそんなふうにいわれたことはない。」からだと感じた。
    この物語の白眉は、この一文。

  • 石田衣良さんの作品の中では迫力にかける内容。

  • 9歳の女の子を殺したのは中学1年生13歳の弟。
    少年法に守られる弟とメディアに晒されるその家族。
    中学2年生の少年は罪を犯した弟の気持ちを理解するために、事件を調べ始める。
    加害者家族と新聞記者の2つの視点による物語。

    事件のモデルは明らかに酒鬼薔薇聖斗による「神戸連続児童殺傷事件」。
    あの事件の少年Aも少年法に守られたはずだったが、今でもネット検索をすれば彼の本名と顔写真がでてくる。

    小説の主人公は中学2年生の三村幹生、通称「ジャガ」。彼の弟が9歳の女の子を残忍かつ変態的に殺害し、逮捕される。激化するマスコミからの批判や見えない暴力を受けながらも、ジャガは分かり合える友人たちと事件の真相にたどりつく。

    少年法とその報道、加害者家族の人権、性に対するコンプレックス、マインドコントロールなど問題提起が多い作品。

    高校生のときに読んで以来、6年ぶりくらいに読み直した。やはりショッキングな内容。ドラマ『それでも、生きてゆく』もこういった加害者家族の苦悩を描いていたなと思い出した。

    殺されたほうの家族は辛い、殺してしまったほうの家族も辛い。
    酒鬼薔薇聖斗の弟の気持ちは誰も知らない。

  • 最初はつまらないが徐々におもしろくなる




  • 弟が殺人を犯してしまって…という話
    主人公は長男で中学2年生のジャガ(幹生)
    次男で中1の和枝、小3の妹瑞葉の3人兄弟
    殺人事件を引き起こしたのは和枝
    事件の後の家族の話が主にジャガの目を通して描かれている


    なんだか殺人事件という身近なことを取り上げているのに現実味のない感じ
    石田衣良の文章は好きだけれどこの話にはリアリティが感じられなかった
    残念


    殺人を犯してしまった弟の気持ち(というか原因)を探ろうとする兄の姿には心を打たれるものがあった
    殺人犯やその家族に対して世間はこんなにも残酷なのかと世の中に憤りを感じた
    インターネットはとても便利だけど使い方によっては槍よりも鋭利な武器となる


    話の長さやテンポはちょうどよくさくさく読めた

  • すんごいおもしろかった。

    最初の帯で、犯人は分かっちゃうの。
    でも引き込まれる!!!

    「夜の王子」と称して殺人を犯した弟の動機と、気持ちを知ろうと協力してくれる友達と共に調査する兄。
    そうする中で本当の「夜の王子」の影が浮かび上がり――っていうね。

    「誰かがわかってやらなきゃいけない。僕はおにいちゃんだから」っていうくだりに衝撃を受けた。

  • 妻に勧められて始めて読んだ石田作品。
    正直、内容は覚えていないが、読んだ感触は鮮明に蘇ってくる。

  • 最後は一気に読めた感じ
    続きが気になるからさくさく読めた

  • 2002年10月16日読了。

  • 図書館で借りました。

    現代・推理・犯罪
     物語は事件の終わりから始まる。
     幼女殺人事件の犯人となった少年Aの兄ジャガ、中学二年生。
     彼や家族は報道被害や、周囲からの嫌がらせの嵐に巻き込まれる。
     ジャガはそんな中で、弟がなぜそんなことをしてしまったのか、それを探り出そうとする。
     「真犯人は別にいる、こんなのは間違いだ、嘘だ」
     ジャガは一度も、そんな風には思わない。
     殺人犯になった弟を理解したい。帰ってきたとき、わかってやりたい。
     彼は弟を絶対に見捨てない。
     そして、弟をそそのかした「夜の王子」という存在がわかる。
     執拗になる嫌がらせ。
     壊れていく夜の王子を、ジャガは助けたいと思う。
     そして結末は……。

     夜の王子を名乗っていた少年の父親は、彼がジャガを殺そうとしたのを見て、射殺してしまう。そして、ジャガにこの子の名誉と残される母親のために、このことを黙っていて欲しいと懇願する。ジャガは「わかりました」と約束する。
     ジャガがその場を去ると、背後から再び銃声。父親は自殺したのだった。
     そして事件は本当の意味で終わる。

     暗いのに、ジャガの徹底した優しさに救われてます。
     ジャガの友達の優しさにも救われてます。

     石田衣良の主人公はいつも優しい。
     無関係な他人のために頑張るから。
     無夜の主人公はいつも、自分勝手(笑)

