聖水

  • 文藝春秋 (2001年2月15日発売)
3.11
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784163198903

みんなの感想まとめ

信仰と人間の欲望が交錯する物語が描かれています。舞台は長崎、被爆地であり、主人公は「聖水」と呼ばれる奇跡の水を求める人々の姿を通して、信じることの尊さや愚かさ、そしてそれに伴う恐れを深く掘り下げます。...

感想・レビュー・書評

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  • 恥ずかしい話、物をしらないのです。青来有一
    名前も聞くのも見るのも始めて。
    あおきと思ってましたが、せいらいとは。
    せいらい有一。

    読んでない芥川賞、直木賞、まあ他にも
    本屋大賞やこのミスとか
    片っ端から「大袈裟」読んでやろうということで

    目についた、「聖水」
    聖水ーたぶんキリスト教的なと想像通りの
    隠れキリシタン、殉教者的な感じです。
    その中に退転者ーウノスケ
    やはりいるんだ!

    舞台は「長崎」被爆地。
    浦上天主堂のそば、

    信ずるということの尊さ反面、怖さ、愚かさ
    奇跡の聖水ー飲むことで痛みが取れる???
    遠藤周作作品的な。

    前述のウノスケの
    ウノスケ縛り
    裸にして両腕は後手に縛り、胸と頭を股の中に入れ両足で挟む形ー屈辱的な形
    これを吊す、まあ拷問こんな話も出てくる

    自分福岡ですので、長崎はたまには行きます。
    だから空気感、イメージはつきやすい
    被爆地長崎
    主人公の父親は最後の体力を振り絞っても原爆記念式典に参加したがった。
    宗教が絡んだ偏頗な限られたテーマ
    死に向かっていく時の恐れ、慄き「どこに行くのだろう、死んでしまったらいったいどこにいくのだろうやはり魂はあるのだろうか?
    穏やかな死を迎えられるのかー本文より、

    他にも2.3作品が「小指が燃える」「人間のしわざ」
    人間は
    まず生まれた場所で一番めの幸不幸が決まる。
    戦闘盛んな国、他にも問題はあるにせよ平和な国
    大違いだ。

    視覚的にはつゆ草「群生で咲いてる」の青が目蓋に残る。



     

  • 短編集です。2001年芥川賞受賞作品の「聖水」。好きな作品です。静かに重みのある中で、カルトを扱っている。金銭に替わり、チケットなるものが流通し、人々は「聖水」を求める。あれ、この世界の何がダメなんだっけ?と思えてしまう。信仰に線を引くなんて誰にもできないことなんだろう。

  • 「ジェロニモの十字架」
    キリストは神の子どもと呼ばれたが
    一方では常に悪魔の声を聞き、悩まされていた人でもあった
    悪魔は人間の心の隙間につけこんで堕落させようとする
    キリストも、救い主を装いながら
    そんな方法で信徒を増やすことがあったかもしれない

    「泥海の兄弟」
    ピカレスク主人公としての生き様を地域住民から期待され煽られ
    真面目に生きていくことも邪魔されて
    ヤクザから足ぬけした過去をいつまでも馬鹿にされる父親
    その息子は、奇妙なミタマ信仰にとりつかれている
    物語批判の物語だが誰も救われない

    「信長の守護神」
    二次創作・海賊版に寛容なそぶりを見せるゲームクリエーター
    しかし人に頭を下げることだけは我慢ならない
    ポストモダンの本質を見事に突いた作品で
    やや詰め込みすぎに感じられるあたりも、かえってそれらしい
    ちょっと「ガンパレード・マーチ」を思い出したな…

    「聖水」
    使用期限半年の「チケット」を地域通貨として流通させ
    従業員の給料もそれでまかない
    仕入れの多くを粗大ゴミあさりに頼るリサイクル・エコショップ
    その求心力を支えるのは
    「聖水」と呼ばれるミネラルウォーター販売だった
    ニューアカ(具体的にはNAM)の理想が行きつく果ては
    カルト宗教でしかないということか

  • 長崎文学紀行で紹介された本である。ジェロニモの十字架、泥海の兄弟、信長の守護神、聖水と4編別々の小説である。その中で、長崎と関係しているのはジェロニモの十字架と聖水であった。聖水は、浦上天主堂、外海の途中の聖水、盆の爆竹や精霊船としての長崎満載であった。転びキリシタンの末裔、聖水を商売にしていく人、オロショを唱えながら死んでいく父親など、長崎観光の前に読んでもいい。

  • ▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
    https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/83611

  •  
    ── 青来 有一《聖水 200102‥ 文藝春秋 200406‥ 文春文庫》芥川賞
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4163198903
     
     Seirai, Yuuichi 作家 19581213 長崎 /籍=中村 明俊/長崎市役所勤務
     
    (20170301)
     

  • 青来有一著『聖水』読了。

    表題作を含め四編が収められています。その四篇全てが芥川賞候補に挙がった作品で、表題作は、2001年に第124回芥川賞を受賞しています。

    『聖水』は、ガン末期の父が、一家で生家に越してくるところから物語が始まります。商店を経営する父は、従兄弟でエコショップ経営者の佐我里を後継者にしたいと考えていますが、佐我里は奇跡の水「聖水」を売り教祖のように信心を集めていることから、それを胡散臭いと思う他の役員の反対にあっています。しかし、ガン末期の父は聖水の効果を信じており、どうしても佐我里に事業を任せたいと主張します。
    佐我里と父の繋がりは、だた聖水を信じているだけではありません。父や佐我里、そして聖水を信心する「聖水会」は、隠れキリシタンの裏切り者である「山村卯之助」の末裔たちで、自分たちには隠れキリシタンの血が流れていると自覚しています。

