- 本 ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163195605
感想・レビュー・書評
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バルーン・タウンシリーズの二作目。ネタバレになるから詳しくは書けないけど、ただ「妊婦の街」で事件が起こって「妊婦探偵」がそれを解決するというだけでなく、謎解きやトリックの根幹に妊娠や出産の現実(俗習や迷信も含めて)が密接に関わっているところが、このシリーズの面白いところ。特にこの本の最終話、書き下ろし「埴原博士の異常な愛情」は、色んな意味でけっこう踏み込んでいた(前作『バルーン・タウンの殺人』収録の「なぜ、助産婦に頼まなかったのか?」も、「えっ、そこ?!」という衝撃が大きかったが)。
そのように妊娠や出産のディテールにぐぐっと近づき接写する一方で、作中人物に「妊婦は透明人間なのよ、お腹以外は」と言わせ、「妊婦」というレッテルを貼って一括りに扱ってしまいがちな私たちの態度について反省を促すような、引いた視点も持っている。しかもこれを、ミステリーでよく使われる“心理的透明人間トリック”、すなわち、実際にはそこを郵便屋さんが通ったのを見ているにも関わらずそれがあまりに当たり前過ぎて「(怪しい人は)誰もここを通りませんでした」と証言してしまう現象、になぞらえる形で提示してくるので、変に説教くさくない。巻末の著者紹介に、「ジェンダーをテーマの軸にすえながら、その作品世界はユーモアのオブラートに包まれている。」とあり、まさにその通りで、ミステリーももはやオブラートだなあと私なんかは思った。
ユーモアももちろん極上で、楽しい人物たちと、ちょっと皮肉めいているがくどくなりすぎない文章表現も、すごく好き。
松尾由美さん、他の作品もどんどん読んでいきたい!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
4-16-319560-2 285p 2000・10・10 1刷
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人工子宮が普及した近未来の東京で、あえて自然な妊娠・出産を望む女性たちが暮らす町バルーン・タウン。有明夏乃の出産に立ち会うためにこの町に戻ってきたミステリ翻訳作家暮林美央と刑事の江田茉莉奈にまたもや事件がふりかかる。夏乃が夫から預かっていたコンパクト・ディスクが消え失せてしまったのだ。病室には眠っている夏乃と、ダストシュートにはりついた美央の息子・玲央。病室の外には身内しかおらず、窓の外にも不審な様子はみられない……。表題作他3編収録。シリーズ第2弾。
装幀 / 大久保 明子
装画 / 谷本 ヨーコ
初出 / 『別册文藝春秋』1999年秋季229号・2000年夏季232号・2000年秋季233号、書下ろし1編 -
何も考えずに読める
子供の時に夢中になって読んでた本のような…2時間ドラマの様な…
そんな感じ
2014.3.9 -
(収録作品)バルーン・タウンの手品師/バルーン・タウンの自動人形/オリエント急行十五時四十分の謎/埴原博士の異常な愛情
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妊婦の集う町バルーンタウンで起きた事件野話第…二段?
一段を読んだことがあるようなないような状態なので確信が。
この続刊は読んだのですが。
埴原博士の食材談義は、埴原博士の口調のせいで余計気持ち悪い感じになってますよね。
私自身はあの話に特に忌避心は無いのですが。(まあそういう文化として知っているし)
しかし面白い人です。
私、元ネタの人話読んだり見たりしたことがないので、どのくらい踏襲されているのか知りませんが。 -
嫌味な女が多いし話もくだらないものばかり。妊婦探偵といい自称助手の夏乃といい・・・
ラストは、一気ご都合主義が展開が繰り広げられ唖然。はいはいそーですか。
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