- 本 ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163201504
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藤田伝三郎
贋札事件
藤田美術館 -
明治12年9月15日。政商・藤田傳三郎は贋札事件の容疑者として捕縛された。
世に言う「藤田組贋札事件」の幕開けである。
尋問中、贋札に関する噂を聞かされた傳三郎の意識は17年前に飛ぶ。
文久2年、攘夷の嵐が吹き荒れる長州藩で、高杉晋作の元に集まる志士たちの中に傳三郎がいた。
その傍らには幼馴染の“とんぼ”こと”宇三郎が影のように寄り添う。
幕末から明治にかけての激動の世の中で「光」と「影」の宿命を負った二人の友情と別離、そして対決・・・。
明治のお話を探していて、たまたま目に付いたので借りてみました。
北森鴻さん、はじめてです。
ミステリを書かれていると思っていましたが、歴史小説も書かれていたのですね。
残念ながら先週お亡くなりになってしまわれました。ご冥福をお祈りいたします。
この事件についての知識はありませんのでどこまでが史実かはわかりませんでしたが、長州勢が多く登場しましたのでそのあたりは楽しく読みました。
でもなんかいかにも、お金だけが目当て、って感じの高杉と久坂は冴えない印象でした。
あまりに黒い井上馨にも引き気味。ちょっとフォローするようなことも書かれてはいましたが。
そして傳三郎の中途半端さが目に付き、人間的魅力を感じられず。。。
冒頭ではいかにも芯の通った商人、という書きっぷりだったのに、以降株がどんどん下落。
志士となって国のために働きたい、と思いながら結局行動できないところとか。
それなら商売に身を入れて、お店を立て直していく根性のあるところをもっと描いてほしかった。
反対に傳三郎の陰勤めである宇三郎に引きずり込まれました。
手法はどうあれ、傳三郎命の一途さに胸を打たれます。
だからこそ、最後の決意が悲壮で。
「贋札事件」の顛末、というよりも宇三郎と傳三郎の相克のお話。
そして歴史小説というより、時代小説。それも書き方を変えたら泣ける話になっていたかも。
浅田次郎さんあたりでね。。。 -
久々の北森さん。もう新刊は出ないから、ゆっくり読んでいきたいな。
偽札騒動を導入とした、藤田さんとトンボの一代記、見たいな感じでいいのかな。北森さんらしく、幕末の空気感とか、明治の新鮮さとかが違和感なく書かれてた。
まぁまぁ、しあわせ
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