輪廻

  • 文藝春秋 (2000年6月22日発売)
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感想 : 12
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  • 本 ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163193106

感想・レビュー・書評

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  • 物語の冒頭から、昭和の雰囲気を色濃く感じさせる。 夜の歌舞伎町、わたしも高校の時、なんどか奥に迷い込んで怖い想いをしたなー。


    2000年に松本清張賞(そんな賞があったのか)を受賞したとのこと。
    ホラーというほど怖くはなく、嫁姑問題といっても過ぎてしまったことなので、ドロドロという感じもない。

    姑とうまくいかず、それが元で離婚した香苗は、娘の真穂を連れて、東京の大久保にある実家に戻った。実家は古く狭い集合住宅だ。
    母は、孫の顔を見るのを心待ちにしているだろうと思っていた香苗は、その真穂の顔を見た瞬間の母の様子を不審に感じる。何故やっと孫と会えたのに、あんな気まずそうな顔をするのだろうと。
    しばらくして早苗は、生活のために外に働きに出ることにした。すると隣人から「言い争う声を聞いた」「何かがぶつかる音がした」など物騒な話を聞く。早苗が働いている間、家では母と真穂の二人きりだ。そんな話を耳にしてしばらくして、真穂の体に何かにぶつけたような痣があるのを見つけてしまう。もしかして母は真穂に暴力をふるっているのではないだろうか。

    真相は時を超えて、遥か昔まで遡る。
    この小説の輪廻というタイトルの意味、そしてその昔、母親にはいったい何がおこったのか。

    ホラーっぽくもあり、ミステリーの要素もあり、小難しいことは考えずにただただ面白く読めた。
    生まれ変わりなのか、はたまた憑依なのか、それともそれ以外の何かなのか、実際のところはよく分からないけど。

  • 松本清張賞(2000/7回)

  • 2015年6月6日

  • 面白くて一気読みした 怨念と復讐が凄かった

  • 実の母親に何故か愛されていると思えない。
    そして生まれ育った、新宿、大久保という街が嫌い。
    そんな香苗は短大を卒業してすぐに茨城の旧家に嫁ぐ。
    しかし我が子、真穂に躾と称し、異常に厳しくあたる義母との確執から離婚して実母の元に娘ともども身を寄せる事となる。
    もともとそれほど仲が良くない母娘。
    しかし母親の初めて会う孫娘に対する態度は思った以上に冷たく素っ気ないものだった。
    傷つく香苗はさらに自分がいない時に母親が娘を虐待しているという噂を耳にする。
    その事で大きくなっていく母娘の溝。
    そして香苗は自分の母親に初めてといっていいくらい興味をもつようになる。
    何故か過去の事を全く喋ろうとしない母。
    母の過去を探るべく香苗は娘と共に新潟に赴くが、そこで知った事実は思いもしないような恐ろしい出来事だった-。

    「累」という怪談を題材に描かれたお話。
    最初は面白い!と思いました。
    初めて会った孫娘を嫌うというより恐がり避けるような不自然な母親。
    そして娘の虚言癖。
    それらとタイトルを合わせて自分なりに原因を推測して、これは面白い発想だ!面白そう!と思ったところ、それは見事に大外れ。
    そして理由を知ったあたりからストーリーの描写が雑になり、だんだん話に入り込めなくなりました。
    後半たくさんの出来事を盛り込んでいて、それにページ数が追いつかず、ただ起こった事をなぞっているだけという感じ。
    とても大切な場面もおざなりに書いていて物足りないと思いました。
    登場人物の行動もかなりつっこみどころが多い。
    最初と最後だけきれいにつじつまを合わせているという印象です。
    ホラーでもない、ミステリーでもない、サスペンスでもない。
    えらく中途半端な印象をもちました。
    ただ読むのを途中でやめたくなるほどの内容でもないし、ストーリーとしてはキッチリ考えて作られていると思います。
    これは松本清張賞受賞作だそうです。

  • 田舎と大久保を舞台に繰り広げられるサスペンスもの。母の生き方を否定しているものの結局は全く同じ生き方しかできない自分に気づく。よくできたストーリー。

  • 「親の罪が子に報い……」という因縁と憑き物の物語。
    怪談「真景累ヶ淵」が物語のベースになっている。怪異そのものよりも、それを引き起こす執念、怨念、憎悪の方が恐ろしいと思い知らされる1冊。

    明野照葉作品ならこれが個人的ベスト。

  • 私はホラーは基本的に読まないのですが、ホラーも結構、おもしろいもんですね。
    累という怪談が元になっているタイトルのとおりの生まれ変わりの話です。
    ホラーですが序盤はそんな感じも全くなく、家庭問題に悩むバツ1の話になっています。
    が、段々と怪しくなってきます。
    読んでいてあまり気持ちの良いものではなかったです。

  • 輪廻転生

  • この作品から、明野さんの世界にすっかりはまりました。

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著者プロフィール

明野照葉

東京都生まれ。一九九八年、「雨女」で第三十七回オール讀物推理小説新人賞を受賞。二〇〇〇年、『輪廻RINKAI』で第七回松本清張賞を受賞、一躍、注目を集める。ホラーやサスペンスタッチの作品を得意とし、女性の心理を描いた独自の作風はファンを魅了してやまない。『汝の名』『骨肉』『聖域』『冷ややかな肌』『廃墟のとき』『禁断』『その妻』『チャコズガーデン』(以上中公文庫)、『女神』『さえずる舌』『愛しいひと』『家族トランプ』『東京ヴィレッジ』『そっと覗いてみてごらん』など著作多数。

「2020年 『新装版 汝の名』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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