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本 ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784163187600
感想・レビュー・書評
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藤原伊織氏は電通社員にして作家デビューしすばる文学賞受賞。ギャンブルでかさんだ借金を返すために書いた小説で江戸川乱歩賞を獲得、直木賞も受賞。Wikiの経歴を見るだけで常人には理解できそうにない人生を送っていたかもしれないが、残念ながら59才で病没。作品ジャンルはハードボイルドとされているが、淡々とした語り口の小説は当人の生きる姿を映しているのだろうか。
数多くはない20年以上前の小説を昔の本棚から見つけて読み返した。CM制作と企業の関わり、その裏の闇社会の繋がりを描いた本作品はアンダーグラウンドの世界でありながらバブル期が過ぎた時節も相まって、当時若いサラリーマンだった自分には懐かしく思える。ハードボイルドの主人公は不健康で酒の飲み過ぎだが自分のことは気にもかけず他人には優しい。こんな男はいいよなあ、絶対こうはなりたくないけど、という思いがページをめくるたびに強くなる。
借金返済に貢献した代表作もどこかにあるはず、探してみよう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
書棚より抜き出し、20年ぶりに再読。
『テロリストのパラソル』で史上初!乱歩賞と直木賞をW受賞した著者の3作目。
元暴力団の息子で現在は大手食品メーカーの宣伝課長という、ちょっとありえないような設定の男が主人公。
冒頭、雨の夜酔いつぶれて、風邪を引いた情けない登場の仕方をする。
発熱に耐えながら、会社の恩義ある会長が自殺した謎を明かすべく奔走する。
20年前の作品なのに、少しも古さを感じさせないで読むことができる。主人公や、彼の周りの人物設定がしっかりとされているからだろう。
続編があるようなので、読んでみよう。 -
本編中堀江がずっと高熱出してるので、全部がインフルエンザの熱で見せられた夢みたいな話だったな。
藤原伊織の小説、出てくる女がみんないい女なのですごい。大原もナミちゃんも佐伯貴恵も、加賀美順子も。
マイクの「ぼくはこの国の連中とは肌のいろがちがう。でも、あんたもそうだね。外側のことをいってんじゃないよ。内側の肌のいろが、あんたは周りとちがってる」はお気に入りハードボイルド台詞。
しかし坂崎との任侠パートだけまるで別の作品みたいな空気感だったな。若かりし堀江との剣道一騎打ちのシーン、BGMが違うというかなんというか…坂崎が絵に描いたような昔気質のヤクザキャラということもあるけど。
そんでもって堀江の思惑を、忠義ですべてを持っていくところもすげーよ…あんたが言うなら仕方ない…そして最後の最後に株を上げる石崎会長の漢よ…(もちろん経営能力のなさと、背任罪は罪だけど)
ところで感性が中学生なので、大原が堀江にキスしたとき「ええー不倫だー!」と声を出してしまったし、勝沼と与田にもヒャー!と声を上げてしまった。
そして貴恵と順子の本当の関係を知ったとき、順子がまだ十三だったという情報でなんというか泣きそうになってしまったわ… -
「テロリストのパラレル」以降、藤原伊織は読んだことなかったが、図書館でなんとなく目についたので読んでみた。ラストは一気に読ませてくれた。自分もオッサンになってきたせいか、渋いオッサンが活躍する作品は感情移入できる。続編もあるので期待。
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ピンチを超人間的な行動で切り抜ける。並みの人間じゃ到底無理だもん。ピンポイントでそこだけ白けてしまう... のだけど、静かに展開されるもの凄いドラマはやっぱり魅力的。
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またまたかっこ良すぎ。主人公も脇役の人たちも、男も女も、会社の人たちもあちらの家業の方々も、登場人物だけじゃなく文章まで、全部かっこいい。こんなに肩肘張って大丈夫なの?クライマックスの2回目のドライブのシーンなんてため息しか出ません。これでは続編も読むしかありません。でも、一息つきたい感じもするので次はあの名作にしようと思います。
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人の良い会長の自殺を発端に会長が隠してきたプライベート、企業の裏側などを主人公が暴いていく。
こういうハードボイルドを読みはじめてまだ短いのだけどなぜこうも主人公はヤクザと深い関係があり、喧嘩がめっぽう強いのだろう。とふと思ってしまいました。それがハードボイルドの醍醐味なのかなぁ。これからもっと読んで確かめていきたい。
銃撃戦とかそういうのはなく、調査を重ねていき事実を突き止めるのだけど、調査に訪れる場所がこんなに少なくても、そんな重大な事実にいきつけるのかと。主人公がキーパーソンとつながりがあったり、会社ではお偉いさんと仲良しだったりってのもあるのだろうけれども、いいのかなこれで。 -
やさぐれた感じのサラリーマン堀江。退職勧奨に応じて仕事を辞めることにするとこラオから始まる。しかしやさぐれサラリーマンが、実は仕事ができていけんかも強い。男気もある。上司にも信頼されている。実はできるんだよとわかり、事件を解決していくから、うれしくなりついつい読んでしまう小説にだった。実際にはこんなおじさんは、いないなあ。
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この著者の硬い言葉が大好きで、久々に読んだこの作品も問答無用で楽しんだ。
久し振りの硬さなので少し衝撃を受けている。
発熱制限最高。 -
面白かった。主人公が一見やさぐれおっさんリーマンなんだけど、実は、、、で、これまた妙に格好良い。でも格好良すぎないところも◎。脇役陣も個性的で魅力的。経済系絡みの事件なので、その辺に疎い人間としては小難しい部分もあったが十分楽しめた。ハードボイルド好きかつキャラ萌え好きな方にはとっておきのオススメ作品だと思う。続編があるみたいなので、そちらも楽しみ。
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