- 本 ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163193304
感想・レビュー・書評
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普通に生きてたら絶対に見ることの無い世界、想像することもない世界を見せてくれる
文字から影像を必死で作り出そうと頭の中が回転する
町田康読んでる時のこの感覚すき詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ウラー
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町田康はその処女小説『くっすん大黒』を書いた時点で、作品のスタイルを確立していたと思う。
ともすると冗長でだらけているように受け止められかねない文章も、実はリズムという計算のもとで、滑らかに響く。ところどころに挟まれる古典的ジョークや細かすぎるくらいに事の成行きを描写するあたり、あるいは奇怪な行動を起こす登場人物や、蠢く虫ども。これらは、下手をするとそれだけで読者の読書意欲を殺いでしまう可能性がある。しかし、町田康は果敢だ。徹底している。
町田康の小説に出てくる主人公は、悉く堕落・没落した生活を送っていて、これではいかん、なんとかせんければならぬとあがくのだけれど、その思惑と現実とのズレは常に広がっていき、如何ともしがたい。そのため、読者はストーリー展開をまったく予測できず、さらには現実と妄想の境目が曖昧模糊としていき、それが却って小説の不気味なリアル感をいや増している。
主人公たちは社会を嘗め切っている。嘗め切っているが、社会の有り様をいったん受け入れたうえで、著しく脱線。そして軽侮しているのである。そこから彼らは立ち上がろうとする。その姿たるや滑稽、しかし、美しい。
処女作『くっすん大黒』ではさほどでもなかったが、芥川賞受賞作『きれぎれ』に到るころには、そのストーリー展開たるや、凄まじいスピード。話はあらぬ展開へ進み、そして唐突に幕を閉じる。多くの読者は、呆気にとられて、ジ・エンド。頭の中は、カオス・オブ・カオス。
人間社会に生きることの中に潜む、醜さ・惨めさ・馬鹿馬鹿しさの視点から、ここまで真正面にぶつかっていく作家は他にいない。
【収録作】
『きれぎれ』…絵描き(一応)の俺は、夢見がちな性格に加えて、労働が大嫌い。金の工面に困じ果て、自分よりも才能の劣る画家・吉原に借銭を求めに行くことに…。現実と妄想、時間と空間とが激しく入れ替わり、セットはハイスピードで展開していく。現実に対する自嘲を特異な文体で描写する。芥川賞受賞作。
『人生の聖』…『きれぎれ』以上に激しい妄想が繰り広げられ、読者の現実感を危うくする。主人公・法界の体の断裂に始まり、脳内果物神社。脳みその攪拌。不気味な描写が果てしなく続き、ぞっとするものの、何故かそこにはリアルがしっかりと横たわっている。存在している。果たして、人はこの世で、人生の聖となることができるのであろうか、とことんまでに追及した異端傑作。 -
初、町田康。
やや、難解さを感じたが、軽快な感じ(リズム感?)もあり、難解さとは別の読み易さも感じた。
この本の面白さは味わえたの
かなと思う。 -
感想
羽の生えた人生。重く捉えすぎず弾むように人生を歩む。楽しいことを楽しみ、美味しいものを味わう。幸せになる権利は誰にでもある。 -
C0093
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独特の文体と不思議な世界
いかにも芥川賞 -
『きれぎれ』
町田康さん
きれぎれ
人生の聖
町田康さん読むのはじめてなんですが、この人も天才か!と思いました。
中島らもさんがおもしろいと言っていて町田康さんの借りてきました。
字がびっしりなのが少し苦手な私もリズムにのって楽しく、笑いながら読める本当におもしろい本でした。
あぁ。リズムなんだなぁって。
なんか読んでいて生きるのが楽になる感じ。いまなら苦手な車の運転もできそう! -
きれぎれ、人生の聖
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