最後の息子

  • 文藝春秋 (1999年7月6日発売)
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本 ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784163185705

感想・レビュー・書評

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  • 男の子って!!
    知らんかったわ〜〜
    こんなお話も出来る・・・
    それも知らんかった

  • 吉田修一さんの描く人物は、みんな何らかの傷を抱えている人たちでそこをメインに取り上げるのではないけど、日常生活の中で、その人物の背景として必然的に影響を及ぼしている。現実に生きてる自分たちも、みんなそうなんだよね…。普通の日常が、いくつものドラマ。どうしようもなく、やるせなくなりながら、最後の「Water」で、予想外に押し寄せてきた感動!

  • 久しぶりに手にした著者のデビュー作。当然だけれど、物語を紡ぐ巧さはすでに表れており、当時としてはまだunderな感じの関係もサラッと描かれている。直近は作風に変化が見られるけれど、この頃のちょっとした心の動きの表現が上手いと改めて感心した。

  • 吉田修一さんのデビュー作。初期はこんな作風だったのかぁ。

  • 文学界新人賞受賞の表題作のほか二作収録の短編集。
    正直に言うと吉田氏の初期作品は苦手意識がある。芥川賞作家そのものにも苦手意識がある。
    本作は少々読みにくかったものの、圧倒されるような感じを受けました。表題作はもちろん他二作もすごい存在感。
    その後を書いた『春、バーニーズで』が気になり早速借りてきました。

  • 多様な性が認められつつある昨今、今まで「おかま」と一括りにされていた人たちは、どう変わっていくのだろう。
    自分自身の枠を上手く確立できるのだろうか。別の一括りに入るのか、自分独自の何かを見つけるのか、今まで通りでいくのか。
    括りが緩くなって解放される人もいれば、括りを見失ってまた迷う人もいるのかもしれない。

    「破片」はそこで終わりでいいのか…。なんだかこの先がとっても怖い。

  • 3つの作品が収録されているけど、「破片」が好きだった。この作品で描かれる兄弟の物語はぼくと状況は違えど、なにか感覚として掴めるものがあったのかも。「最後の息子」はインパクトに欠ける気がしたのと、「water」は少し表現や展開が野暮ったく見えた。

  • よくわからなかった(笑) 吉田さんならでは、って感じなのかな。その時代に起きた事件をうまく取り入れて、物語が作られている感じ、と言ったらよいか。

  • 子は宝

  • どれも同じくらい良かった。吉田修一作品は本当によく男好家の登場人物が出るなぁ。

  • 「Water」に★4つ。
    表題作と「破片」は、読者に想像させるという「余白」の部分があまりにも大き過ぎる気がして、物語としてちょっと物足りなかった……
    とはいえ、何気ない描写とか「おお!」と息を呑むような文章ではあります。さすが。

    「Water」は、説明し過ぎず、感傷的になり過ぎず、けれどぐっと惹き付けられる。
    一人称の語りのため、ほかの登場人物を細やかに描写しながらも、その心理を想像するしかないところがとてもいい。

  • この間『横道世之介』読んで、吉田修一に興味が出てきたので。
    表題作と「破片」は正直ピンとこなかったんだけど、最後の「Water」にぐっときた。
    それぞれに重い事情を抱えながら水泳に全力を注ぐ若者の、熱いようでいてどこかフラットな感じがよかったです。
    これを読んで振り返って「最後の息子」と「破片」を思えばそれが魅力だったのかもなとやっと腑に落ちた気がしました。

  • どれも、それぞれに良かった。破片が芥川賞の候補になったのもうなずける。

  • 3編ともよかった。
    人の死を通して変わってしまったことと変らずにいられることのお話。

    『何かを始めるときの自分が、一番臆病で、一番勇敢だ』
    「water」の一文がとてもとても気に入った。

  • Waterが青春って感じで好き

  • 「春、バーニーズで」の元ネタの話し。
    オカマバーで働く「閻魔ちゃん」の家に住み着く愛人である「僕」

    ホモ狩りで友人を失いながらも、
    結局はホモの閻魔ちゃんのことも愛してはいなかった。

    「愛されるのは簡単なことだ。それよりも愛され続けるのが至難の業だ。」
    が印象的。

    他2作同様、若い頃の迷いながらも淡々と過ぎていく日々の、
    むず痒い感覚があわあわと書かれている、ような。

    あの頃は若かった、とか言っちゃいたくなる感じ)^o^(

  • 「最後の息子」「破片」「Water」の三本立て。それぞれ友人、母、兄の死が軸になっている。“死”を軸に変わったこと、変わらないこと。失ったもの。気づいてしまったことを描く。
    「最後の息子」では友人の「大統領」の死をはさんで、家庭用ビデオで撮影した映像を見ながら、何が「ぼく」と恋人「閻魔ちゃん」の関係を変えたのかを見ていく。閻魔ちゃんの悲しみや、どうにもならないことへの失望、「ぼく」の幸せを願う思い・・・。ビデオを通して見る風景はきっと当時見えていたものとは違う。そこで気づいてしまう思いがある。最後に「ぼく」は、日記の中の「大統領」の本名を「大統領」に変え、恋人の名前を「閻魔ちゃん」から本名に変える。決意の表れのようでもあり、終わりの合図のようでもある。
    「破片」は母をなくした兄弟と父。弟は女性への愛情が強すぎる問題を抱えている。その弟は家を作っている。愛する人と暮らすための家。奇抜な手作りの家。母をなくしたことが関係あるのかないのかはわからない。でも東京にでた兄と違い、田舎に残った弟が「男のつとめ」である女を食わせ住まわせる家にこだわりを持ち続けるのは母の死と無縁ではないだろう。ラスト。子どものころの幸せな思い出の象徴と家を合体させようとするところに、弟の求めているものがある気がする。
    「Water」は水泳部の高校生が主人公。兄の死、友人や家庭の問題を軸に最後の大会を描く。輝かしい「人生最高のとき」にある僕とこれからの人生の間をつなぐ瞬間。困難に立ち向かう、強い決意で終わっている。

  • 3話のうち、1番目と3番目はホモも混じった話。3話目は水泳部を中心とした青春ものでもあり爽やかな印象。2番目は母を事故で失った後の父と息子二人のお話。ちょっと悲しい。どれも長崎が背景にあり雰囲気は好みです。

  • これは「最後の息子」というタイトルの出来が良すぎだと思ふ。

    おかまの閻魔ちゃんのひもをする男。母親の上京であたふたしつつも、どこかで「息子」としての矜持(というのもなんだけど)を試みるも所詮ヒモ。

    「破片」はどうしようもない息子二人もさることながら、夏を「90日間で一纏めにされると不甲斐ない」とボヤく父親もやっぱりかつて息子だった。

    「Water」は一番後味が悪いような、爽やかなような。食べるのが仕事と語る友達の母親の「おばさんは作るのが仕事。毎日毎日、何年も何十年も」という言葉がね。なんか、重いなぁと。

  • 『ぼく』という人物は非常に人間くさい主人公だった。
    閻魔ちゃんのヒモとしての役目、注ぐ愛、注がれる愛。
    すべてが微妙なバランスで成り立っていた。
    女とのセックスシーンもあれば、ゲイゲイしい場面もあったり。
    本当に面白かった。すらすら読めた。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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