希望の国のエクソダス

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 136
  • Amazon.co.jp ・本 (422ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163193809

作品紹介・あらすじ

2002年秋、80万人の中学生が学校を捨てた!経済の大停滞が続く日本で彼らはネットビジネスを開始、円圏を巡るアジア通貨危機では、情報戦略を駆使して意外な結末をもたらす。その後、全世界の注目の中で、彼らのエクソダス(脱出)が始まった-壮大な規模で現代日本の絶望と希望を描く最新長編。

感想・レビュー・書評

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  • 2000年代に書かれた近未来の日本の事を予測を含め書かれた一冊。
    すでに、2017年になっておりこの舞台となる2008年も過ぎているのだけど、意外と書かれていることが当たっている部分もあり、凄いなと思う。

    この本をいま国会で話題になっている前川次官が読んで、危機感を持ったとニュースで話されていたのが、わたしが読み始めた時点のことでなる程と思った。

    2001年に日本の中学生たちが集団不登校になっていて、その若者たちがネットワークで連帯して新しい価値観を持って生きて始めていく。

    通過も新しく作ったりするのがビットコインと重なったりと村上龍氏の先見性や想像力に驚かさせられた。

    そして、狂った日本の政治や世界も重なってくる。
    さすが文部科学省次官の前川氏が本当に若者たちのことを考え彼らの目線にも近づこうと読まれた本だと思った。

  • 「この国には何でもあるけど希望だけがない」力がなくても金がなくてもガキであっても力を持てる世の中。ポルノ画像や好きなアーティストのライブDVDくらいPC一台あれば全て無料で見れる。男子はエロ本を他人にバレないようにこっそりかつ短時間で読んで思い出を持って帰り妄想を高める。音楽もCDで聴いた楽曲達がライブでどう躍動してるかを楽しむ。モノには順番があって一つ一つクリアするのが醍醐味と思う。しかしネットワーク社会の発達で世界中の赤の他人とのツールが無限に広がり、言語も肌色も違う人と情報だけでなくテンションさえも共有出来る時代。妄想を具現化出来る可能性が広がることは大きなくくりでみたら幸せなことなのかわからない。image or realって言葉は廃れたか。そんなことを考えてしまった一冊。今から10年以上前の本やけど時代遅れ感は全くない。子供が出来たら、「あすな」って名前にしたい。

  • 村上龍の作品では2作目。

    エクソダス(Exodus)とは「脱出」の意。
    故に、「希望の国からの脱出」となる。

    内容はまさに希望の国と呼ばれている日本で
    起こる話で、フィクションものだが
    それが完全にフィクションと言いきれないところが
    この本のよさだと個人的には感じた。

    ありえそうな話。
    そして、それは日本の教育会に対してのメッセージ
    とも感じ取ることができた。

    あるページでのやりとり
    「なんで学校に行かなきゃだめなの?」
    「義務教育だから」

    この文言から全てがわかる

  • 大人たちが築く将来をあきらめ、若者がクーデターをおこし独自のパラダイスを作り上げるというストーリー。

    フィクションとしては嫌に現実味が強く、20世紀少年などの類の面白さを放っている。



    筆者がそうしたいのか、あるいは予言のつもりなのかはわからないが、

    排他的とは言わないまでも理念に合う者だけで話を進める点では、同意しかねる。

  • ノンフィクションかのように錯覚してしまう作品。
    バブル崩壊の失われた10年〜現在までをリアルなまでに物語として作り上げている。
    主役は中学生。中学生がネットの会社を起こし、大人が作った日本に革命を起こす話。と書くとチープに聞こえてしまうが内容は衝撃的。
    しかもこの本が出たのは8年前というから驚きだ。
    「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」
    本書での有名なセリフ

    さて、今は?

  • 保守派には反感買いそう。
    まあ世代が変わればモノゴト変わるんで、こういうことを謙虚に受け止め仕組みを変えていくことで組織や共同体は長く続くんだろうけど。
    同調意識の高さゆえか一党独裁が続く政権だと難しいやね。
    彼らが集った場所も世代気質とも言える将来的弱点はあるわけだが、それを受け止め補っていける許容度はあるだろうか。

    海外流出は仕方ないよ。手応えも魅力もないことを強いるわけにはいかないもの。

  • 「この国には何でもある。だが、希望だけがない。」
    というフレーズがあまりにも有名になってしまった本作も、すでに書かれてから15年も経ってしまった。
    未読だったのだが、著者の新作『オールド・テロリスト』を読む前に紐解いてみたくなった。

    本作が書かれた2000年といえば、リーマン・ショックや東日本大震災どころか、9.11テロさえ起こっていなかった。
    その時代性を考えると、まるで15年後の現代を見て書いたかのような、先見の明に驚かされる。

    作中の中学生たちが手がけるビジネスは、現在のソーシャル、クラウドといった要素が満載だし、仮想通貨的なものまで登場する。
    ネットビジネスが既存のメディアを崩壊させる様もまさに予言めいている。

    一方で、描かれた予言的世界には外れた要素もある。
    一言で言えば、結果的に若者の力を買いかぶりすぎていたことになる。
    作中の中学生の世代は、計算すると今20代後半ということになり、自分の会社における部下にもいるが、活力不足でまあ頼りない。
    社会的にも、人工ボリュームの面で高齢者に太刀打ちできず、存在感を得られていない。
    「恐ろしい子供たち」は「ロスト・ジェネレーション」にしかなり得なかった。
    まったく少子高齢化恐るべしである。
    で、『オールド・テロリスト』に繋がるのだな。

  • 読み通しはしたが物語のリアリティとか、スケールが大きいようで小さいところとか著者の興味の移ろいに付き合わされただけのように感じる。

  • H29.04.08 読了。

    有名だけど、今まで読んでなかった人の作品を読んでみたくなり、購入。

    中学生の集団不登校って何だろう?
    どういうジャンルの作品なんだろう?
    と興味津々で、特に序盤は続きが気になってどんどん読んでいけた。

    が、途中から難しい話になってきて、読むペースが落ちていき、早く面白い展開にならないかな、と思いながら読んでいった。
    後半、特に盛り上がりもなく終わっていってしまって、なんだかなー、と思った。

  • 2016/08/30

    小説だけれど、起承転結的な構造というよりかは、一つのモチーフから出発した世界の観察日記、ドキュメンタリー、シミュレーションのようなものだと思った。
    『限りなく透明に近いブルー』とは限りなく縁遠いスタイルだなあと思った。

    文学性というか村上春樹的なものとは異なる方向性だった。

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著者プロフィール

1952年長崎県生まれ。76年に『限りなく透明に近いブルー』(第75回芥川賞受賞)でデビュー。2003年には、514の職業を紹介した『13歳のハローワーク』が125万部を超えるベストセラーに。財政破綻した近未来日本を舞台にした『半島を出よ』(05年)では野間文芸賞を受賞。10年には『歌うクジラ』(毎日芸術賞)を電子書籍として刊行。 近著に『55歳からのハローライフ』、『オールドテロリスト』などがある。16年に『日本の伝統行事 Japanese Traditional Events』を刊行。

「2018年 『収録を終えて、こんなことを考えた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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