熱帯魚

  • 文藝春秋 (2001年1月30日発売)
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本 ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784163198408

感想・レビュー・書評

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  • 『熱帯魚』
    大工の大輔は3LDKのマンションで暮らしている。
    飲み屋で働いていた真美と彼女の娘の小麦、親の再婚の影響で二年だけ兄弟だった光男も一緒に生活している。
    大輔が建設中の家の娘に手を出した挙句、ボヤ騒ぎを起こしたり、一日中熱帯魚を眺めていた光男が五十万円を持ち逃げしたと思ったら、帰ってきたりする。

    『グリンピース』
    僕は千里と付き合っているけど、友人の彼女のほうが魅力的に見える。無性に腹が立ったから千里の部屋で暴れたら彼女は出ていった。腹いせに僕の友人と寝ているらしい。
    友人カップルが僕と千里の仲を取り持とうとしたが、そういう気づかいも気に障る。千里もそうみたいだ。友人カップルは帰っていった。僕と千里はこれまで通りに寝た。

    『突風』
    気まぐれでやってきた男は、海の家で働くことにした。働いているうちにご主人や奥さん、周りの人たちとの関係がわかってきた。奥さんが自分に興味があると男はわかっていた。千葉から新宿まで奥さんを連れてきたところで、男は面倒になって奥さんを車から降ろした。適当に再会の約束をしたが忘れて反故にした。

    ---------------------------------------

    衝動的な行動をする男の話が三つ。
    相手のことを想って妙な親切心を振りまいたり、思い通りに行かないと暴力的になったり、適当に嘘をついたりする男たち。
    変な男たちに不思議と感情移入してしまったのは、自分にも衝動的な面があるからだろうか。
    『グリンピース』に登場する「僕」の彼女、千里さんがとても可愛かった。
    明るく笑わせようとしてくれる人って素敵ですよね。

  • 面白いです。自分で目を逸らしたくなる自分の感情が不意に刺激されてしまうようなところがあって動揺してしまう。人の孤独に敏感で、そういう人を見ると恐ろしいような、いてもたってもいられないような気持ちに襲われる。自分が同じくらいに孤独だから…。こういう感情は表現し難いな。

  • 3つの作品の中でいちばん面白かったのは「グリンピース」で、明るさと暗さが上手くミックスされていた作品だったと思う。でも吉田さんっていい意味で、自前で世界を全てを作ってなくて、ほかの作品から受けてきた影響に対して、かなりオープンな人のよう気がするなぁ・・・。

  • 3つの短編が入っています。どの主人公もひどい男たちで共感できないのに、不思議と話に惹かれてしまいました。読み終わった後に何が言いたかったんだろうって考えさせられる作品たちでした。もうしばらく吉田修一さんの本を読んでみようと思います。

  • 読み疲れた。

  • だめでした。

  • 【配置場所】工大一般図書【請求記号】913.6||Y【資料ID】10104482

  • 熱帯魚
    グリンピース
    突風

  • 芥川賞候補になった表題作の他、「グリンピース」「突風」の二作を収める。
    大工の大輔は、真実とその娘の小麦、それからニ年だけ兄弟になったことのある光男と暮らしていた。光男は働きもせず、一日中家にある熱帯魚の水槽を眺めている。
    そんな同居人たちのために、自分はこんなに精一杯やっている。なのに誰も分かっちゃいない、と苛立だつ大輔。その姿が痛々しい。彼をやさしく受け入れる周囲の人間たちが癒し効果か?(熱帯魚)
    個人的には「グリンピース」が好き。千里という恋人がいながら友人の彼女にちょっかいを出す主人公草介。何だ、この男は!と憤慨しつつ、恋人同士って実はみんなこんな感じで続いていくのかな、と思うような作品。

  • 男の人の書く文章。武骨で不器用で。ちょっとスケベで。荒削りな感じの小編が三つ。すごく面白いわけでも、共感できるわけでもないんだけど。なんか、その辺にいそうな人の、どこかで営まれているであろう日常をきりとった感じで。好きではないけど、嫌いでもない。不思議な読後感だった。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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