- 本 ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163191201
感想・レビュー・書評
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幕末の混乱を、通貨問題の切り口から見た本。
弱腰外交による失敗が攘夷に繋がった印象を持っていたが、通貨問題についてはかなりしっかりと主張していた事が書かれている。ただ、政変の時期の混乱で最終的には米英の主張通りになってしまい、それが士族の困窮を招き、その不満が攘夷への大きな要因の一つであった事を述べている。
なるほどと思える一方、とても読みにくく、同じ話を延々しているだけの構成で、読むのが結構辛かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大国の脅威にさらされ滅んだ幕府。
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幕末開国で揺れる幕府政府とイギリス、アメリカなどの外交団たちとの為替レートをめぐるやりとりを描く。この時代はとかく政治が注目されるが、経済に焦点を当てて幕府が瓦解する要因ともなった各国との「通貨戦争」を詳しく解説している。
著者は、もしハリスやオールコックらが幕府の主張に耳を傾けて正しい形で貿易を始めていたら、幕府の財力が衰えることなく、幕藩体制をもっと盤石なものにしたかもしれない、という。 -
江戸後期に興味がある方は頑張って読むと満足感があります。
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開国当初,多量の金が国外に流出したということは知っていましたが,こういうからくりだったとは。
根底にはハリスやオールコックの日本への不信感があり,その背景には,清の状況や,それまで日本の幕閣がその場限りの嘘をついてきたことがあり…
本当は,単純で明快な理屈が理解されず,それが遠因となって,幕府の衰退と明治維新を引き起こしたとすると…
歴史って面白いですね。 -
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徳川家康の時代は質素&倹約でお金をためたものですが
江戸時代を通じた浪費のなか・・・お金がない!
老中松平定信の倹約の時代が過ぎて、家斉公は言いました
「贅沢がしたい」「ははっ、では貨幣の銀含有量を減らします」
結果、銀貨は地金とは異なりだんだんと銀含有量が減少して
ついに、三分の一程度になりました
本来、悪貨は良貨を駆逐する…贋金作りも横行するのが世界史
なのですが、結果として本来の価値の三倍で流通する「紙幣」
のような「幕府お墨付き」の条件で通用するものであったが
ハリスはそのことを理解していたのにも関わらず、一分銀の
両替を行うことで、3倍の利益を得ていました
日本の物品も三分の一ですみます
さらに、外圧でこのアンバランスを改善するために、金の
価値を三倍にあげるように強制・・・結果、3.375倍まで
物価が上がった
ハリスショック3.375倍
オイルショック2倍
武士のように決まった報酬のものは、上がる物価の原因である
諸外国への開国に怨嗟の声・・・幕府倒壊に拍車がかかるのでした
面白い(けど、難しい) -
幕末、江戸幕府はアメリカやイギリスの圧力に屈し、銀の等価交換に応じた為に日本国中の金が海外に流出した。
従来、アメリカのハリスやイギリスのオルコックは日本の特殊な事情(銀貨に公的な刻印を押す事により通常よりも高い価値を与えている事)を知らなかったとされていたが、実は二人とも知っていながら私腹を肥やす為に気付かない振りをし、更に自らの有利になる様に立ち回った事がこの小説ではっきりと判る。
著者プロフィール
佐藤雅美の作品





