周公旦

  • 文藝春秋 (1999年11月5日発売)
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本 ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784163187808

感想・レビュー・書評

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  • 酒見賢一氏逝去を随分遅れて気づいた。中国に題材を取った小説を愛読してきたのにもう読めないのかと思うと寂しい。というので読み返してみようとしたら、手近の本棚にはなく屋根裏の段ボールの中のようだ。力作「陋巷に在り」を読みたいが、取り敢えず「周公旦」を図書館から借り出す。
    2023年12月21日読了、ほとんど記憶がなく、新鮮に読めた。
    酒見賢一氏にしては真面目に書いた中国歴史小説であったことが記憶に薄い要因なのかも。周の幼王に疎まれて楚に逃げるという設定が目玉だが、そこを引っ張り切れていないのが残念。

  • 中国史上屈指の聖人とされる周公旦。彼を尊崇する父から何度も話を聞いていたが、自身で彼の人となりについての本を手にするのは初めて。

    殷周革命を成した武王に仕え、その子の成王に疎まれながらも輔翼した彼の礼(禮)

    礼とは…ということについて今まで孔子の説く言葉でしか理解してこなかったが、虚実入り混じりながらも本来礼とはそういうものなのだったのでは…と感得することができた。

    もう少しこの辺りの歴史をきちんと読んでみたい。

  • まさかのシャーマンバトル

  • 古代中国歴史小説だが、判り易く書かれている。まぁ、周の時代となれば資料も少なく逸話も信憑性に欠けると思うが、淡々と描き、解説、異論を加えて必要以上の思い入れを避けている。主題である礼には疑問もあるが、当時の因習や地域事情などその後の歴史の土台として興味深い。ただ、個人的に模範生の周公より太公望に魅かれる。彼の生涯を扱った本があったら読んでみたい。

  • 紀元前1000年ごろ。殷から周に変わる時代,武王を補佐し次いで成王に仕え,途中,楚に亡命しつつも周に戻り,礼により中国統一を目指した周公旦の話(解説本に近い)である。太公望なども話に出てくるが,本書では非常にクールで,80歳と年老いても覇気のある人物として描かれている。これは,宮城谷氏の太公望とはまた違った人物像である。それはさておき,著者は墨攻なども書いているが,今回,本書を書く元となったのは,なぜ周公旦は敵国である楚に亡命したのかということを疑問に思ったことからだ,と冒頭に述べている。著者は,それは亡命というものではなく,あくまでも建国間もない周の礎を確固たるものにすべく,蛮夷で言葉も通じず,しかし武力もある楚を手なずけたいとの思いから,単身楚に乗り込んだのだという。周公は,ほとんど言葉も通じない楚に対し,これを臣下に置くためには,礼節を持ってすべきだと考えた。中国は面積も広く,様々な人種が住んでおり,風習も違っているが,礼を同じくすれば,言葉はわからずとも,意思疎通ができ,戦争が回避できたり,また,むやみな殺戮を行わなくてもよいと考えたのである。ここでいう礼とは仁義礼智信忠悌孝の仁を除いた広い意味での礼をいう。ちなみに,仁は後に周公旦を夢に見るほど私淑していたとされる孔子が表現したものである。
    (形的には)亡命した周公は,楚の王を礼により,ほとんど心服するまでに手なづけ,周に従わせることになったが,後年,楚が周公旦の領地であった魯を滅ぼすことになったのは,歴史の非情さとでも言おうか。
    先にも述べたが,本書は,周公旦を主人公としつつも,解説を主に置いており,宮城谷氏の小説のように各登場人物による問答で展開しているものではないのでご注意を。まー,私個人としては,著書の時代では宮城谷氏の太公望や侠骨記の方が好きではある。

  • むっちゃくっちゃ面白い。

    中国史浅学な私はプロローグで読むのが難しい人名が激出し、やや面喰ってしまい、最初は読むのを躊躇ってしまった。

    しかし何としても周公旦の話を読みたい私は、スピードランニングで殷周春秋戦国時代の本を読んで予習してから再チャレンジしようと思ったが、歴史本の取っつき難さに挫折。

    しかしこれでなんとなく有名人の名前を覚えてざっと高校生の世界史授業を復習した(気になった)ので、いざ再チャレンジ。むしろ難解な歴史本を読むより断然精神に入ってくる。

    取り憑かれたように読まされること必死の作品。

  • 読了:2010/02/01 図書館

  • 殷周革命時代の周公旦という人のお話。



    というものを唱えしっかりと整備した人。

    まだ占いとか呪儀とか卦が普通におこなわれていた時代。

    礼をもって呪いとし、礼をもって卦とし、礼をもって整備した。

    その虚実入り混じる様とこの人の生き様が面白い。

  • 2009.6.27読了

  • 古代中国で周の建国に大きな功績を残した賢臣・周公旦の半生を主題とした小説.歴史資料(歴史的事実?)に材を取りながら,臨場感溢れる時代描写&心理描写を補い小説として仕上げている.そのためか,基本的に淡々とした叙述であるが感情移入しやすく,一気に読めた.歴史資料の行間を想像で補って,見事なファンタジーとして語り上げる著者の手腕に感服.新田次郎文学賞受賞作だそう.

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