損料屋喜八郎始末控え

  • 文藝春秋 (2000年6月9日発売)
3.61
  • (5)
  • (10)
  • (18)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 78
感想 : 11
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784163192703

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2009/8/18 サライに紹介されていたので読んでみよう!
    「山本 一力」の本は前にも読んで、すごくおもしろかった。

    この本も、すごく面白い!
    善人、悪人、両面を持つ複雑な人間を暖かくまた鋭く描いています。
    江戸時代の札差の経済社会における役割、それを取り巻く仕組みも面白い。
    深川の祭りのシーンも、鮮やか!

    庶民相手に鍋釜や小金を貸す「損料屋」!?って仕事もはじめて知りました。
    江戸の庶民は最小限のものしか持たず、宵越しの金も持たない(持てない)暮らし。
    とは聞いていたが、まさか!! 鍋釜まで借りる暮らしだったとは 驚きです。
    ムダを削ってリサイクル、エコな社会だったようで。
    その割には、祭りにぱっと使ったりする、いいのか悪いのか・・・。

    内容 : 
    上司の不始末の責めを負って同心を辞め、庶民相手に鍋釜や小銭を貸す「損料屋」に身をやつした喜八郎。
    元上役やいなせな仲間たちと力を合わせ、巨利を貪る札差と打打発止と渡り合う。
    『オール読物』掲載作に書き下ろしを加える。

    著者 : 
    1948年高知県生まれ。世田谷工業高等学校電子科卒業。
    会社員を経て、97年「蒼竜」で第77回オール読物新人賞受賞。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    金の力を笠に着た札差に、知恵と度胸で立ち向かえ!上司の不始末の責めを負って同心の職を辞し、庶民相手に鍋釜や小銭を貸す損料屋に身をやつした喜八郎。元上役の秋山や深川のいなせな仲間たちと力を合わせ、巨利を貪る札差たちと打打発止と渡り合う。オール読物新人賞受賞の新鋭が贈る痛快時代小説。


    平成30年5月9日~12日

  • ヒーローものの 設定か

  • ☆3つ

    この本ちょっと難しい内容だと思います。
    山本一力の最初の上梓本だと思うのですが、読み易さよりも「粋」をてらった作品になっています。

    それはそれである時期必要なことのかもしれませんが、とにかく最初からそれでは読む方はたいそう手間がかかります。

    一応短篇集なので、第一話があって、わたしの場合はその第一話を読み終えた瞬間にまた最初のページへと戻っていました。
    そぉして「こんどこそ分かった筈だからこれで面白く読めるのだろう」と思いワクワクしながらもう一度読み直しました。

    ところがこれが最初と変わりない。やはり分からないところは分からないし、そのどこが面白いの???部分わそのまましっかり繰り返されます。

    やはり難しいのだ!というのが結論です。
    いやいやむづかしいから面白くない、とまでは申しません。
    ですがこの作品を面白く味わうにはそれなりの「胆力」というものが必要なのでしょう。あいにく持ちあわせていませんでした。 すまぬ。

  • 元同心で現在は損料屋(今で言うレンタル業のようなもの)をやっている喜八郎が、恩義のある先代の米屋に頼まれて2代目を助け、札差(特に伊勢屋)や武家と相対する…

    喜八郎は相当な腕の侍だったみたいだけど、大立ち回りは出てこず、ずっと頭脳勝負という感じ。
    ただそれが逆に良い♪
    …米屋の2代目、ダメすぎて先代が心配するのも分かるww 
    それを直接言うのではなく行動で示す喜八郎に粋さを感じる。
    さらに江戸屋の秀弥との恋愛模様やところどころに出てくる江戸のファッションなどを織り交ぜているところが喜八郎の男っぷりを上げているような演出に取れる。 

  • 損料屋という仕事はほとんど関係なく、江戸の札差業界が舞台で驕る実力者に虐げられる相手を助ける快男子という時代小説のパターン。読み易く、すっきりした感じがいい。恋愛も絡みそうで、シリーズの展開が楽しみとなる

  • 久しぶりに読んだ時代小説。
    すごく面白かったです。
    ヒーローは決して目立たない人だけど
    それがかえっていいんだよなぁ。

    この本に出てくる男は
    訳あって同心を辞めざるを得なくなった男。
    そんな男が始めたのは損料屋、
    いわば物貸し屋なのです。
    (寝具とかね…)

    でもそんな男は
    仕えていたものの義理上
    仕事をするわけなのです。
    中には幸せな結婚を邪魔する
    ふてい奴や、贋金で私腹を肥やそうとするものに
    鉄槌を下すことも…

    お勧めは「いわし祝詞」です。
    ハッピーエンドでスカッとすること
    間違いなしです。

  • 元同心、訳あって今は損料屋である喜八郎。
    恩ある米屋の後ろ盾となり、与力秋山や嘉介らと
    札差相手に知恵を巡らす。
    初期の作品とは思えないほどの出来ではないか。
    ますます山本ファンになってしまった。

  • 江戸の捕物っぽい雰囲気のタイトルと装丁に惹かれて借りてみました。「損料屋」て今で言うリース会社でしょ。まあ江戸であれば 所帯道具にも事欠く連中に 夏の蚊帳 冬の炬燵から鍋、釜、布団なんかを賃貸ししちゃう 隠居の片手間商売みたいなかんじ、らしい。それはそれで面白そう、、と思ったけど喜八郎さん、損料屋は表の仮面で 裏は与力の右腕として 剣と頭脳を活躍させる影のヒーロー。札差VS幕府側 みたいな勝負。肝心の損料屋の商いの様子は全く出てこず。。 札差が儲けを第一に商売すんのは当たり前で でも 武家側も困窮すれば 国の政策として借金を棒引きにしちゃったり、なんていう、 米高で給料が払われていた武家社会ならではの金融トラブル、が読みどころかな。 喜八郎はとにかく洞察力も度胸も剣の腕も一流。想いを寄せる女もちらほら。でもなんだか、なんだかありきたりすぎて……… 。もうひと声ホシイ、な印象でした;。

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1948年高知市生まれ。都立世田谷工業高校卒。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空関連の商社勤務等を経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞。2002年『あかね空』で直木賞を受賞。江戸の下町人情を得意とし、時代小説界を牽引する人気作家の一人。著書多数。

「2023年 『草笛の音次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山本一力の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×