    死を目前にした者にとって信心とはなにかを、長崎という、隠れキリシタンや原
    爆被害という独特な歴史を持つ土地を舞台に描いています。

    またこの作品は情景描写が緻密で、風景が眼前に浮かんでくるようです。

    読み応えのある作品でした。オススメです。

  • 表題作は芥川賞受賞作。
    読み応えがあった。
    登場人物の中で、神のようなものを信じる人々はみんな、何かが欠けていたり、コミュニティから弾かれたような人ばかり。
    いわゆる『境界』に位置する人で、あちらとこちらを結ぶ接点に近い人。
    そういう人には、普通の人には見えないものが見え、聞こえないものが聞こえる。
    他人から変な目で見られるからこそ、人間関係がうまくきずけず、誰からも侵されない、自分だけの絶対的な存在を崇拝するようになるのかな。
    人智を超えた存在は、肯定するのも否定するのも万人が納得出来る根拠を示せるものじゃないから。
    いると信じる人の中にいるものなんだろう。
    いないと思う人は、そんなものがなくても満たされているんだろう。
    ただ、完璧な人なんてそうはいないから、いつそれを認める時が来るのかわからない。
    死の瞬間、最もあちら側に近づいたとき、その存在は姿を現すかもしれない。

  • 癌におかされた父の願いで、秀信の一家は、かつて潜伏キリシタンが隠れ住んでいた山里にある父の生家に越してきた。迎え出た父の従兄弟で宗教家然とした佐我里さんや、その土地の放つ信仰の空気に触れ、戸惑いを感じる秀信。長崎という一種独特な宗教の歴史を持つ土地を舞台に繰り広げられる信仰をテーマとした物語。
    表題作や「ジェロニモの十字架」は、宗教的かつ観念的な色彩が濃くて、ちょっとコワイ。自身の生まれである長崎を舞台として選んでしまったために、多少気張りすぎてるかなという気も…。二作に挟まれて収録されている「泥海の兄弟」や「信長の守護神」の方がとっつきやすい。
    ☆芥川賞

  • 何を信じるか、
    生があるかぎり、死はいつだって付きまとっている。
    そういう日常で、何を信じるか、何に希望を見いだすか。

    父が始めた商売は伯父の影響を受けだんだんと宗教じみた団体になりつつあるなかで
    父は病で衰え死のにおいを漂わせながら聖水とよばれるものにしがみつく。

    聖水ふくめた4つの短篇。
    どれも印象的すぎる。

    生きる死ぬとか
    何かを信じたり依存することで不安な世の中で生きていこうとするんだぬ。
    ぞわぞわした)^o^(

  • 不思議な読後感。長崎に行ってみたい。

  • 神と原爆、戦ったらどちらが勝つのだろうか。

  • 長崎などを舞台とした作品です。

  • 木沼駿一郎氏より寄贈。

  • 青来有一というペンネームはセーラームーンに由来するんだって。
    なーんていう変な事前情報がありましたが、
    難しい本でした。

    信仰というもの。信じるということ。
    うーん。難しいな。

    ただ、「初めてのデートでこんなところに連れこみますか?」
    ってのは、ちょっとウケた。

  • 結構てこずりました・・・

    長崎の歴史には無知だし
    キリスト教に造詣も無いし・・・

    疲れたわ。

  • 裏切り者によって死の苦しみを受けた隠れキリシタンの集落に済む信者たちは、受け継いだ血の苦しみから逃れられることは出来なかった。

    現代に時を移し、ぼくの父はいとこの佐我里と会社を経営する。

    しかし、万病に効くという聖水の水脈を佐我里が発見し、販売するようになってから、しだいに「信者」を増やしてまるで宗教組織ができたようになった。

    佐我里は隠れキリシタンの末裔であることをもっとも深く身体に刻んでいたのだろう。

    学生運動で仲間を「ウノスケ縛り」で拷問に掛け、死へと追いやり、今や地元コミュニティに広まるチケット制のショップは、政治権力からの脱退を試みるかのように広まりつつある。

    ぼくは佐我里からマキャベリズムを感じ、生理的に警戒を行う。

    父が死に近づくと共に、警戒感を高める、ましてや会社の後継者に収まろうとしているのだからなおさらのことである。

    しかし、役員会でそれは否決され、佐我里は会社からも追放されてしまう。

    社長への裏切り、父への裏切りの何者でもなかった。

    父は怒りのあまり、身体を震わせ危篤状態に陥る。

    そこへ佐我里がオラショを読誦するように集った末裔達に促し、その合唱の中父は一瞬息を吹き返し、そしてなくなるのであった。

    20世紀に入って後も、地縁と血のつながりから逃れることの出来なかった人々の、因果が深い事を思わせる物語である。

  • H13 芥川賞受賞

  • ふーむ。

  • なんか怖いな、宗教家。これからどうなってくんだよう。芥川賞124回。

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