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本 ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784163191805
感想・レビュー・書評
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美しい文体、芸術、美へのこだわりが感じられる。
数章ごとに視点が翔と片桐で切り替わる。
中盤以降、翔が執筆する物語が挟まり、流れに水を差す感じ。ミステリ作品ではなく耽美小説といった雰囲気。片桐の人物描写や背景が非の打ち所がないため、内面が美の対極にあっても気持ち悪さに生々しさとかはない。あくまでイケてる変態。最後も意外性とかは特になし。浮世離れした世界に没入したい方にオススメです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミステリ的な雰囲気はあるものの、期待とは違って耽美的な雰囲気を前面に押し出した作品だった。
歪んだ愛が描きたかったのだろうか。双子とその母親の関係の痛さが描かれている。あまり良い関係とは言い難いのに美しく見えてしまう。あまり好みでない作品だが、最後まで途切れずに読ませる力は確かだ。 -
表紙の印象が強くてこの本の世界は真っ白なイメージ
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ミステリ的な驚きはなかったが、耽美で美しく、妖しい作品。天使のような双子の美少年と、彼を愛する芸術家の男。その関係が刹那的なようでいて、どんどん濃密になるのがたまらなく、目が離せなかった。
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この雰囲気が大好きです。
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「死んだら、俺はもう此処にはいない」と大切な人に言われたのを思い出した。
ふわふわと掴めないまま、死んでしまったなら”消えること”なのかもしれない。
最初から此処にいないのだとすれば、一緒にいた時間も何もかも幻だったのかもしれない。
僕は死によって、大切な人が自分のものになるような気がしている。
けれど、シメールの冒頭では、”死体という物が、こうも気を滅入らせるものとは思わなかった。”と書いてある。
死とは居なくなること、消えることというのも翔の台詞にあった。(この光と闇でも書かれていた)
僕にとっては、歓喜するような最後。なのに、この本からは虚しさばかりが強烈に残る。
愛しいシメールだから、そのように愛したのに。従順だったのに。
初めから此方を見てくれていたら、魔王などにはならなかったのだろうか。
幻であるからこそ、惹かれたのではないのだろうか。
分かっていたのに、どうして虚しくなるんだろう。
これだけ愛し、惜しまずに想い続け、愛しいシメールに仕立てたのに。
長い余韻に浸れそう。 -
その名の通り、幻想の物語。
「この闇と光」にあったような、世界をまるまる覆すトリックも健在ですが、こちらはすこしパワーが弱いかも。それでも、聖と翔の対比は見事。
話中にとあるフランス文学と谷崎潤一郎の類似点を挙げる箇所がありましたが、この作家、好きそうだよね谷崎潤一郎。繊細な幻想の淵にとぷりとはまって、眩暈がするようでした。
ただ、ただ、終わり方がとても気に入らない。翔の考えのベースがドラクエVだと気づいたせいではないはず。ここまでの全ての伏線の結末としては、正直お粗末な雰囲気でした。残念。☆2.5。 -
耽美に陥らないギリギリのところで面白い。
私の好みの問題だけど、最後の最後でバランスを崩した感があり勿体無い。
この作品の病に対する視点は、作家のその後を思うと、非常に考えさせられてしまう。
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気に入りました。入り組んだ感情がもっと深そうに感じ、まだまだ解釈できなかったことがありそうで、何度も読んじゃいました。一度目は理解できなかった。二度目はハッとして以外に好きなことに気づき、三度目はじっくり読んだ次第です。人格が分裂?と思わせたり、悪人か善人か?考えさせられたり、ほんとうに飽きさせないストーリーでした。
著者プロフィール
服部まゆみの作品