     でもこのタイトルは「夜の王子」の方がよかったかもね。  

  • 弟が殺人犯となってしまった兄の話。
    犯罪者の家族であるということで、住む場所を変え、家族が離れ離れになり、不特定多数から非難される生活を強いられてしまう。
    加害者側の“遺族”の問題を描いた作品だった。
    石田衣良の描く子どもは、淡白でありながら強いと感じた。

  • 最初のほうは読めたけど
    最後のほう失速・・・
    そんな中学校ないだろ!とか
    なんか突っ込みどころが多かったような・・・
    最後も納得できず。

  • 数年前に読んだのを再読。
    最近、ショッピングモールだとかニュータウン、郊外などの社会学系の話に触れることが多く、ふとこの小説のことを思い出して読んだ。

    やっぱり面白い。色んなレイヤーで読める。前述の社会学的視点ももちろんであるが、それは小説内でやや否定的に書かれている。個人的にはマスコミ、報道の在り方という視点で読んでいたことが多い。「イライラ感」がかなり大きかった。

    ふと現実世界の自分を省みたときに、犯罪被害者はもちろん加害者の家族という存在の想像力が著しく欠如していると感じた。

    冒頭で主人公、犯罪加害者の親がかなりムカつくような描かれ方をしているので、当初は現実世界の自分通りに動きつつある視点を、主人公の内面を素朴に浮き上がらせることで引き戻させる。主人公家族に大きく肩入れしてる自分に気付く。
    もちろんこれは自分が「神」の視点にいるから為せる感情の振れである。ただ、その疑似体験を現実世界の中でどう運用していくかは充分に検討に価するだろう。

    とかいうことを思いながら読みました。面白い。飽きっぽいし小説も苦手、大体の話の流れもわかってるという三重苦のはずなのに一気に読めた。
    主人公が小説内で行っている研究法、分類・命名の件なんかは普通にためになった。

    また気が向いたら読みたい。文句なしで☆5

  • まさに石田衣良!!って感じの内容でした。

    池袋ウエストゲートパークの中学生版のようなイメージ。

    読んでいて中学生時代のことを考えてしまいました。

    社会への問題提起の仕方も石田衣良流です。

  • 初期のころの作品なのかな?
    今ほど、こなれたかんじがしないところが好きです。

  • 重たい内容だけど、さらりと書いてあって非常に読みやすい。語り手が少年なので、込み入った言葉が出てこないせいか・・・タイトル秀逸。

  • 請求記号:F/イシタ
    資料番号:010368686
    「少年が主人公の物語」①
    なぜ13歳の弟は少女を殺害したのか、14歳の兄は、弟の動機を調べ始めます。加害者の家族となってしまった少年が、世間の冷たい視線に耐えながらも成長していく姿を、痛々しくも美しく描いた作品で、読んだあと考えさせられる一冊です。

  • 犯罪を犯した心理は何だったのか
    を突き止めようとするストーリー
    主人公の弟が、妹の同級生を殺害
    そこにはどんな思いがあったのか

    内容は重そうだけど、語り口はわりと軽くて読みやすい

  • 2010.2.24

  • 少年犯罪の検証。ありがちなテーマだけど、視点や切り口が良かったです。

  • 弟が、人を殺した少年の話。

  • 石田衣良は初期の作品がいいよ!と職場で聞いて、
    薦めて貰ったので、読んでみました。

    そしたらまーよかったよ。
    「うつくしい子ども」というタイトルが見事。

    もうどの子も可哀想(という表現は間違いなのか)で、
    でもどうにかもがいて足掻いている。

    主人公の気持ちが優しくて救われる。
    弟の気持ちを知ろうとすることが、
    いずれ弟にも伝わって弟も救われて欲しいと願ってしまう。

    大人になることは、正しさの基準を自分の内に据えること、
    という内容の文章があったんですけど。
    その言葉がとても印象的でした。潔いよね。
    だからああいうラストになるんだろう。
    それは彼が自分で判断した、
    ということに意味があるんやろうな。

    主人公の周りの登場人物が魅力的です。
    この人たちが周りにいるなら、大丈夫、と思わせてくれる。
    この人たちを支えたい、という気持ちで自分も強くなれる。

  • 石田衣良のデビュー作にして衝撃作。
    私が石田さんを知ったのは、『池袋ウエストゲートパーク』からなんだけども。
    石田さんの小説は、全て読んだわけではないけど、端々に”石田衣良”が居るのね。
    その元がコレだなと。
    ストーリーはシリアスだけど、読み終わって一言。
    天才。
    そして、どうしようもなくグルグルした感情。

  • 石田さんの作品は主人公に仲間が絶対居るので(そこまで読んでませんが)安心して読めます
    これは好きだなあ……

  • そんなに長編でもナイのに、読み終えるのに時間がかかった。
    加害者家族という設定の本は、他にも何冊か読んだことがあって
    結構引き込まれる作品が多かったが、これは何が私に合わないのだろう?

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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