ミューズ

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (147ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163190402

作品紹介・あらすじ

記憶なんか要らない、この体があれば。新興宗教に狂う母に見捨てられた17歳の美緒は、矯正歯科医に恋をしかける。清新なエロス。

感想・レビュー・書評

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  • アッ、ミューズってそっちの…
    でも商品名?って小説のタイトルに使ってええんか?会社的にはokなんか??

  •  作品解説(カバーより):親に内緒でモデルの仕事をする高校生美緒は高級住宅地・成城の歯科医に恋を仕掛け、密会を重ねる。だが彼女には宗教にはまる母の施す“儀式”に失敗した過去があった―横溢するエロス、粘着する匂いと触感。裂かれた記憶と心の傷を独特の文体で描き野間新人賞を受賞した傑作。(文庫化にあたり大幅に加筆訂正)
     第22回 野間文芸新人賞受賞作品

     読み終えても大意がわからなかった。
     内容を一言で表すなら不倫の話…というのは言いすぎか。無意識のうちに自分自身を打算的だと思っているが、単に自分勝手な女子校生の物語…か?
     当然、意図しているであろう、美緒の思考を表現する際に使用されるダラダラな文章が肌に合わない。加えて、その後の安ワイン云々に繋げたいのだろうが、スーパーの商品一覧も不要な気がするし、インストール・アンインストールの使い方にも疑問を覚えた。
     元来、文学文学した作品が苦手なので、文学賞系統の作品にほぼ必ずといっていいほど出てくる男女の交わりや、必要以上に多用される横文字にうんざり。しかし、背景描写による巧みな心中表現は素晴らしく、女性読者なら主人公の気持ちがわかるのかもしれません。

  • 図書館

    薬用ミューズの香りのする男の手

  • 女子高生が歯科医師と不倫して、別れる話。
    きっと主人公はその歯医者が良かったんじゃないんだろう
    手段だったはずなんだ。
    でも医者も人間だからただの道具みたいにはいかない。

    死ぬまで一緒に居れる人以外はみんな通り過ぎていく人と言えるとおもう。
    でも、きっと何かを残していくんだな。

    それが今の自分の足しになっていようが、いまいが。
    と思った。
    そのときは、確実に必要だったのだ。

  • 赤坂さんは、歯、が多いのね。

  • 赤坂真理氏の文章、というか書き方が好きなので著作は割と読んでいる。その中でもこれが一番好きかなぁ、と思いつつ最後のオチのせいかもしれないとも考える下克上大好きな自分。
    だらだら続くけれど決して不愉快でない文が読みたい時に。でもややエロ。

  • 女子高生と歯科医の不倫が、その関係の開始から終結まで描かれる、と書いてしまうとよくあるハナシ、と思われてしまいそうだが、この小説はちょっとその手のものとは肌触りが違う(あ、『ヴァイヴレータ』も不倫の話といえばそうなるか)。

    だが、どこが違うのかを説明するのはチと難しい。主人公の女子高生が一方的に医者に迫り、一方的に身を引くところがそうかといえばそうかもしれない。むしろ女子高生の自我と呼べるものがさっぱり見あたらないところがポイントと言えるだろうか。主人公美緒はモデルや映画の脇役の仕事を少しずつ始めており、女優という将来の目標もあるにはあるし、自分から歯科医との関係を求め、その男を「愛している」程度のことは感じもする。だけど、空虚なんだな。彼女にとって人生の目標や愛する男は絶対的な価値を持っているわけでなく、ただ自分の手元にあるという程度のものでしかない。

    『ヴァイヴレータ』の時もそうだったけど、赤坂さんはただ生きている、(性じゃなくて)生が満たされていない、自分がない女の子を書きたいのだろうな。ユーミンや中島みゆきの女の子たちにはもっと芯があったじゃないですか。だけど赤坂さんの小説の女の子には「私って誰なの? 本当の私って?」と問う気力もなさそうだ。小説のラスト近くで、美緒は男に自分を縄で縛ってくれと言うのだけれど、これは一つの場所に自分が収束していかない自分をつなぎ止めようとする美緒の精一杯のあがきということになるのでしょう。

    この物語を僕は好きかと言えば、ダメだね。主人公に全く共感できなかった。「そんなことしたってイミないじゃん」と思う前に、(例えば)盗んだバイクで走り出せよ! とかベットの下にピアス放り込めよ!と思ってしまいました。ウソからでたマコトってあるでしょ。そこに絶対的価値なんてないのはわかっていても、やってみたら何か見つかるってことはあるはず。小説の主人公に説教してどうする、俺。

    あ、あと「ミューズ」というのは石けんの方。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。作家。95年に「起爆者」でデビュー。著書に『ヴァイブレータ』(講談社文庫)、『ヴォイセズ/ヴァニーユ/太陽の涙』『ミューズ/コーリング』(共に河出文庫)、『モテたい理由』『愛と暴力の戦後とその後』(講談社現代新書)など。2012年に刊行した『東京プリズン』(河出書房新社)で毎日出版文化賞・司馬遼太郎賞・紫式部文学賞を受賞。

「2015年 『日本の反知性主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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