蜻蛉始末

  • 文藝春秋 (2001年6月21日発売)
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感想 : 4
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  • 本 ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163201504

感想・レビュー・書評

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  • 北森鴻の、コレ読んでない、で手に取った。
    藤田伝三郎と言えば、岡山育ちの私にとっては「児島湾干拓のヒト」だが、実際はだいぶだいぶなヒトらしい。
    熱いヒトだけど、結構おマヌケでチャーミング。史実に結構忠実らしいが、面白い‼︎登場人物も魅力的。特に伝三郎兄の鹿太郎とか。そういう時代だったのかな、幕末前後って。

  • 藤田伝三郎
    贋札事件
    藤田美術館

  • 明治12年9月15日。政商・藤田傳三郎は贋札事件の容疑者として捕縛された。
    世に言う「藤田組贋札事件」の幕開けである。
    尋問中、贋札に関する噂を聞かされた傳三郎の意識は17年前に飛ぶ。
    文久2年、攘夷の嵐が吹き荒れる長州藩で、高杉晋作の元に集まる志士たちの中に傳三郎がいた。
    その傍らには幼馴染の“とんぼ”こと”宇三郎が影のように寄り添う。
    幕末から明治にかけての激動の世の中で「光」と「影」の宿命を負った二人の友情と別離、そして対決・・・。

    明治のお話を探していて、たまたま目に付いたので借りてみました。
    北森鴻さん、はじめてです。
    ミステリを書かれていると思っていましたが、歴史小説も書かれていたのですね。
    残念ながら先週お亡くなりになってしまわれました。ご冥福をお祈りいたします。

    この事件についての知識はありませんのでどこまでが史実かはわかりませんでしたが、長州勢が多く登場しましたのでそのあたりは楽しく読みました。
    でもなんかいかにも、お金だけが目当て、って感じの高杉と久坂は冴えない印象でした。
    あまりに黒い井上馨にも引き気味。ちょっとフォローするようなことも書かれてはいましたが。
    そして傳三郎の中途半端さが目に付き、人間的魅力を感じられず。。。
    冒頭ではいかにも芯の通った商人、という書きっぷりだったのに、以降株がどんどん下落。
    志士となって国のために働きたい、と思いながら結局行動できないところとか。
    それなら商売に身を入れて、お店を立て直していく根性のあるところをもっと描いてほしかった。

    反対に傳三郎の陰勤めである宇三郎に引きずり込まれました。
    手法はどうあれ、傳三郎命の一途さに胸を打たれます。
    だからこそ、最後の決意が悲壮で。

    「贋札事件」の顛末、というよりも宇三郎と傳三郎の相克のお話。
    そして歴史小説というより、時代小説。それも書き方を変えたら泣ける話になっていたかも。
    浅田次郎さんあたりでね。。。

  • 久々の北森さん。もう新刊は出ないから、ゆっくり読んでいきたいな。
    偽札騒動を導入とした、藤田さんとトンボの一代記、見たいな感じでいいのかな。北森さんらしく、幕末の空気感とか、明治の新鮮さとかが違和感なく書かれてた。
    まぁまぁ、しあわせ

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著者プロフィール

1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95 年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川 哲也賞を受賞しデビュー。’99 年『花の下にて春死なむ』(本書)で第 52 回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。他の著書に、本書と『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』の〈香菜里屋〉シリーズ、骨董を舞台にした〈旗師・冬狐堂〉シリーズ 、民俗学をテーマとした〈蓮丈那智フィールドファイル〉シリーズなど多数。2010 年 1月逝去。

「2021年 『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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