姫君

著者 :
  • 文藝春秋
3.47
  • (84)
  • (97)
  • (282)
  • (21)
  • (7)
本棚登録 : 801
レビュー : 105
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163201405

作品紹介・あらすじ

自分が生と死の境目に立っていようとも、人は恋をする。人を愛することで初めて生じる恐怖、"聖なる残酷"を描いた傑作短篇集。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 長男がある日、カーテンレールを引っ張ってとってしまった。後で、母親自殺のくだりを思い出し訳の分からない納得をしてしまった。息子は、読んでないか、読んでいるかはわからない。DIYでレールをつけた。

  • 1959年生まれ山田詠美さんの本はたま~に読みます。今回、2001.6発行の「姫君」を読みました。41~2歳の時の作品です。MENU、検温、フェイスタ、姫君、シャンプーの5話が収録されています。「MENU」と「姫君」は自由奔放に生きる男(時紀)と女(姫子)が描かれています。どちらも突然の死で幕を下ろします。ぶっきらぼうでいて、なぜか憎めない、そんな人間像が浮かんできます。久々に小説らしい作品を読んだ気がしました。

  • 短編集。

    最初の、幼児期に母親の自殺を経験した主人公が、優しい顔の裏で物凄く冷めた残酷な顔を持つ話がとても印象的でした。

    幼少期の事を言い訳に人を傷つけてはいけないと思うけれど、まだまだ甘えたい年ごろなんですかね。

    しかし、妹の聖子ちゃんは小悪魔で可愛い。

  • 山田詠美の小説の中でもっとも好きな作品です。表現がきれいでウィットに富んでいて何度も繰り返し読んでいます。表題作のほかにMENU,検温といった短編もあり、それらも印象的でした。

  •  「MENU」はトキを中心にして、人々が恋愛をしていく話。よくある夫婦間なのは聖一だとすれば、トキは遊びで終わる男かもしれない。それは大人になりそこなって、自分の殻に籠ろうとしているように思える。本当の愛を知るすべもなく、成長した子どもってこんなふうに誰かを愛すことなく異性と一緒になってしまうのかな。
     「検温」は、女性主人公が倦怠期に突入している彼とのことを淡々と語り口調で書いていっている作品。見えない重りがどっと読者の方へと伸し掛かっているような雰囲気がある。だが、内容はあまり残らない印象ではある。
     「フィエスタ」は、傲慢で身勝手なバイセクシュアル(異性愛者より)の夫を持つ女の恋愛から遠ざかっていくといった作品である。恋に冷めた女の疾風怒濤のごとき、怒りの心情にスピード感があって面白かった。しかし、ここに登場する職場はきっとカオスなんだろうなっと思って、そこで働きたくないなってゲンナリする。
     「姫君」は、家なき女である姫子を引き取った摩周との、恋愛同居物語。二人共、プライド高いんだろうなって思う。そして相手を掌握してしまおうとする態度がちらり。それよりも、姫子の義理の兄の態度からみて、姫子の親族は内心、嫌気がさしながら姫子を扱っていたんだろうなって思った。摩周もいずれはそうなるのかな。
     「シャンプー」は、離婚した元父親のもとに通う娘の、元父親に対する見方を語った物語。元父親が彼女のことを好きなように、彼女は本当に元父親のことが好きで仕方ないんだろうな。けど、もし元父親が結婚したら彼女はどうなるんだろう。それでも元父親の元へ通うのかしら?

  • 何度読んでも好きすぎて読後に悲しい気持ちになる。
    ウシジマくん作者の装丁も好き。
    高校生のころに買って以来、本棚にずーっといる本。

    姫君の狂気的で、でもとてつもなく寂しい生き方にあこがれたものです。MENUも傑作。

  • 体を支配し、心を奪われる。
    精神の凹凸を思い浮かべた。

  • あんまり面白いと感じませんでした。

    表題作の「姫君」がありきたりな感じ+姫子と摩周クンのキャラクター造形や思想があんまり理解出来なくて好きではなく、読むのに時間がかかりました。

    個人的に、「MENU」「シャンプー」は良かったかなと思います。

    もう少し詠美さんらしい心をえぐる心理描写や言葉が欲しいと思いました。

  • たぶん、この作品ではじめて山田詠美に出会った。

    赤裸というか、自分の直感に正直というか
    そういう世界観や描写にはじめは驚いたけれども
    この本を最初に手にした当時のわたしは
    無意識にも、数ある中から自ら望んでそういうものを選び取ったのだと思う。
    そういう正直さや、それによる関係性を通して語られる人間の生き様がみたかったから。

  • 綺麗な言葉で並べた愛は届かない。
    深く胸に突き刺さる痛みがあるからこそ届く愛。

    この本は5つの物語が入った短編集。
    物語の語り口は終始淡々としている。
    様々な愛を描いているが、喜びや悲しみという感情も不必要かと思うぐらい人物たちの心が歪で淡々としている印象を受けた。

    しかしこれは綺麗な言葉で並べた恋愛小説とは真逆の、素直な感情をさらけ出した純愛の物語なのだと気付いた。

    読み終わると短編の主人公たちは空想癖がある人なのかと思った。
    だが、読み進めていくうちにそれは短編集に出てくる主人公の性格が客観的で冷めた感性を持つ人物が多いのと、山田詠美が描きたい愛の世界観が淡々と情感に溢れているのだと私は思う。

    乙女チックなファンタジーの愛ではない。
    全ては身近にある恋愛と少しばかり非現実的な恋愛を、駆け引きのように繰り広げる内面を映し出した恋愛。
    読んで感じた直球ストレートな衝撃は忘れられない。

    ちなみに私は「MENU」と「姫君」の短編が好きだ。
    まず山田詠美さんの小説を初めて読むにあたって「MENU」の冒頭の歪みは、良い意味でクリティカルヒットを頂いた気分だ。

    「姫君」は暴君の姫君とそれに仕える召しつかいの恋愛みたいに思えた。
    しかし読んでいてもどかしく、素直でありながら素直になれない主人公に様々な感情が入り交じる。
    そして結末には胸が痛むような感覚を覚え愛おしく感じる。

    現実なのに淡々としている主人公たちは、私の好きな重松清の本に出てくる主人公たちよりもさらに非現実的で、ある意味超人だと感じてしまった。
    しかしこの現実と非現実的なバランスがちょうどいい。

    私の知らない恋愛の世界。
    …だと思ったら大間違いで、ある程度恋愛は打算的で計算をするものだと私を思う。
    それを冷静に受け止められる人ではないと、グサグサと突き刺さるような主人公の言葉と感情に、読んでいると心地好い目眩と一種の爽快な快感を感じられないのかもしれない。

全105件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

山田 詠美(やまだ えいみ)
1959年、東京生まれ。明治大学文学部中退。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。同作品は芥川賞候補にもなり、衝撃的なデビューを飾る。87年には『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞受賞。89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年 『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16「生鮮てるてる坊主」で川端賞を受賞している。その他の著書に『無銭優雅』『学問』『タイニー・ストーリーズ』『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』などがある。

姫君のその他の作品

姫君 (文春文庫) Kindle版 姫君 (文春文庫) 山田詠美
姫君 (文春文庫) 文庫 姫君 (文春文庫) 山田詠美

山田詠美の作品

姫君を本棚に登録しているひと

ツイートする