顔のない男

  • 文藝春秋 (2000年10月24日発売)
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  • 本 ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163196404

感想・レビュー・書評

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  • 発見された遺体の正体はすぐに判明。
    なのに、それがどういう人物なのかが一向に見えてこない。
    調べれば調べるほど不可解な謎が増えて行く。
    とても面白いストーリーでした。
    どこを探っても謎が出てくるばかりで、何を信じたらいいのかさえも分からなくなりますが、最後の謎解きにはスッキリしました。

  • 面白かった 最後は少し切ない気もした

  •  ある男の死体が緑地公園内で見つかった。被害者の名前は空木精作(うつきせいさく)、41歳。しかしながらこの男、調べれば調べる程、”顔がない”のである。どうやら親がのこした遺産があるので外で働いたことはなく、交友関係も不明。学校を卒業してから20年あまり、世間に足跡というものをほとんど残していなかったようなのだ。そんな男がなぜこれほどまでに無残な死に方をしているのか。又吉敦は、先輩刑事の原口賢二と事件を調べ始めるが、仲間にすら手の内を明かさない原口は、又吉にとって空木と同じくらい不思議な男であった。

     空木が残したメモを便りに捜査していくと、どうやら空木は探偵業のようなことをやり、【栄光商事】という会社がキーワードだということがわかる。メモや会社関係者たちに順番にあたっていくが、その関係者達は皆それぞれに違う事件の関係者でもあって、なりゆき上、原口と又吉はその事件も解決していくことになるという、最近の作品で言うと「新参者」のような形式で話はすすむ。この形式は嫌いではないが、本筋の事件と関わりのない事柄や人物が多く登場するので、「え?これ誰だっけ」となることしばしば。ちょっと読みにくかったなぁ。

  • 長編だが、連作短編集のような感じ。淡々とした雰囲気ではあるが、展開の仕方が変わっていて惹き込まれた。登場人物それぞれが途中怪しげな行動を取り出して、真相は何処に行き着くのか、最後まで読めなかった。まぁ、予想範囲内の人物ではあったけれども。
    例のビアバーが何回か出てきて、他の北森作品を読んできた私にはちょっと嬉しい。

  • 久しぶりに北森鴻を読んだ。面白かった。ちょっと意味の分からない部分もあったけど。かなり刻んで読んだからな。一気に読めたらもっと面白かったかも。しかし他人になりきるなんてできるものだろうか。2人が違う人になりきろうとした、なんてありうるかね。しかし薬物は恐ろしい。脳内麻薬か。どれほど気持ちよくなれるのだろう。知ったら元には戻れない。と思ったら、やっぱり怖くて使いたくはないよな。

  • 流れはとても面白かった。登場人物も愛すべき人はいなかったけれど、それぞれの個性はあった。問題は最後のどんでん返し・・・・。ちょっとわやくちゃ感があって混乱してしまった。もう一度読み返さないと頭の整理ができないかなぁ。

  • 工事中の公園で、全身をめったうちにされた男の遺体が発見された。
    被害者は空木精作。
    しかし身元確認まではスムーズに進んだが、その後の周辺調査からはなにもでてこない。
    勤めていなかった空木には知り合いらしい知り合いがおらず、まさに「顔のない男」であった。
    そんな折、ふたたび被害者の自宅へ寄った刑事・原口賢二と又吉敦はあるノートを発見する。
    それによると空木はある調査をしており、ある人物を追っていたようだ。
    そのノートをトレースするうちに2人は張り巡らされた糸に気がついていく・・・。

    いや~、面白かったです。
    一つの事件を軸としてそれを追ううちに他の事件にぶつかり、少しずつ空木について浮き彫りにされていくという連作短編の形です。
    ですがもちろん、一章ごとに完結はしています。
    その手法から、読み始めは東野圭吾さんの『新参者』を思い出しましたが、あちらがこころ温まる人情噺だったのに比べこちらは事件が陰惨で、そんな思いはとっとと消えうせてしまいました。

    そもそも雑誌に連載されたのは本章の7編で、合間の「風景」とプロローグ・エピローグは書き下ろしとのこと。
    でもその書き下ろし部分があるから繋がりがより理解できたのですけど。
    しかも連載は2年にわたっているし、雑誌で読んだだけだったら消化不良になっていたかも。

    ラストは全くノーマークでしたのでかなり驚きました。
    いきなりな印象もありますけど、そういわれたらそうなんですよねぇ。
    まさかこういう着地になるとは。びっくりでした。
    それにしても事件が事件だけに多少後味は悪いです。
    それすらも好みですけど。

    作中で「三軒茶屋のビアバー」がでてきたのは嬉しかったです。
    『香菜里屋』のほうで原口ってでてきてましたっけ?
    続けて読んだのですでに忘却の彼方です。
    出てきていたような気もするんですけど・・・。

  • ある男の殺害事件の捜査にあたることになった2人の刑事。被害者の交友関係や周囲との接点がなく、捜査は難航。そんな時2人は被害者の残したノートを見つけて…。
    最初は刑事たちと同じで手探りの状態で読み進めてくけど、考えた通りには進まない。2人は途中からばらばらに動くから、また混乱するし、最後までなかなか読めない話でした。面白かった!じっくり頭を整理しながら読んでいくのに向いてるかも。

  • 意表をつく事件ではなく、衝撃的な結末でもないけれど、連作短編のような長編、というのか、話の進み方が面白い。
    さらっと読み進んだら、ちょっと混乱した(笑)

    ゆっくり再読したい。

  • いくつもの事件が複雑に絡み合い、淡々と進んでいく。
    誰が悪で、誰が善なのかも分からないまま。
    淡々と物語が進んでいくのは、この人の味ではあるけど、途中何度か挫折しそうになった。
    でも、最後のどんでん返しは圧巻!
    って言うか、私が伏線を考えて読んでなかったので、トリックを見抜けなかっただけかもしれないけど。

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著者プロフィール

1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95 年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川 哲也賞を受賞しデビュー。’99 年『花の下にて春死なむ』(本書)で第 52 回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。他の著書に、本書と『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』の〈香菜里屋〉シリーズ、骨董を舞台にした〈旗師・冬狐堂〉シリーズ 、民俗学をテーマとした〈蓮丈那智フィールドファイル〉シリーズなど多数。2010 年 1月逝去。

「2021年 『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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